三重刑務所における防疫体制

前回から大分時間を空けて三重刑務所での接見に行ってきました。

ご存じのとおり、コロナ禍は未だ収束していませんが、三重刑務所では次のような防疫体制が取られていました。

1)来訪者にチェックリストの記入を求める。
チェック項目ははい、いいえ形式で回答するようになっており、体調不良はないか、熱はないか、周囲にコロナウイルスにり患した人はいないか、最近の海外渡航歴はないか等の質問事項があげられていました。
私はすべて「いいえ」でしたが、仮に1つでも「はい」があれば面会できなくなるのでしょうか(詳細は不明です)。

2)検温する
受付の警備員の方が非接触サーモメータ―を持っており、それによって体温を測っていました。
私は早歩きで来て若干汗ばんでいたので、ちょっと不安でしたが、平熱でした。
夏場や走ってきた場合等は、少し涼んでから臨んだ方がいいかもしれません。

3)マスクをする
私は既にマスクを着用していたので何も言われませんでしたが、なければ100%言われたでしょう。
ちなみに職員も勾留者も皆着用していました。

4)待合室の密をなくす
ドアは開け放たれていたほか、椅子はそれぞれ離れた場所に置かれていました(以前は1か所に集められていたのですが)。
なお、プライバシー保護のため、接見室のドアは閉めていいか確認したところ、それはOKとのことでした。

アウティング等禁止条例

三重県でアウティング等の強制を禁止する条例が3月23日に成立し、4月1日公布予定となりました。
正式名称は「性の多様性を認め合い、誰もが安心して暮らせる三重県づくり条例」といいます。

アウティングとは聞きなれない言葉だったので調べてみると、「Outing」のカタカナ表記で、性的指向や性自認、いわゆるゲイ・レズビアン・トランスジェンダー等が秘密になっているにも関わず、本人の了解なく、公にする・第三者に暴露することを意味するようです。
アウティングによって、いじめを受けたり、元の学校・職場にいられなくなったり、最悪自殺したりする事例が報告されており、深刻な問題となっています。

本条例第1条では、性の多様性についての理解がなされることによって、すべての人の人権が尊重され、多様な生き方が認め合える社会となること等を目的として規定しています。

本条例の罰則は設けられていません。
県民への啓発や各関係機関の施策の指針としての意味買いが強いと考えられます。
民事事件における慰謝料請求において参考事情として扱われる可能性はありますが、本条例の目的に照らすと、大幅な増額要素となる可能性は低いように思われます。

緊急警戒宣言解除

本日3月7日、三重県独自の緊急警戒宣言が解除となります。

とはいえ、これで移動に何も気に架ける必要がなくなったかというと、そうでもないようです。

3月8日~4月30日を対象として示された三重県指針NO.9には、次のようなお願い事項が記されています。
○ 大人数や長時間での飲食は親族間でも参加は控えること
○ 多人数が集まる飲食を伴う催しの開催や参加は控えること
○ 同居家族以外と会う場合は、マスクを着用すること
○ 体調に異変を感じた時は通勤・通学を避けて、医療機関に早期に相談すること
○ 緊急事態宣言が出されている地域、営業時間短縮が等の要請がなされているエリアには、生活維持に必要な場合を除いて移動は避けること

これら以外にもお願い事項は書かれていますが、ここでは割愛しますので、詳細は三重県ホームページへ。

本来3月や4月は歓送迎会の盛んな時期であり、私自身も送ったり送られたりした記憶があります。
前記指針を見る限り、歓送迎会は自粛の継続を余儀なくされそうです
歓送迎会のないまま、入学・卒業や異動していくというのは、何とも寂しいことだなと思われますが・・・。

3月6日の新規感染報告は10人と、久々に2桁に達するなど、まだまだ油断できない状況は続いています。
早期にこの状況が収束することを祈るばかりです。

労災の障害認定について

言うまでもありませんが、労災は、労働者災害補償保険の略称です。
最近、労災の障害認定に関するご相談を多くいただいたこともあって、以下に概要を記しておきたいと思います。

