保釈が認められました

当職が請求した保釈が認められました。
検察側から準抗告が行われたものの,これは棄却となりました。
被告人を不必要な身体拘束から解くことができ,弁護人として安どの気持ちです。

今後の振り返りのために,その経緯を時系列でまとめておきます。

1日目:保釈請求書及び疎明資料を,津地方裁判所に提出。
1日目:担当裁判官より,保釈請求書記載事項や疎明資料の内容について,電話での質問

2日目:津地裁より,保釈許可決定がおりたとの連絡あり。
2日目:津地裁より,検察側から,保釈許可決定に対する準抗告と執行停止申立てがなされたとの連絡あり。

2日目:津地裁より,執行停止が認められたこと,準抗告に対する結論は翌日となる旨の連絡あり

3日目:津地裁より,準抗告が棄却されたとの連絡あり

3日目:被告人関係者とともに,保釈保証金を携え,津地裁刑事部に行き,必要書類にサインをする。この際,保釈保証金の還付先を記載するよう指示あり。

3日目:津地裁会計係にて,保釈保証金を納付。意外と時間がかかった印象。

3日目:担当検察官に連絡したところ,身体拘束からの解放は,裁判所から納付の連絡があった上で,勾留先に解放する旨の指示書が届いてからになるとのこと。

3日目:勾留先に行き,解放を待つ。しばらく待った後,被告人が解放された。

保釈保証金を納付してから解放までの時間は,1時間近くだったと思います。

修理費用の認定について

交通事故で車両が損傷し,その修理費用を対物保険や車両保険で対応することは多々あります。
このような場合,保険会社・共済は,修理前に,修理内容・項目等を入庫先の修理業者とすり合わせた上で決めるのが通例です。
そうでなければ,修理業者が修理をした後で費用を請求した際,保険会社・共済がその一部を認定しない等のトラブルが生じるからです。
保険会社・共済が認定しない場合は,修理業者や車両所有者が泣きを見ることにもなり得ます。

ところで,この度,修理業者とのすり合わせを行うことなく,某保険会社が勝手に修理費を認定したという事案が確認されました(少なくとも,その事実を被害車両の所有者側に伝えませんでした)。
それも,皆さんがよく知っている大手保険会社であるのだから驚きです。

もちろん,保険会社・共済の認定額と修理業者の認定額が異なることはありますし,それをめぐって訴訟になることもあります。
ただ,そのような場合であっても,すり合わせを通じて,双方の争点があらかじめ顕在化しているのがほとんどです。

相手が大手保険会社であるから,通常こうだから大丈夫という考えは危険であると感じました。

これは,修理費の認定に限ったことではなく,日常生活や業務の様々な場面に該当することのようにも思われます。

いつもこうなっている,当然のことだという事情でも,スルーせず,ちょっとした確認をしておくことが,後々の対立を防ぐ意味で大事なのだと思います。

ペーパーレス化,電子化

三重県は,21日に開いた政策会議で,幹部職員に一台ずつタブレットを配布し,会議資料のペーパーレス化を図ったとのことです。
県職員が出席する会議でタブレットがこのような用いられ方をするのは,初めてらしいです。

また,この日の会議では,紙文化に伴う非効率的な業務が生産性を低下させているとして,他の会議でも試験的にタブレットを導入することが決められたとのことです。
タブレットはスマートフォンを大きくしたようなもの(偏見あり)なので,普段スマートフォンを使用している方であれば,抵抗感はあまりないのかもしれません。

会議資料は,膨大であることが通常であるところ,それを人数分プリントアウトして,ホチキス止めし,各席に置く事務方の苦労は相当なものです。
当事務所でも,会議前は,複合機がひっきりなしに回っている音が聞こえてきます。
また,その会議が終わった後,膨大な資料を残すか,残すにしてもどのように整理するか等が,悩ましい問題として浮上します。

タブレットではないですが,現在,裁判の電子化に向けた取り組み・準備が各所で実施されており,私も先日,たパソコンを使用した遠隔地同士での模擬裁判(のようなもの)を,三重弁護士会にて見学してきました。

紙文化に後ろ髪ひかれるところもありますが,電子化したほうが合理的であることがほとんどなので,この流れに取り残されないように努めていきたいと思います。

夕食の時間

仕事が忙しく,帰宅時間が遅くなるため,帰宅したらすぐに寝てしまうということはないでしょうか。
私も遅くなることが少なくないため,悩ましい問題として抱えています。
夕食後は基本的に寝るだけなので,食べてすぐ寝るが続くと余剰栄養が脂肪として蓄積され,その結果,肥満や生活習慣病につながるリスクが生じるとのことです。
某栄養士の方は,就寝の2時間前までに夕食が終わっていることが望ましいとしています。

