新年度

4月に入り,新年度が始まりました。
人事異動や新入社員等で新たな体制となった職場も多いのではないでしょうか。
学校も,新しい学年になるということですよね(大分前のことなので記憶がちょっと曖昧です)。
とはいえ,まだ春休みなのでしょうか。
普段,通勤中に見かける小学生の姿が見当たりませんね。

加えて,来月から「令和」になるということで,ちょっといつもと違う雰囲気もあるところです。

三重弁護士会においても,新しい会長の元で新執行部がスタートします。
それと同時に,各種委員会についても,人員の変動があります。
ほとんどは前年どおりなのですが,一部会員が所属委員会を変更したり,新入会員が入ってきたりということがあるのです。

ちなみに,三重弁護士会には,現在22の委員会があり,それぞれ領域を分けて会務に取り組んでいます。
人権擁護委員会,子どもの権利委員会,刑事弁護委員会,司法修習委員会など,だいたいは委員会名でどのような会務を担うのか想像がつくのですが,具体的にどういうことをしているかについては,入ってみないとわからないことも多いです。
各会員は,このうちの2つ以上に所属することになります。

私自身,今年度は,所属する委員会を一部変更し,新たな気持ちで弁護士会業務に取り組みたいと思います。
本業である弁護士業務と併せて,よい年度にしたいものです。

三重県内公示地価

3/19に国土交通省が発表した内容によれば,三重県内の公示地価は27年連続で下落し,特に県南部と沿岸部が低迷しているとのことです。

沿岸部が低迷する主たる理由は,今後予想される南海トラフ地震による津波被害が懸念されているからと考えられています。
実際,駅に近い高台(例:津市大谷町)の地価は高いままだということです。
私も住居選びの際,津波被害が及ぶかどうかは考慮要素の1つにしました。
結果として,高台は無理でしたが・・・。

県南部が低迷する主たる理由は,県北部に比べて,名古屋等大都市圏とのアクセスの悪さが影響していると考えられています。
環境はいいし,食べ物も美味しいのですが,プラスαがないと厳しいということでしょうか。

それ以外にも,人口流出等,様々な要素が絡んでいると思われますが,さすがに細部まではわかりません。

公示地価は,県内の景況感とも絡む問題なので,弁護士業と直接の関連はないのですが,非常に気になりました。
安く買えるという点ではよいかもしれませんが,下げ止まらないというのは,不安に感じます。
最近,中勢バイパスや新名神の開通等が続けざまに行われ,県内の交通の便はかなり上昇していますので,これらの事情がプラスに働けばよいなと思います。

刑事弁護経験交流会

3月2日に福井県にて,中部弁護士連合会の刑事弁護経験交流会が行われました。
私を含め,三重弁護士会からも何人か出席していました。
この度の交流会のテーマは,「身体拘束からの解放を目指す捜査弁護」です。

ゴーン氏のことで最近話題になりましたが,日本の捜査機関は,被疑者・被告人を長期間勾留するのが当然であるかのように振る舞い,裁判所もこれを追随するという流れが続いてきました。
このような長期勾留を前提とした捜査が,違法な取り調べ,自白の強要の温床となっていたことは,刑事訴訟法を学んだ方であれば,皆良く知るところです。
多少は改善の兆しが見受けられますが,以前として勾留ありきの捜査の大勢は変わっていません。
特に,三重県における身体拘束からの解放のパーセンテージは,中部弁護士会の中でも低く,憂慮すべき事態が続いています。
私自身,勾留に対する準抗告をしても,とってつけたように「罪証隠滅のおそれがある」「逃亡のおそれがある」等という決まり文句で棄却されたことがあります。

交流会では,著名な先生から,実体験も交えた貴重な話を聞くことができ,大変勉強になると同時に,自分達が動くことによって刑事司法の流れを変えなければならないというモチベーションも湧いてきました。
また,各弁護士会から選抜された先生方から,身体解放に関する弁護実践の報告がありました。
このような働きかけをするのか,このような証拠を準備するのか,このような書面の構成にするのか等,大いに参考になりました。
ぜひ,今後の刑事弁護活動に役立てたいと思います。