1 法律の規定
労働基準法77条は、「労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり、治った場合において、その身体に障害が存するときは、使用者は、その障害の程度に応じて、平均賃金に別表第二に定める日数を乗じて得た金額の障害補償を行わなければならない。」と規定しています。
また、労災法22条の3は、「障害給付は、労働者が通勤により負傷し、又は疾病にかかり、なおったとき身体に障害が存する場合に、当該労働者に対し、その請求に基づいて行なう」と規定しています。
この「治った場合」・「なおったとき」とは、傷病に対して行われる医学上一般に承認された治療方法をもってしても、その効果が期待し得ない状態で、かつ、残存する症状が自然的経過によって到達すると認められる最終の状態(症状固定と呼称します)に達したときとされます。
そして、その際に身体に存する障害が、労災における障害補償の対象となります。

2 業務起因性
前提として、負傷・疾病と業務の間に相当因果関係が必要であり、これを業務起因性の要件と言います。
例えば、休憩時間中や業務と関係ないことをしていた際に負傷したとなると、業務によるものではないとして業務起因性が否定される可能性が大です。
また、静謐な環境でデスクワークをしている者が、業務中に難聴になったような場合、その難聴が業務によって生じたものかどうかが難しい判断となり、業務起因性が否定されることがあり得るでしょう。

3 症状の将来残存性
加えて、症状固定時に残った症状が将来的に回復困難なものと言えるかどうかも評価されます。
身体の欠損や骨の変形等のように客観性の高いものは認定されやすいですが、そうでないものについては、判断が分かれることが多々あります。

4 精神障害について
○○ハラスメントでうつ病になったような場合も、労災認定の対象となります。
メルクマールとされる厚生労働省の認定基準では、①認定対象となる精神障害(※ うつ病も含まれます)を発病していること、②当該精神障害の発病前約6カ月の間に、業務による強い心理的負荷があったこと、③業務以外の心理的負荷や個体側要因によって発病したとは認められないことの3つを満たす必要があるとされます。
被災者側としては、特に②・③の事実関係を整理・把握し、可能な限り書面化しておくことが重要と思われます。

労働基準法

労働者災害補償保険法

マスク雑感

三重県内でも、外出時にはマスクが当たり前になってずいぶん経ちました。
今では、マスクをしていない方の方が逆に目立つ状況です。

ところで、健康上の問題か、信条によるのか、マスクを付けない方もいらっしゃいます。
そして、毎日同じ時間帯、場所を歩いていると、前述のように逆に目立つので、マスクを付けない方の顔だけ覚えてしまいました。
事情はどうであれば、このような顔の覚えられ方は、あまり望ましくないなと思います。

諸外国では、公共の場においてマスク着用を義務化し、違反者には刑罰をもってあたるところもあるようですが、本邦ではそこまでの規制はなされていません。
ただ、施設管理権に基づき、当該施設管理者・従業員が非着用者の入場を拒んだり、退出を求めたりすることは可能と思われます。
これに逆切れして、暴行を振るうと暴行罪・傷害罪、脅すと脅迫罪に該当するのは、言うまでもありません。

何にせよ、現在の流行が収束し、マスクなしで外出しても問題ない状況が来るのを願うばかりです。

人身保護法違反の罪

1月22日、三重県の津地裁において、人身保護法違反等の罪に関する刑事裁判が行われました。
かなり珍しい裁判です。

報道によれば、事実の経過は次のようになっています。
1)元妻が長女(当時2歳)を連れて別居し、離婚調停申立て
2)元夫側から面会交流調停申立て
3)元夫が長女と面会後、長女を元妻に返さず
4)元妻が人身保護請求訴訟を提起
5)H31.329裁判所より長女を4.18に出頭させるよう命令が出されたが、元夫はこれを無視
6)R2.2.25裁判所によって長女が保護された(※ 勾引された?最終的に命令に応じた?)