理屈としてはわかっているのですが,食後は副交感神経が優位になって眠気が襲ってくることに加え,明日のことも考えて睡眠時間を確保しておきたいという思いもあり,2時間空けられないこともしばしばです。
負荷の少ない運動をして眠気を散らすことも一計ですが,何をしようと眠いものは眠いんですよね(苦笑)。
勤務先からの帰宅途中にランニングをしている方をときどき見かけ,さすがに走りながら寝ることはないだろうとは思うのですが,個人的にランニングがどうも苦手で・・・
最近の工夫としては,平日夕食時にアルコールの摂取を控えており,その結果,酒による寝落ちはなくなったように思われます。
三重県の地酒は美味ですので,楽しみが減るのはつらいところですが。

鰯文化

三重県津市は,古くからマイワシの漁獲量が多く,酢で締めた鰯を用いた鰯寿司が食べられていたとのことです。
津市で弁護士業務を行っている関係上,市内のあちこちに行く機会はあるものの,鰯の専門店は見かけたことがなく,この度の報道を見て意外に思いました。

鰯は痛み方が速いし,身も崩れやすいので,寿司で問題ないものを提供するには,相応の目利きと技術が必要な気がしますね。

あまりネガティブなことを言うのもなんですが,もし,痛んだ鰯を提供して,食中毒等が生じた場合はどうなるでしょうか。
食品衛生法6条は「次に掲げる食品又は添加物は,これを販売し(不特定又は多数の者に授与する販売以外の場合を含む。以下同じ。),又は販売の用に供するために、採取し、製造し、輸入し、加工し,使用し,調理し,貯蔵し,若しくは陳列してはならない。」と規定し,1号は「腐敗し,若しくは変敗したもの又は未熟であるもの。ただし,一般に人の健康を損なうおそれがなく飲食に適すると認められているものは,この限りでない。」としています。
それ故,痛みが進んだものを誤って提供して,食中毒でも発生したら,前記食品衛生法違反として罰せられる可能性があります。
同法6条違反の罰則は,同法71条1号が規定しており,3年以下の懲役または300万円以下の罰金です。
また,被害者から個別の損害賠償請求を受けるリスクもあります。

鰯は焼いたり,煮たりして食べたことは数多くありますが,酢締めの鰯は食べたことがない気がします。
一度食してみたいものです。

ゴミ発電と不法投棄

三重県桑名市で行われていたゴミ燃料の発電事業が9月17日に終了したとの報道がありました。
累積赤字は約24億円とのことです。

可燃ごみを細かく砕いて固めたごみ固形燃料をRDFと呼称するそうですが,三重県は,これまで約91億円をかけてRDF事業に取り組んできたとのことです。

しかし,上記のように赤字が累積して事業が軌道に乗ることはなく,この度,前倒しで終了となったとのことです。
循環型社会の実現は色んなところで唱えられていることですが,そう簡単にはいかないといったところでしょうか。
素人目線で申し訳ないですが,今回の貴重な経験も踏まえて,どこかで再チャレンジしていただきたいですね。

ゴミで思い出しましたが,以前,不法投棄で立件された方の弁護人を務めたことがあります。
廃棄物処理法16条は「何人も,みだりに廃棄物を捨ててはならない」と規定し,これに違反した場合は,同法25条14号に基づき,5年以下の懲役,または,1000万円以下の罰金に処せられるとされています(併科可)。
これらの法律を知らずとも,ほとんどの方は,勝手に公道や第三者の土地にゴミを捨てることがよくないことであるという認識は持っているはずです。
しかし,面倒だとか処理費用がもったいない等の動機で,不法投棄を行う方が一定数いるのが現状です。

なお,被疑者・被告人は,誰も見ていないだろうとか,こんなところに防犯カメラはないだろうと考えて実行していますが,思わぬところで見られていたり,映っていたりします。
前科者となった場合のデメリットを考えると,各自治体のホームページで確認するなどして,適切な処理を行うのが一番だと思われます。

集合写真

次のとおり,弁護士法人心津駅法律事務所の集合写真をリニューアルしました。

http://www.bengoshi-mie.com/

見てお分かりかと思いますが,これらの登場人物が一堂に会して撮影したのではなく,合成です。
さすがにスケジュール的にも,技術的にも,一堂に会するのはちょっと厳しいです。