三交タクシーの津撤退

三交タクシーが津営業所(三重県津市)の廃止を決めたとのことです。
廃止の日は3月10日で,津営業所に勤務する従業員は,四日市・桑名営業所に異動になるとのことです。
弁護士業務で度々利用することがあったので,驚いています。
報道によれば,津営業所は赤字の状態であるとのことで,営利企業としてはやむを得ない選択かもしれませんが・・・。

これに関して,三交タクシーユニオンが,営業所継続を求めた署名を提出したとのことですが,どうなりますかね。
事業所の移転・廃止は,労働条件や労働者の雇用そのものに影響を及ぼすので,その点においては団体交渉における義務的団交事項に含まれるように思われます。
義務的団交事項に含まれる場合は,経営者側は,動労者代表者と誠実に交渉に当たる義務が生じます(誠実交渉義務)。
ただ,労働者側の要求をのんだり,譲歩するまでのことは求められないことに加え,経営判断は広範に認められることが通常であることから,三交タクシー経営陣が廃止を撤回する可能性は低いように思われます。

家畜の所有権と伝染病予防

先日,岐阜県に続き,愛知県,滋賀県等でも豚コレラの感染が確認されたとのことで,三重県にも拡大しないかが,非常に危惧されるところです。

ところで,牛や豚等の家畜は,民法上は「物」扱いであり,所有者の了解なく処分できないのが原則です。
そして,弁護士相談で,勝手に物を処分されたと相談されたら,所有権侵害に基づく損害賠償請求等の法的アドバイスを行うのが一般的です。

しかし,家畜伝染病予防法第16条では「次に掲げる家畜(豚コレラ等の伝染病に感染した家畜)の所有者は,家畜防疫員の指示に従い,直ちに当該家畜を殺さなければならない。ただし、農林水産省令で定める場合には、この限りでない。」と規定し,同17条では「都道府県知事は,家畜伝染病のまん延を防止するため必要があるときは,次に掲げる家畜(豚コレラ等の伝染病に感染した家畜)の所有者に期限を定めて当該家畜を殺すべき旨を命ずることができる。」等のように,所定の感染症へのり患が確認された場合は,速やかに処分することが義務付けられています。
所有権という重要な権利が制約されているにもかかわらず手続的保障が十分に図られていないように思われますが,時間経過による感染病拡大が生じては収拾がつかなくなり,莫大な被害が発生することを重視して,所有権保護を後退させたということなのでしょう。
もっとも,同法は,処分費用や損失補償についての条項を設けており,事後的な回復が(一応は)図れるようになっています。

裁判例検討(後遺障害12級該当性)

今回取り上げるのは,東京地判平成30年9月7日(LEX/DB25561764)です。
本件は,自転車で通勤中に負傷した個人(女性,当時54歳,原告)が,労災の障害等級14級の9の認定を受けたことを不服として,国(被告)に対して,本件給付処分の取り消しと9級に応じた障害給付金等を支給する処分の義務付けを求めたものです。
負傷状況は,給水管撤去等を行う工事現場付近で停止しようとしたところ,体勢を崩して堀削中の約20cmの深さの穴に落ち,その際に着衣の上から左殿部を打ちつけて,左殿部を中心とした皮下出血を生じたというものでした。
症状固定後の症状としては,左殿部,腰部ないし両下肢の知覚障害,頑固な疼痛,頑固なしびれ,筋力低下,運動障害等を訴えています。
画像所見としては,L2/3,3/4,4/5の椎間板変性,全周性膨隆,黄色靭帯肥厚,椎間関節過骨,腰部脊柱管狭窄,両側神経孔狭小化,右仙骨円形信号異常等が確認されています。

本件では,原告が腰椎圧迫骨折や脊髄損傷を負ったか否かが最大の争点となり,複数の医師の意見書が証拠提出される様相を呈しましたが,本稿では省略します。
ちなみに,判決では,本件事故に起因する圧迫骨折や脊髄損傷等の事実は認められないとされました。