人身保護法2条は「法律上正当な手続によらないで、身体の自由を拘束されている者は、この法律の定めるところにより、その救済を請求することができる(1項)。何人も被拘束者のために、前項の請求をすることができる(2項)。」
と規定しており、これに基づく請求訴訟を元妻側が提起したことになります。

また、同法12条2項は裁判所の権限として、「拘束者(※ 元夫)に対しては、被拘束者(※ 長女)を前項指定の日時、場所に出頭させることを命ずると共に、前項の審問期日までに拘束の日時、場所及びその事由について、答弁書を提出することを命ずる。」
と規定しています。
この出頭命令に違反した場合は、同法18条によって過料(遅延1日につき500円以下)に料に処すことができます。

さらに、同法26条は「被拘束者を移動、蔵匿、隠避しその他この法律による救済を妨げる行為をした者若しくは第十二条第二項の答弁書に、ことさら虚偽の記載をした者は、二年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。」
と規定しており、元夫はこの26条に抵触した、具体的には、同法に基づく裁判所の救済を妨げる行為をしたとして起訴されたと解されます。

ここでいう救済を妨げる行為とは、裁判所が人身保護命令を発し、その内容を判決で実現する同法の目的を妨げる行為一般とされています。
妨げる行為があったことが要件で、妨げた結果は不要とされます(考慮はされるでしょうが)。

本件では、出頭命令への違反が長期に及んでおり、これが単なる出頭命令違反の域を超えて、救済を妨げる行為と評価しうるに至ったか否かが争点になると考えられます。

人身保護法

裁判例検討(パワーハラスメント)

今回取り上げるのは、宇都宮地裁令和2年10月21日判決(LEX/DB 25567227)です。

本件は、原告であるバス運転者が、上司及び会社に対して提起した損害賠償請求訴訟です。
裁判では、原告の乗客への不適切な言動を契機として、原告に対して行われた指導・指示が、退職強要、人格否定、過少な要求というパワーハラスメントに当たるかどうか等が争点となりました。
以下では、争点ごとに検討していきます。

(1)退職強要
本判決では、次のような審査基準を設定しました。
「退職勧奨は、その態様が、これに応じるか否かに関する労働者の自由な意思決定を促す行為として許される限度を逸脱し、その自由な意思決定を困難とするものである場合は、違法となる。」
その上で、発言者の職務上の地位、発言内容(例:会社には向いていない、二度とバスには乗せない、会社にはいらない、他の会社へ行け、退職願を書け)、発言の態様(複数の上司から原告1人に対して、連続して1時間)、原告の精神的不安定(うつ状態と診断)等が総合考慮され、違法な退職強要と判断されました。

(2)人格否定
本判決では、次のような審査基準を設定しました。
「侮蔑的表現が、職責、上司と労働者との関係、指導の必要性、具体的状況、言辞の内容・態様、頻度等に照らして、社会通念上許容される業務上の指導を超えて、過重な心理的負担を与えたと言える場合には、違法となる。」
その上で、一部の発言(チンピラ、雑魚)が、過剰な心理的負担を与えるものとして、違法と判断されました。

(3)過少な要求
本判決では、次のような審査基準を設定しました。
「会社・上司からの指示が、社会通念上許容される指示・指導を超えて、過重な心理的負担を与えたと言える場合には、違法となる。」
その上で、乗車業務から外し、同種の本の読書と文書(反省文・感想文)の作成を1カ月以上続けたこと、それら作業のない時間は何もせず着座させるのみだったこと等の指示・指導が、過剰な心理的負担を与えるものとして、違法と判断されました。

これら(1)~(3)は違法な不法行為であり、これらによって原告がうつ状態になったとして、慰謝料60万円が認定されました。
一連の諸行為を不法行為と判断したことは評価できますが、行為の期間・悪質性に鑑みると、賠償としてはもう少し高額でもよかったのではないかと個人的に思います。

自賠責基準の変更

交通事故における人的損害をてん補するため、自動車には自賠責保険・共済を付保することが義務とされています。
その自賠責保険・共済の支払いに用いられるのが、いわゆる自賠責基準ですが、2020年4月1日以降発生事故より、基準額が増加したものが複数あります。