集合写真は,様々な儀式・局面で撮ることが多いですが,そもそもどうしてこのような風習が始まったのでしょうか。
一説によれば,写真が高価だったので,できる限り1枚で収まるようにしたとのことです。
もっとも,仮にそうだとすると,デジカメやスマホで撮りまくれる時代には,そういった趣旨はそぐわなくなっていますね。
もちろん,1枚におさめることによる一体感の醸成という効果もあるでしょうが,そんなにしばしば見返すものでもないしなと思います。
プロカメラマンを呼んだり,じっと同じ姿勢をキープしていなければならなかったりと,面倒なことが多いので,これを上回る合理的な理由があるのかなとも思います。

・・・ここまで書いてきてなんですが,具体的理由があるのかとか,合理性があるのかとかで判断すべきでないような気がしてきました。
そのようなことを言い出したところで,変な人とか空気読まない人とか思われそうですし。
様々なイベントや節目に必然的にくっついてくるものとして,楽しんで撮影に協力した方がよさそうですね。

既存障害

台風10号が日本海に抜けました。
去年の経験から,三重県でまた大規模停電が起きるのではないかと懸念していましたが,そこまでの事態には至らなかったようにです。

さて,最近,被害者の既存障害を理由とした減額・相当因果関係の否定の主張がなされることが多いことから,自学自習の意味も込めて,取り上げたいと思います。

既存障害とは,事故時において存在した後遺障害に該当する程度の既存の障害とされます。
素因減額における素因よりも狭い概念とされます。

損害賠償額の算定において,既存障害をどのように考慮するか(しないか)は,様々な方法が提示されており,裁判例上未だ統一されてはいません。

1つは,自賠責保険・共済における「加重の扱い」です(労災も同様)。
すなわち,頸部痛で14級相当の既存障害のある方が,同じ頸部痛で12級相当に悪化した場合は,12級に応じた金額から14級に応じた金額を控除して,賠償されるというものです。

2つは,裁判所の自由心証に基づく評価・算定であり,さらに(1)個別判断方式,(2)引き算方式,(3)労働能力喪失率の変化を中心とした算定方式,(4)素因減額を用いる損害算定方式,(5)既存障害を考慮しないものに細分化されます。
ただ,方式ごとに考慮要素が大きく異なるわけではなく,被害者・加害者が主張・反論,立証・反証すべき事情はほぼ共通します。
具体的には,(ア)被害者が事故時にどのような身体状態にあったか,(イ)どのような生活・就労をしていたか,(ウ)事故によってどの部位にいかなる症状が発現したか,(エ)生活・就労にいかなる支障が生じたか等を,個別具体的に言及する必要があるでしょう。

特殊詐欺とその批評

以前,本ブログでも触れた特殊詐欺ですが,様々な団体,機関が注意を呼び掛けているにもかかわらず,残念ながら継続的に被害者が発生している模様です。

最近の三重県警のホームページによれば,次のような事件があったとのことです。
三重県鈴鹿市の女性(70代)に,息子を名乗る男から電話で,「友人からお金を借りて,今週中に返さなければならないお金がある。」「友人の会社の決済が明日までになった。」「今日,名古屋駅に来てほしい。」「弁護士秘書の佐々木がいるから,その人にお金を渡してほしい。」「神社があるから,そこで待ってて。」などと言って騙し,信じてやってきた女性から,弁護士秘書を装った共犯者が現金を受領した。

とりあえず,1つずつ言及していきたいと思います。
1)「友人からお金を借りて,今週中に返さなければならないお金がある。」
→ 仮にお金を借りていたことが事実であったとしても,公正証書等によらない限り,いきなり強制執行をかけられることはありません。もちろん,刑事罰に問われるようなこともありません。
2)「友人の会社の決済が明日までになった。」
→ 友人と会社は別々の権利主体ですので,会社の決済が明日になったことが,友人の個人的な金銭貸借に影響を及ぼすことは通常ありません。また,通常動くことのない決済時期が突然早まるというのは極めて疑わしい事柄です。
3)「弁護士秘書の佐々木がいるから,その人にお金を渡してほしい。」
→ 初対面の人でも信頼してもらえるように,「弁護士」という名称を使用したのではないかと思われます。また,あえて「弁護士秘書」としたのは,弁護士バッジや弁護士としての身分証明書を出さずともよいように考えたのでしょう。いずれにしろ,なぜ個人間の貸し借りにいきなり弁護士秘書がでてくるのか,唐突すぎるでしょう。
4)「神社があるから,そこで待ってて。」
→ 弁護士が事務所外で第三者と会う場合は,後日において妙な因縁をつけられることを防ぐために,複数人で赴いたり,喫茶店等の第三者の目のある所を使うのが一般的です。人気のないところに誘導し,そこで1人で会うようなことは基本的にありません。