判決文では,圧迫骨折や脊髄損傷にはあたらないことを前提としても,12級の12「局部に頑固な神経症状を残すもの」に当たるか否かが検討されています。
まず,原告が主張する神経症状については加齢性によるものが多く含まれること,加齢性による神経症状と本件事故による神経症状との区別ができていないことから,原告の供述・主訴に起因して,12級を認定することは困難としました。
さらに,(1)本件事故状況,及び,当初の傷病名(殿部挫傷血腫,腰椎捻挫),(2)診療録・診断書記載内容に通常の労務にある程度差支えがある程度の強度の神経症状が生じていたことをうかがわせるものはないこと,(3)本件事故時から症状固定までの原告の勤務状況(週3日程度)に変わりはなく,仕事の頻度が減ったのは症状固定後であること,(4)労災医員の12級には該当しないという意見等に鑑みると,「通常の労務に服することはできるが,時には強度の疼痛のため,ある程度差支えがあるもの」として12級程度と認定することはできない等と判示しました。

交通事故における後遺障害認定は,労災の障害等級認定に準じたものとされていることから,交通事故との関係でも参考になると思われます。
三重でも労災事故,交通事故は少なくないことから,弁護士として意識しておきたいところです。

強姦冤罪事件の報道を聞いて思うこと

強姦されたという虚偽の被害者証言によって実刑となった男性(後に再審で無罪確定)が,国と大阪府に国家賠償を求めた訴訟の判決が1月8日に大阪地裁でありました(請求棄却)。
判決によれば,検察側の捜査の過程,裁判所側の判決の過程においても,過失を認めることはできないとのことです。
男性側は控訴するとのことです。

刑事裁判の大原則は,「疑わしきは被告人の利益に」です。
具体的には,犯罪事実があったかなかったかよくわからない,真偽不明の場合には,無罪にすべきというものです。
刑事裁判では,犯罪事実の存在及び被告人が犯人であることについて,確信あるいは合理的疑いを容れる余地がない程度の証明が必要とされ,民事裁判よりも高いハードルが設定されていることから,これらのことに照らすと,相当高度の立証がなされない限り,有罪認定はされないようにも見えます。

しかし,性犯罪においては,「疑わしきは被告人の利益に」の原則がなし崩しとなり,むしろ「疑わしきは被害者の利益に」になっている疑念があります。
これに関連するものとして,少し前に社会問題化した痴漢冤罪事件をあげることができます。

某元裁判官は,次のようなことを述べています。
「被害者に被害妄想・虚言癖等の事情がない限り,被害者が犯罪の被害がないのにあったかのように虚偽供述をするとは考えにくい。なぜなら,通常,被害者がそのような事態を作出する動機も利益もないからである。被害者にとって,警察,検察,法廷で被害状況を述べるのは大変な負担であり,そのような負担を負ってまで,虚偽供述をするような者は通常いない。」

このような被害者供述に関する経験則は,第三者に語ることに他の犯罪以上に強い抵抗がある性犯罪については,特に重視される傾向があります。

しかし,だからといって,被疑者・被告人が犯罪事実を否認し,他に有力証拠もないにもかかわらず,被害者供述を過度に重視して犯罪事実を認定することは,本末転倒です。
性犯罪で逮捕されたり,有罪認定されたりした場合に,被疑者・被告人が被る精神的苦痛は計り知れず,社会的に抹殺されると言っても過言ではありません。
この度の報道を聞いて,検察及び裁判所は,もう一度,「疑わしきは被告人の利益に」に立ち返るべきではないかと思いました。

受け子逆転有罪判決について

H30.12.11,特殊詐欺事件で宅配便の中身を知らなかったと主張した「受け子」の被告に対して,最高裁が逆転有罪判決を出したことが話題になっています。
刑事弁護に関わる弁護士としては,見逃せないところです。

特殊詐欺とは,各都道府県警察のホームページによれば,振り込め詐欺,及び,振り込め詐欺以外の特殊詐欺の総称とされています。
振り込め詐欺とは,オレオレ詐欺,架空請求詐欺(支払え詐欺),融資保証金詐欺(貸します詐欺),還付金等詐欺(返します詐欺)の4つがあげられています。
振り込め詐欺以外の特殊詐欺とは,金融商品等取引名目の詐欺(もうかります詐欺その1),ギャンブル必勝法情報提供名目の詐欺(もうかります詐欺その2),異性との交際あっせん名目の詐欺(紹介します詐欺),その他の特殊詐欺の4つがあげられています。
よくもまあ,これだけ思いつくものです。