休業損害については、基準額が5700円から6100円に変更されました。

傷害慰謝料は、1日につき4200円から4300円に変更されました。

後遺障害慰謝料は、1級~12級のものについて、微増となりました。

葬儀費は、基本60万円から100万円に変更されました。

死亡本人の慰謝料は、350万円から400万円に変更されました。

具体的な数字こそないものの、ライプニッツ係数が変更になり、控除される中間利息が少なくなることから、後遺障害逸失利益も増額になると見込まれます。

被害者側が受けると賠償金が増えるということなので、素直に歓迎すべきではないかと思われます。

交通事故実務に与える影響は少なくないと思われますので、発生事故日が前か後かを意識しつつ、業務に従事したいと思います。

強制わいせつ致傷

三重県松阪市内の開業医が強制わいせつ致傷罪に問われ、懲役3年を求刑されたとの報道がなされました。

起訴状によれば、被告人のわいせつ行為を被害者が避けようとした際に椅子から落ち、左目付近を床に打って負傷したとのことです。

基本犯である強制わいせつ罪(刑法176条)は、暴行・脅迫を用いてわいせつな行為をすることで成立します。
ここでの暴行は、被害者の意思に反してわいせつ行為を行うに足りる程度のもので足りるとされます。
キスをすること等は、それ自体を暴行と言えるかは微妙ですが、被害者の隙を突いたような場合等には暴行になると解されています。

前記基本犯の結果的加重犯である強制わいせつ致傷罪(刑法181条1項)では、前記基本犯の既遂・未遂が成立する場合において、前記基本犯と傷害の結果との間に因果関係が必要と解されています。
暴行やわいせつ行為自体によって負傷した場合はもちろん、被害者が被害を免れようとした際に生じた負傷でも、因果関係は肯定されます。
また、結果の発生についての故意は不要と解されています。

なお、強制わいせつ致傷罪の法定刑は、無期または3年以上の懲役であるため、裁判員裁判となっており(裁判員の参加する刑事裁判に関する法律2条1項1号)、この点においても注目されます。

裁判例検討(横断歩道通行中の自転車との事故)

今回取り上げる大阪地判令和2.1.24は,横断歩道走行中の自転車と右折進行してきた四輪自動車とが衝突したというものです。
初診では,身体各部に打撲傷と擦過傷が確認されましたが,明らかな骨傷はなしとの判断でした。

本件では,過失割合や後遺障害の有無等が争点となりました。

過失割合について,裁判所は,自転車運転者は横断歩道上であっても安全運転義務を負うなどと述べ,1割の過失を認定しました。
このように,横断歩道上でも,自転車は歩行者とは異なる評価をされることは,留意しておくべきでしょう。

後遺障害については,自賠責上非該当ではあったものの,私的鑑定書等を証拠提出するなどして,12級相当の主張がされていましたが,否認されました。
私的鑑定書については,詳細に検討された上で,事故との関連性不明,軽症・永続性なし等と判断されました。
自賠責上の認定が裁判上の認定とイコールではないとはいえ,求められる立証の程度は相当高いという印象を受けました。

無銭飲食

三重県志摩市のホテルに宿泊中の男性が,宿泊代金約500万円を支払わなかったとして,詐欺の被疑事実で逮捕されました。

報道によれば,宿泊期間は16日間で,その間,知人を招いたりしていたとのことです。
16日間でここまでの金額になったというのは,相当高額な飲み食いを複数回していたのだろうと思われます。
大胆不敵と言わざるを得ません。
後日において絶対にばれるにもかかわらず,いかなる動機でこのようなことに及んだのか,少々気になるところです。

判例によれば,十分なお金がないことを認識しつつ,宿泊をしたり,飲食を提供させたりした時点で,詐欺罪が既遂となります。
そして,246条1項の詐欺(人を欺いて財物を交付させる)と同条2項の詐欺(人を欺いて財産上の利益を得る)の包括一罪が成立すると解されます。

詐欺罪は財産犯なので,被害金額の大きさが犯情の重さに大きな影響を与えます。
被害弁償がされない限り,初犯であったとしても,厳しい判決となるでしょう。

もう一つ問題となるのが,招かれた知人は詐欺罪にあたらないのかということです。
詳細な事情は不明ですが,被疑者より無資力の事情を知らされていたり,被疑者が十分な資力を有しないことを十分認識していたりした場合は,知人にも詐欺罪が成立しうると思われます。
他方,宝くじ等で大当たりが出たから等の説明を受けていた場合は,それが嘘であると確信していた場合を除き,詐欺罪の成立は難しくなると思われます。

警察官を名乗る詐欺事件

三重県内の津と桑名にて,警察官を名乗る男に通帳・キャッシュカードをだまし取られるという詐欺事件が発生しました。
警察官への市民の信頼に乗じた犯罪で,複数人で計画的に行っていることも踏まえると,悪質な犯罪というほかありません。