以上のように,相手方の言動には突っ込みどころが満載なのですが,冷静な判断力を失っている状態では,気づけるものも気づけません。
急かしてくる相手方のペースに飲み込まれることなく,落ち着きを失わないことが肝要です。
信頼できる親族・友人に電話し,その方に気づかせてもらうというのもありでしょう。
特殊詐欺の被害に遭わないよう,あらためてご注意ください。

清算

三重県内のとある会社の代表者の方から,もうすぐ会社を清算しようと思っているとの話をうかがいました。
弁護士としてよく知っておくべき事柄でもあることから,清算について調べ直してみました。

清算は,法人格消滅前に,会社の現務を結了し,債権を回収し,債務を弁済し,株主に対して残余財産の分配等を行う手続きとされています。
厳密には,通常清算と特別清算(破産等に類する倒産処理方法)があるのですが,基本的には前者を指します。

清算手続き中の会社は清算株式会社と呼称し,その権利能力は清算の目的の範囲内に縮減されることになります。
清算株式会社の機関は清算人で,従前の取締役がそのまま就任することが多いです。

清算事務のうち,債務の弁済については,清算を開始したこと等を官報に記載し,かつ,知れている債権者ごとにその債権を申し出るべき旨を催告する必要があります。
この申し出をしないと,当該債権者は,原則として清算から除斥されることになります。

最終的には,清算事務の終了,及び,株主総会の決算報告の承認により,清算は結了し,会社の法人格は消滅することになります。
公示のための清算結了の登記を速やかに行うことも必要です。

ところで,清算結了登記後に,清算されていない会社名義の資産が判明した場合はどうなるでしょうか。
そうならないために,清算事務において会社財産の調査を入念に行う必要があるのですが,いまさらどうにもなりません。
この場合,当該会社は,登記上は消滅しているものの,実体としては消滅していなかったと解されます。
そこで,清算結了登記の抹消登記を行い,再び清算株式会社として清算事務をやり直すことが必要となるでしょう。

ながら運転

スマートフォンなどを使用しながら車を運転することを,一般に「ながら運転」と言います。
この「使用」には,通話はもちろん,スマートフォンを手で保持して画像を注視することも含まれます。

道路交通法71条5の5号は,運転手の遵守事項として,前記「ながら運転」をしないことを規定しています。
そして,【1】「ながら運転」によって道路における具体的な危険が生じた場合(≒交通事故を起こした場合)は三月以下の懲役又は五万円以下の罰金に(同法119条1項9号の3),【2】具体的危険までは生じていないものの「ながら運転」を行った場合は五万円以下の罰金に処せられることになります(同法120条1項11号)。

この「ながら運転」については,本年5月に罰則が強化された改正道路交通法が可決成立しました。
施行については,本年12月頃までとされていますが,そう遠くはありません。
改正道路交通法によると,前記【1】の場合は一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金,前記【2】の場合は六か月以下の懲役又は十万円以下の罰金となります。

さらに,前記改正を受けて,18日に,警察庁から,改正道路交通法施行令案が公表されました。
それによれば,前記【1】の違反点数は6点(現在は2点),前記【2】の違反点数は3点(現在は1点)となります。
つまり,処分歴がない方でも,「ながら運転」で事故を起こした場合は,即免停30日になってしまうということです。
また,反則金も増額となりました。

このような厳罰化の背景には,「ながら運転」が原因の交通事故が増加傾向にあることに加え,「ながら運転」による事故とそうでない事故とを比較すると,「ながら運転」の方が死亡事故発生率が約2.1倍となっている等の事情があるからだとされています。

三重県内においても,「ながら運転」をしている運転者は,時々見かけることがあります。
それなりに運転スキルが高く,事故を起こさないことに自信があるのだと思いますが,以上のことに鑑みて,控えていただければと思います。
私自身も,弁護士としての品位をけがさないよう,業務中か業務外かを問わず,これからも「ながら運転」は厳禁とします。

構造改革特区法

6月20日,津地方裁判所にて,株式会社ウィッツが伊賀市に約670万円を支払うよう命じる判決が言い渡されました。

経緯と概要を,次のように時系列順にまとめてみました。
1)構造改革特区法に基づき,三重県伊賀市内にウィッツ青山学園高校(運営は株式会社ウィッツ)が開校
2)ウィッツ青山学園高校が不祥事(無免許講師による講義,就学支援金の不正受給,授業実態を伴わない単位認定等)により閉校
3)在校生への履修回復措置として,伊賀市が講師派遣等の費用を立て替えた
4)伊賀市が立て替えた費用の返還を求めて,株式会社ウィッツを提訴