詐欺罪は故意犯ですから,被告人の故意が立証されなければなりません。
詐欺罪における故意は,欺罔行為から占有移転に至る一連の因果関係(行為者が相手方を欺いて錯誤に陥らせる→錯誤に陥った相手方の財産的処分行為によって財物を交付させる→財物の交付によって行為者または第三者が財物の占有を取得する)について認識していることが必要とされます。
詐欺の態様によっては複雑な内容となること,当事者の心理状態は外部から見えないこと等から,否認事件で詐欺の故意を争うことは珍しいことではありません。
また,特殊詐欺は複数人によって行うことが多いところ,ネットの発達した近年においては顔も知らない者からの指示に基づいて詐欺行為の一翼を担う事例が見受けられます。

本件で認定された被告人に関する事実は,次のようなものです。
(1)元同僚から,指示されたマンションの空き室に行き,そこに宅配便で届く荷物を部屋の住人を装って受け取り,指示された別の場所まで運ぶor回収役に渡すという「仕事」を依頼された。 ※指示された場所等は,その都度,異なるものだった
(2)被告人は,元同僚から,他に荷物を回収する者や警察がいないかを見張りする者がいること,報酬は1回10~15万円であり,逮捕される可能性があるとの説明を受けた。
(3)被告人は,約20回,前記の「仕事」を行い,1回1万円+交通費程度の報酬を受け取った。

最高裁は,前記(1)~(3)の事実関係に照らすと,当該荷物が詐欺を含む犯罪に基づき送付されたことを十分に想起させるものであり,それ自体から,被告人が自己の行為が詐欺に当たる可能性を認識していたことを強く推認させるものというべきであるとしました(裁判官全員一致の意見)。
ちなみに,原審(高裁判決)では,これだけでは不十分であるとして故意を認定しませんでしたので,詐欺の故意との関係において前記(1)~(3)が有する推認力をどの程度とみるかで,結論が分かれたのかなと思いました。

裁判例検討(既右折について)

直進車両と対向右折車両との衝突事故において,対向右折車両が既右折と評価されれば,10%(直進車両+10,対向右折車両-10)の修正となります。

ところで,判例タイムズには,既右折について,「直進車が交差点に進入する時点において,右折車が右折を完了していること又はそれに近い状態にあることをいう」としか述べておらず,具体的にどこまでいけば既右折なのかがわかりにくいところです。
そこで,既右折に関する裁判例(四輪車同士の事故に限定)をいくつか抽出してみることにしました。

京都地判H27.8.3
「被告四輪に対向した原告四輪の前面が,被告四輪の左側面に11時の方向から入力したことに鑑み,被告四輪の進行方向を考慮すれば,被告四輪が右折を完了し又はそれに近い状態にあった(既右折)とは認められない。」
右折車両に対する直進車両の入力方向が11時であることから,既右折に当たらないと評価しています。
9時方向からの入力であれば,既右折と評価されたかもしれません。

横浜地判H23.3.1
「丙川車は右折先道路の方向に車体の向きが変わり右折先道路に対しほぼ直進の状態になって横断歩道上に進入していたものと認められることから,既に右折を終えた状態といえ・・・」
右折先道路に対してほぼ直進の状態になり,かつ,右折先道路の横断歩道上に進入していたことをもって,既右折に当たると評価しています。

東京簡裁H15.10.22
「・・・,被告車の衝突部位は,被告車の左フェンダー前部であること,・・・衝突地点は原告車進行道路の第1車線と第2車線の境のほぼ延長線上よりやや第1車線寄りでの位置であること、交差点手前の自転車横断帯から衝突地点の直前の位置にかけて長さ約5.9メートルのスリップ痕が残っており,(原告が)やや左にハンドルを切ったことが認められること,前述したとおり(被告車両の)客のCは、「車が曲がり始めたと同時に」対向直進してくる原告車を発見していること,以上によれば,原告車が交差点に進入する時点において,被告車はまだ右折を完了しているか又はそれに近い状態にあったとは認められないと言うべきである。」
直進車が交差点に進入する時点を基準時とした上で,その時点においては右折完了orそれに近い状態ではなかったということで,既右折に当たらないと評価しています。