このような事件では,犯人は,だまし取った直後に口座からお金を引き出すのが通例で,気づいた時には既に引き出された後だったということが非常に多いです。
そして,犯人が検挙されたとしても,資力の問題から全額戻ってくる可能性は低いです。
そのため,可能な限り,騙されないよう努めるのが第一です。

今回の事件報道を見るに,怪しむべきポイントが複数認められます。
(1)警察官は一人
警察官が動くときは,基本的に,2人以上の複数で対応しています。
(2)そもそも家に来たこと
電話等で署に呼び出して話を聞くのが普通です。
もちろん,逮捕,捜索差押えのほか,その他の事情がある場合に来ることはありますが。
(3)犯人の携帯で「署」に電話させたこと
特殊詐欺では,信用してもらうべく,被害者に別の共犯者と電話をしてもらうことが多々あります(もちろん,この共犯者も警察官のフリをしています)。
通常の警察官対応で,このようなことは滅多にありません。
警察署の電話番号はホームページで公開されていますので,インターネット等で調べて電話をかければ,ニセモノであることがすぐ判明すると思われます。

参考にしてもらえればと思います。

県内における飲酒運転の減少

これまで多数の報道がされてきたように,飲酒運転は,悲惨な結果をもたらします。
被害者は当然ですが,加害者においても,深い心の傷が残ることが少なくありません。

10/1の三重県知事の発表によれば,県内における飲酒運転の件数は,「三重県飲酒運転0をめざす条例(「当該条例」と呼称)」の施行から7年で約半数になったとのことです。

当該条例の特徴としては,前文が非常に長いことがあげられます。
厳罰化のみでなく,規範意識の向上によって飲酒運転を根絶しようというのが,その概要です。

当該条例は,県内外において飲酒運転をした県民に対して,指定医療機関におけるアルコール依存症の診察の受診とその報告を,期限付きで義務付けているのが特徴です。
前記義務違反に対しては,勧告等を行えると定めていますが,罰則の規定はありません。
罰則を設けるべきかどうかは議論のあるところでしょうが,全体の46.8%が受診したこと,当該条例がなければ相当の割合で受診までしなかった可能性があること等を考慮すると,素直に評価すべきでしょう。

アルコール依存症の怖いところは,法律を差し置いて飲酒が最優先事項となり,当事者本人が飲酒を止められなくなることです。
そして,アルコール依存症の完治は困難とされ,当事者及び周囲の関係者が長期継続的に取り組む必要があるとされています。
当該条例が飲酒運転・アルコール依存症減少の一翼を担うことを期待します。

裁判例検討(心的要因によって発生した症状)

交通事故によって発症する症状は,衝撃による筋肉・神経・骨の損傷といった身体的要因に基づくものが多いと思われます。
ストレス等の心的要因によって症状が発生することもありますが,身体的要因によるものと比べて数が少ないこともあって,事故との関連性を否定されたり,何割か減額(いわゆる素因減額)されたりすることが見受けられます。

心的要因は,レントゲン・MRI等の画像検査で検出されることもなく,立証面でも苦しいところがあります。

とはいえ,心的要因による症状が,減額なく認定される事例もあります。
名古屋地判平成21年2月27日(自保ジャーナル1797号17頁)における被害者は,左手母指の症状(内転位のままとなってしまい,自由に動かせない)が問題とされました。
医師は,精神的に強いストレスが続いたことが原因として発症したものと診断しています。
また,自賠責保険では,後遺障害非該当と判断されています。
これについて,判決では,事故との相当因果関係を認めた上で,次のような理由で素因減額を適用しないと判断しました。
① 人間が精神と身体から成る以上,事故のために心的要因による症状にり患したりすること自体は別段異常なこととは言えない。
② 心的要因が損害発生に寄与しているとしても,常に素因減額を適用するのは相当でなく,例えば通常人と異なる被害者の特異な性格によって損害発生ないし拡大を生じたなど,通常の場合を超えるような心的要因の特別の寄与がある場合に限り,適用可能と解すべき。
③ 本件の被害者に前記②にあたるような事情は,証拠上認められない。