探せばもっと見つかると思われますが,上記3例で相当程度具体化したと思われることから,一旦検討を終えたいと思います

イオンモール津南店

11月9日に,三重県津市高茶屋小森町にイオンモール津南店がオープンしました。
県内では,イオンモール鈴鹿について2番目の規模とのことです。
何を買うというわけではありませんが,機会があれば行ってみようと思います。

ところで,先述のように,鈴鹿にイオンモールがあることに加えて,津市内にもイオンや系列店は複数存在します。
そのため,これらと顧客を奪い合うことにならないのかなと思わなくもありません。
規模は全然違いますが,コンビニエンスストアにおいて,なぜ系列のコンビニを近くに作るのかということも,時々疑問に思うことがあります。
競合店が近くにできるよりはマシというのが1つの理由だそうですが,本当にそれだけなんでしょうか。
この辺りは,法律ではなく,マーケティングや経営を本格的に勉強しないとついていけなさそうです(それでも失敗はあるようですが)。

大手百貨店においては,売り上げの減少に耐えきれずに,地域の中核店を閉店させたりする等,あまり景気のいい話は入ってきません。
それだけに,今回のオープンが成功し,三重県の地域経済の活性化につながればと思います。

ちなみに,イオンモール津南店は,子供向け商品を扱う店舗やフードコート等を充実させて,若い家族連れを意識した構成にしているとのことですので,一応の差別化は図られているみたいです。

裁判例検討(写真の無断アップロードとそれに対する損害賠償)

今回取り上げるのは,東京地判平成30年9月27日(LEX/DB25449737)です。

本件で問題となった行為は,X(女性)が被写体となっている写真1点を,Y(男性)がXに無断でツイッターにアップロードしたというものです。
この写真の内容は,民家風の建物の畳敷きの室内において,第三者Zが鞭を持って座っている正面に,Xが縄で緊縛された状態で柱に吊るされているというものです。
Xは,当該行為によって,当該写真に係る著作権,肖像権,プライバシー権を侵害されたとして,Yに対し,不法行為に基づく損害賠償請求等を行いました。

裁判所は,前記写真は,被写体の女性においては,その内容に照らし,一般人の感受性を基準にして公開を欲しないものといえるから,本人に無断で公開することはプライバシー侵害に当たるとし,慰謝料としては30万円を認定しました。

判決文でも一部言及されていますが,慰謝料が30万円にとどまった理由としては,次の事情があげられると思われます。
1)写真内容
※ 何も言及されていない所から推測するに,Xは裸体ではなかったと思われます。
2)前記写真のみからは被写体の向きなどによって,被写体の女性がXと特定することはできないこと
※ ただし,Yのツイートの内容等から,一部の者においては,特定可能であるとされています。
3)前記写真は,Xの同意のもと,第三者Zのツイッター上には既に公開され,特にアクセス制限等はされていなかったこと
※ これが最も大きく影響したと思われます。

写真内容が裸体であったり,顔等から容易に特定できたり,そもそも非公開であったりした場合は,慰謝料はもっと大きな額になっていたことでしょう。

無免許運転と犯人隠避罪

Aが無免許だと知りながら車を貸したBから依頼を受け,事故を起こしたAに警察の調べに対して「車を勝手に持ちだして運転した」と虚偽の供述をさせた疑いで,犯人隠避教唆で弁護士Cが逮捕されるという事件を耳にしました。

少し細かくみていきましょう。

まず,無免許であることを知りながら車を貸すことは,道路交通法64条2項に抵触し,3年以下の懲役又は50万円以下の罪に処せられます(道路交通法117条の2の2第2号)。
Bはこれに該当すると思われます。

次に,刑法103条は,罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し,又は隠避させた者は,2年以下の懲役または20万円以下の罰金に処すと定めています。
ここでいう「隠避」とは,蔵匿以外の方法により,逮捕・発見を妨げる一切の行為をいうとされ,捜査官に対して,犯人の発見・逮捕を妨げるため,積極的に虚偽の供述をする行為も含まれるとされています。
犯人自体が自己を隠匿することについては,定型的に期待可能性がないため,本罪は成立しないとされていますが,犯人が,他人を教唆して犯人を隠匿させる場合については,判例は,防御権の濫用である等の理由で,犯人自身にも本罪の共犯が成立するとしています。
これらを前提にすると,Bが道路交通法64条2項違反の罪に問われるのを免れるべく,B自身がAに対して積極的に虚偽の供述をさせると,犯人隠避罪の共同正犯が成立するように思われます。

さらに,刑法61条は,人を教唆して犯罪を実行させた者には,正犯の刑を科すると定めています。
本件の事実関係の細部までは不明ですが,Cが,Bに前記犯人隠避を行わせるようにそそのかして犯罪実行の決意を生じさせ,かつ,Bの代理人又は使者としてその片棒を担いだというのが,本件の被疑事実であるようにと思われます。

交通事故研究会

先日,東京で行われた某コンサル会社の交通事故研究会に参加し,ちょっとだけコメンテーターとして発言してまいりました。
自分なりに考えて,少しでも参加者のお役にたてる内容を話すよう心掛けましたが,いかんせん慣れないことなので,どうだったでしょうかね。

このような会に参加することはあまりないのですが,どの方もプロ意識が高く,いろいろと感銘を受けました。
特にコンサルタントの頭の回転の速さには目を見張りました。
ちょっとした質問ですぐに問題点を見つけ出すのは,すごいの一言です。
もちろん,このような能力がすぐに身につくとは思われず,たゆまぬ勉強や研修の成果なのでしょうね。
弁護士とは切り口が異なる部分も多いのですが,問題解決能力は法律業務でも求められるスキルなので,見習えるところは見習いたいと思いました。

普段は,同じ法人内の人間や,同じ弁護士会の会員くらいしか話す機会はないのですが,他業界の方々と交流することも重要だなと感じました。

話は変わりますが,やはり東京は人が多い(三重と比べるのもおこがましいですが)・・・
連休中ということもあって,キャリーバッグを転がしている人が非常に多かったので,それらともぶつからないよう注意を要しました。
また,東京駅の構造は非常に複雑です。
掲示はいたるところにありますが,広すぎて全体像がつかめないので,今,自分がどの地点にいるのかがうまく把握できず,こっちでいいんだろうかと常に思いながら移動していました。

秋の全国交通安全運動

三重県内において,9月25日に,警察航空隊と連携し,高速道路交通警察隊・津南警察署・松阪警察署合同で「空陸一体交通指導取締り」が行われるとのことです。
参加する組織名を見ると,なんとも大がかりだなと感じます。
警察航空隊というのは,具体的にはヘリコプターのことですかね。
それとも,技術発展が顕著なドローンによるものでしょうか。
ドローンだと,ヘリコプターに比べて,コストが大幅に削減されるし,事故による人災のリスクも減るので,継続的に実施できるのではないかと思われます。
ただ,オービスをもっと広範に設置するというのも考えられます。
どちらが得なんでしょうかね?

ところで,警察によるスピード違反の交通取締りは,よく「ネズミ捕り」と呼称されます。
一般家庭においてネズミ捕りはネズミの通り道に設置されるのですが,それが公道において器具を用いてスピード違反を測定する交通取締りと似ていることから,このように呼ばれるようになったらしいです。
とはいえ,現在,家庭でネズミ捕りを置いているところはほとんどないでしょうね。
私の実家もなかったので,由来を調べるまで具体的なイメージがわきませんした。

いずれにしても,道交法違反にはくれぐれもご注意ください。
また,年末になるにつれて,お酒を飲む機会が増えるかと思いますが,深酒と飲酒運転は止めましょう。

平成30年度刑事弁護発展型研修

9月7日,三重弁護士会館にて,「捜査弁護の基礎から応用」までをテーマに,3時間の研修が行われました。
この度は,兵庫県弁護士会から,赤松範夫先生にお越しいただきました。
赤松先生は,日弁連接見交通権確立実行委員会の委員長を複数回務められており,捜査弁護に関する第一人者です。
赤松先生からは,一般的指定が常態化していたことの接見をめぐる検察側との闘争の歴史や,最新の電子機器持ち込み問題についてまで,ご自身の経験や国賠訴訟の動向も交えて,実践的な講義をしていただきました。
電子機器持ち込みについては,捜査機関側の抵抗は未だ激しいものがありますが,これまでの経緯に照らしても,争いを恐れることなく,法的知識・構成と実行力をもって,実践していかなければならないことのように思いました。