本裁判例は,下級審における一事例にすぎませんが,事故で苦しむ被害者の実態への理解が感じられ,参考にすべきと思われます。

診療報酬の不正請求

三重大学医学部附属病院にて,複数の医師が診療録(カルテ)を改ざんし,診療報酬約2800万円を不正に請求したとのニュースが報道されました。

地元の基幹病院でありますし,衝撃は大きいです。
今後の推移を見守りたいと思います。

ところで,三重大学医学部附属病院に所属する医師となると,年次や地位に基づく相応の給料が病院から支払われると思われます。
個人医院の院長ならともかく,このような大学病院に勤務する医師が,高額の診療報酬を得たところで,給与が即増えるとは思われません。
何とも,動機が気になるところです。
不正請求分が,大学病院の口座を通さず,自身の口座に振り込まれるような仕組みを構築していたのですかね?

仮に不正請求が事実として認められれば,詐欺罪(刑法246条1項)に該当することになるでしょう。
もっとも,詐欺によって獲得した金員を全額弁済できれば,軽微な処分に止まるはずです。
2800万円は大金ですが,医師という高収入の仕事で,かつ,複数人となれば,あながち不可能とも思われません。

加えて,刑事処分の推移を踏まえて,厚生労働省が所管する医道審議会にかけられることになるでしょう。
この場合,3年以下の医業停止や医師免許の取消しがなされる可能性があります(医師法7条1項)。
医師にとっては,こちらの方が死活問題なのかもしれません。

不定期刑

三重県四日市市内の市道において,19歳の少年が,女子高生(当時15歳)を自動車でひき逃げし,その受傷が原因で死亡させた事件につき,津地方裁判所四日市支部は懲役1年6月~2年6月の実刑処分とする判決を言い渡しました。

19歳以下の少年については,家庭裁判所における保護処分が言い渡されることが通例ですが,本件では結果の重大性の行為態様の悪質性,証拠隠滅を図る等の情状の悪さが考慮されて,逆送され(少年法20条1項),懲役刑かつ実刑となった模様です。

前述のとおり不定期の刑となっていますが,これは少年法52条1項が次のとおり規定しているからです。
「少年に対して有期の懲役又は禁錮をもつて処断すべきときは,処断すべき刑の範囲内において,長期を定めるとともに,長期の二分の一(長期が十年を下回るときは、長期から五年を減じた期間。次項において同じ。)を下回らない範囲内において短期を定めて,これを言い渡す。この場合において,長期は十五年,短期は十年を超えることはできない。」

なお,犯人が自らの犯行の証拠を隠滅すること自体は,刑法犯には問われません(当該犯行における刑罰の量刑には影響しますが)。
刑法104条は,「他人の刑事事件に関する証拠」と冒頭で明記しています。

不同意堕胎致傷罪

妊娠した女性の同意を得ないまま堕胎させたとして,外科医が逮捕されるというショッキングなニュースを目にしました。

ここで被疑事実となっているのが,不同意堕胎致傷罪というあまり見聞きしない罪名です。
この機に調べてみたいと思います。

刑法215条1項は,女子の嘱託・承諾を得ずに堕胎させた場合,6月以上7年以下の懲役に処すと規定します。
嘱託・同意を得ない堕胎行為は,胎児・女子の生命・身体を侵害する行為として違法性が高いことから,重い罪となっています。

さらに。刑法216条は,前条の行為によって女子を死傷させた場合は,傷害の罪と比較して重い刑に処すと規定します。
具体的には,傷害罪(刑法204条)と比較し,上限・下限とも重い方で処断するということであり,不同意堕胎致傷罪については6月以上15年以下の懲役に処せられることになります。

執行猶予は懲役3年以下でないとつかないこと,女性側の処罰感情はおそらく峻厳であること,医師という高度な職責を担う立場であり,社会的影響も大きいこと等を考慮すると,実刑の可能性が高いと思われます。

弁護士法人心千葉法律事務所

タイトルの事務所が,この度,開所となりました。

所属弁護士・事務員一同,充実した法的サービスの提供に向けて,一層努力してまいりますので,どうぞよろしくお願いいたします。

私個人としては,千葉県は通過したことはあっても,降りたことはないように記憶しています。

これまでの関わりというと,小学生の頃,夏休みにディズニーランドに行ってきたという知人の土産話を聞いて,ふーんと思っていたくらいですかね。

いずれは行ってみたいなと思います。

https://www.chiba-bengoshi.pro/

後遺障害逸失利益について定期金賠償を命じた最高裁判決に関する考察

既に様々なところで話題となっていますが,交通事故で重度の後遺障害(第3級3号)を負った被害者(事故当時4歳)の後遺障害逸失利益について,定期金賠償による支払いを認めた最高裁判決について,私的に考察したいと思います。