また,否認事件(認め事件でもそうすべきという意見あり)における基本的弁護方針となりつつある黙秘権行使に関しては,DVDにて弁護人役・被疑者役のロールプレイを上映していただいたことで,より実務的なノウハウが身についたように思われます。
捜査機関もさるもので,被告人に黙秘してもらおうとしても,切り崩しにあって断念することもあります。
前記DVDでは,とにかく,すきを見せてはいけないということで,捜査担当者とは挨拶すらNGとされていました。
今後の実務に役立てていきたいと思います。

平成30年度夏期研修

先週の8月24~25日に,富山県で行われた中部弁護士連合会夏期研修に参加してきました。
個人的に,富山県に行くのは,これが初めてになります。
富山駅前は,様々な店やビルが立ち並んでおり,少なくとも津駅前より発展しているように思われました。
また,日本海側ということで太平洋側よりは涼しいのかなと安直に考えていましたが,街中は想像以上に蒸し暑い状況でした。

研修で扱われたテーマは,「改正債権法」,「法人破産」,「民事尋問」,「事業承継」などです。
普段の業務で扱うことのない内容も含まれ,理解するのに時間を要することもしばしばでしたが,おかげで従前より視野が広がったように思われます。

この中で特に関心があったのは,「民事尋問」なので,若干言及させてもらいます。
反対尋問の際,証人を煽ったりして冷静さを失わせて失言を誘うというのは,映画やドラマの名場面になったりしていますが,証人を激高させたり,言い負かしたりすることにさほど意味はないとのことでした。
すなわち,そのような状態における発言のほとんどは事実認定に使えないものであるし,怒ったり冷静さを失ったりしたくらいでは裁判所はマイナス材料とはみなさないからだということです。
尋問者としては,反対尋問で証人の冷静さを失わせると達成感を覚えたりするし,依頼者に対する見栄えもよくなったりするのですが,前記のような説明を聞くと,確かにその通りだなと感心しました。
それ以外にも講義内容は興味深い話ばかりで,非常に有益な時間を過ごすことができました。

今後の業務において,少しでも活かしていきたいと思います。

三重県の上半期の治安情勢

三重県警から,県内の治安情勢に関する発表がなされました。
それによると,刑法犯の認知件数は,5589件となり,前年同期と比べて1120件(16.7%)減少したとのことです。
非行少年の摘発件数については前年より15.2%,不良行為少年の摘発件数については26.8%と,それぞれ減少しています。

これらの数値を見ると,県内の治安は改善傾向にあるように思われます。
ただ,殺人や強盗,強制性交など重要犯罪の認知件数は2件増であったことから,手放しでは喜べません。
また,暴力団関係者や外国人犯罪の検挙件数が増加しているのも気になるところです。
特殊詐欺についても,件数自体は減少していますが,ついこの間,被害額が約1億4000万円にのぼる事件が発生しており,まだまだ油断はできません。

刑法犯に弁護士が関与するのは,ほとんどが逮捕・公訴提起された後になります。
弁護士の主たる業務は,捜査機関や検察側に対抗する形で,被疑者・被告人の権利を擁護し,適切な防御活動を行うことです。
もっとも,刑事の大半を占める認め事件については,情状弁護として,本人に反省を深めてもらい,再犯防止に向けた取り組みをアシストすることも重要です。
これらの結果として,再犯率が低下し,ひいては治安の改善にも寄与することができればと思います。

無理な割り込み行為に危険運転致傷罪を適用した事例

以前,あおり運転に関する記事を書かせていただきました。
そのあおり運転に当たるかどうかは評価の分かれるところですが,無理な割り込みによって発生した交通事故について危険運転致傷罪を適用した裁判例(京都地判平成29.12.27LEX/DB25449196)を紹介させていただきます。