定期金賠償とは,損害賠償金を定期的に給付させるものです。
民法は不法行為に基づく損害賠償を一時金賠償に限定はしておらず,将来介護費等については特に問題なく認められてきました。
主なメリットとしては,一時金賠償に比べて,実情に照らして実態に即した賠償金を受けられること,浪費による散逸を防ぎやすいこと,中間利息の控除がない分,最終的に獲得できる金員が大きくなる可能性があることがあげられます。
他方,賠償義務者側においては,長期にわたる支払い手続きの遂行を余儀なくされ,一時金賠償と比べて大きな管理コストが生じること等が指摘されています。

本判決では,後遺障害逸失利益を18歳から67歳までの間,毎月,取得すべき収入額を定期金により支払うことを認めた原審判決が是認されました。

本判決はその主な理由として,次のような事情を挙げています。
不法行為に基づく損害賠償制度の目的(=被害者に生じた現実の損害を金銭的に評価し,加害者にこれを賠償させることにより,被害者の被った不利益を補填して,不法行為がなかった状態に回復させること)と理念(=損害の公平な分担を図ること)に照らすと,後遺障害逸失利益については,定期金賠償が相当と認められる場合がある。

原審判決では,次のとおりさらに詳細に述べています。
(1)後遺障害逸失利益は,将来介護費用との比較において,請求権の具体化が将来の時間的経過に依存している点等において共通しており,定期金賠償の対象となり得るものと解される。
(2)最高裁判例は,後遺障害逸失利益を定期金賠償によって支払うことを否定してはいない。
(3)本件は,年齢,後遺障害の性質や程度,介護状況などに照らすと,被害者の後遺障害逸失利益は,将来の事情変更の可能性が比較的高いこと,被害者側が定期金賠償を強く求めていること,別途将来介護費用の定期金賠償が認定されており,後遺障害逸失利益について定期金賠償を認めても,賠償義務者側の過重負担にはならないことを総合勘案すると,定期金賠償を認める合理性がある。

今後,交通事故によって労働能力喪失率100%となるような後遺障害(1級~3級)となった場合は,本判決を踏まえて,逸失利益につき,一時金賠償を求めるか定期金賠償を求めるかを検討する必要があると思われます。

他方,労働能力喪失率が100%ではない後遺障害(4級~14級)については,前述の相当性要件を満たすかどうか定かでなく,少なくとも本判決の射程がそのまま及ぶことはないと考えられます。

異動のお知らせ

これまで在籍していた弁護士法人心津駅法律事務所から,新たに開設された弁護士法人心四日市法律事務所に異動となりました。

場所は,近鉄四日市駅の西側,「STAFF BRIDGE」という青い看板のあるビルの3階です。

これまでと変わらない,あるいは,それ以上の良質な法的サービスの提供に励みたいと思いますので,どうぞよろしくお願いいたします。

ところで,先日,事務所引越しのためにレンタカー(軽四貨物)を借りて,大量の段ボールを積み込み,津から四日市へ移動していましたが,噂に聞いていた23号線の渋滞につかまり,とてもゆっくりとした移動になりました(慣れない車ということもあって,疲労がかなり蓄積)。
また,レンタカーを借りたのは久々でしたが,次のような予想外の事象に遭遇しました。
○ ハンドルを切った後,自動で戻ってこない(手動で戻す必要があった)
○ アクセルを踏んでも,すぐに加速しない(ワンテンポ置いてようやく加速する感じ)。
○ 冷房がほとんど効かない。
○ 当時雨が降っていたが,ガラスがすぐに曇った(冷房を切っててドアミラーを開けて対処することに)。
○ カーナビがずれている(帰りに全く違うところに連れていかれた)。

特にカーナビのずれは,一番冷や汗かきました。
何かおかしいなという直感が働いたのですが,カーナビを信じすぎてしまいました・・・。
便利な機械ですが,盲信は禁物ですね。

https://www.yokkaichi-bengoshi.com/