本件は,バイク(2人乗り)の後方を走行していた自動車の運転者が,バイクの速度が遅く(時速50kmの道路で時速40km程度),道を譲らないことに腹を立てて,バイクの左側方に進出してバイクを抜き,直近で右にハンドルを切ったことによって,自動車右後方とバイク左側部を衝突させ,バイクを転倒させてその搭乗者にけがを負わせたというものです(なお,その自動車運転者は,事故前に飲酒をしていたほか,警察への事故報告をせずにそのまま走り去りました)。
この自動車運転者は,追越しを開始するまでの約120mにわたりクラクションを立て続けに鳴らして,バイクに道を譲るよう圧力をかけていました。

京都地裁は,本件はいわゆる妨害運転の類型に該当する危険運転運転行為であると判断した上で,犯情に関して次のようなことを述べました。
1)事故態様は,四輪車等に比して安定性に欠ける2人乗りのオートバイの前方に,衝突するほどの至近距離で割り込もうとするものである。
2)そうすると,その際の速度が,重大な交通の危険を生じさせる速度の中でとりわけ高速度であるとまではいえないことを考慮に入れても,本来的に危険性の高い行為である

自動車運転者が前方の原付・バイクの速度にイラつくことはさほど珍しくはないように思われますが,このような裁判例があること,「特定違反行為」として重い行政処分がくだされること(事故の規模や違反歴にもよりますが,免許取り消しとなったうえで長期の欠格期間が課されることになります)を考慮して,くれぐれも無理に追い越すようなことは慎んでいただきたいと思います。

石灯籠の撤去

今年4月,三重県伊勢市において,道路に設置されていた石灯籠が落下し,付近にいた人がこれに当たって死亡するという痛ましい事故が起きました。
これを受けて,石灯籠の撤去作業が進められてきましたが,県道については7月5日,市道については7月13日,国道については10月中に撤去が完了するとの見込みが発表されました。

人身事故の危険があるものの,風情のある建築物が撤去されるのは寂しいなと思っていましたが,実はこれらの石灯籠は長期に渡って道路を不法占用していたものだったとのことです。

そもそも,石灯籠は,昭和30年に民間団体が寄付を募って建てたものですが,昭和32年以降は道路の占用許可(道路法32条1項)が更新されず,それ以来,違法状態が続いていたとのことです。
伊勢の街並みにも合うし,てっきり許可がでているとばかり思っていました。
道路管理者も,著しく交通を制限するものではないし,建てた民間団体は昭和39年になくなってしまったし,観光にも使えるから,ずっとそのままにしておいたのかもしれませんね。

なお,道路法32条1項違反に対しては,道路法102条が,1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処すると規定しています。
当時の民間団体の関係者が前記罰則の適用を受けたのか,少し気になるところです

公判前整理手続・期日間整理手続の請求権

公判前整理手続とは,第1回公判期日前に,裁判所が主宰して事件の争点・証拠の整理等を行う公判準備を意味します。
従来は,裁判員裁判等の対象事件以外に公判前整理手続を用いるには,その旨を申し入れて職権発動を促すしかできませんでしたが,平成28年の法改正によって,被告人,弁護人等に請求権が付与されました(刑事訴訟法316条の2第1項)。
要件は,「充実した公判の審理を継続的,計画的かつ迅速に行うため必要があると認めるとき」であり,従前のとおりです。
この請求があった場合,裁判所は,検察官の意見を聴いた上で,公判前整理手続に付す決定または請求を却下する決定をすることになります。
ただ,請求を却下する決定に対する不服申立権は認められておらず,やや片手落ちのような感は否めません。
ちなみに,被告人側だけでなく,検察官にも請求権が認められています。

また,期日間整理手続についても,公判前整理手続と同様の請求権が規定されています(刑事訴訟法316条の28第1項)。
要件は,「審理の経過に鑑み必要と認めるとき」であり,従前のとおりです。

ところで,第1回期日指定後,第1回期日が開かれる前に,公判前整理手続を請求すると,裁判所から期日間整理手続に誘導されることがあります。
一旦,期日を入れた以上,その予定を変えたくないからなのでしょうか?
この辺りの本音はよくわからないところです。
期日間整理手続でも,公判前整理手続の規定の準用によって(刑事訴訟法316条の28第2項),類型証拠開示請求権や主張関連証拠開示請求権が認められますので,特に防御活動に支障が出るおそれがなければ,その誘導に乗るのもありかと思われます。