ここで出てくる「構造改革特区法」とはいかなるものでしょうか。
正式名称は「構造改革特別区域法」で,小泉内閣の元,平成14年に成立した後,度々改正されています。
同法1条(目的)は,次のように規定しています。
『この法律は,地方公共団体の自発性を最大限に尊重した構造改革特別区域を設定し,当該地域の特性に応じた規制の特例措置の適用を受けて地方公共団体が特定の事業を実施し又はその実施を促進することにより,教育,物流,研究開発,農業,社会福祉その他の分野における経済社会の構造改革を推進するとともに地域の活性化を図り,もって国民生活の向上及び国民経済の発展に寄与することを目的とする。』
各地域において,地域性に応じた特例の適用を認めて,様々な分野の事業の実施・促進を通じて,経済・社会を発展させようというのが,同法の狙いとするところです。
そして,一例とあげられている教育については,同法12条で「学校設置会社」なるものが定義され,本来営利を目的とする株式会社が各種要件を満たすことを前提に,学校を設置・運営することが認められることとなりました。

構造改革特区法によって,株式会社に学校の設置・運営を認めた真の狙いとしては,硬直化した学校制度の改革,既存の学校との競争による教育の発展,過疎化する地域の活性化,地域性や社会における実践力を伴う授業の実施とそれらを習得した生徒の育成等があったと思われます。
しかし,同法に基づき,学校に支払われる就学支援金(年間1億以上にもなるとのこと)に目がくらんで,同法が悪用された又は教育がなおざりにされたのが,今回のウィッツ青山学園高校であると報道されています。

いくら素晴らしい法律であっても,悪用されては元も子もない。
今回の事件を調べている中で,個人的にそう感じました。

窃盗と資力

弁護士として国選弁護の業務を行うに際し,窃盗案件が回ってくる割合は高いです。
経験上,窃盗に及ぶ方の典型は,資力がない・乏しいというものです。

もっとも,割合としては少ないものの,資力が十分にあるような方が,窃盗に及ぶこともあります。
最近の報道によれば,三重県桑名市に勤務する公務員が,コンビニエンスストアでパンなど食料品12点を窃取したとして逮捕されました。
その公務員は,当時,現金約6万8000円を所持していたとのことで,それら食料品を購入することは十分可能だったでしょう。

このように,事件当時十分な金員を保有していたにもかかわらず,窃盗に及ぶ動機としては,次の3つが考えられます。
1つは,非常に物惜しみが強い,言い換えれば,ケチな方の場合です(ケース1)。
2つは,日常生活や仕事上のストレスの解消手段として,窃盗を選択した場合です(ケース2)。
3つは,病的に窃盗に及んでしまう場合です。クレプトマニア(窃盗症)とも呼称されます(ケース3)。

窃盗の弁護活動は,大きく2つに分けられ,1つが被害回復,2つが再犯防止です。

十分な資力があれば,被害回復は一見難しくないように見えますが,被害者側が一切の弁償を拒否することもあり,そうなると手詰まりになります。

再犯防止については,窃盗に及んだ動機を確認し,その根本原因を是正していくことに重きがおかれます。
ケース1においては,行為者自身に深い反省を促すと同時に,周囲の方に行為者の監督・見守りを要請するというようなことがあげられます。
ケース2については,ストレスの根本をなくしたり,別のストレス解消法を用いたりするようなことが考えられます。
ケース3については,クレプトマニア(窃盗症)の治療を行っている医院に通院し,治療プログラムを受けたりすることが考えられます。

これらの弁護活動が奏功すれば,同種前科があったり,執行猶予中であったりしない限り,不起訴・罰金・執行猶予付き判決が予想され,いきなり実刑になることはないでしょう。
しかし,刑事罰とは別に,社会的制裁が重くのしかかることになります。
有資力者にとっては,むしろこちらの方が問題です。
前記報道では,行為者の実名が報道されており,行為者及びその家族が,周囲の人から好奇の目で見られることが予想されます。
さらに,就業規則上,刑事犯罪に及んだ場合を懲戒事由としていることが多いため,減給・降格・解雇等の懲戒処分を受けることが予想されます。
様々な働きかけ・圧力によって,依願退職を選択せざるを得なくなることもあるでしょう。

共同正犯

5月7日,三重県津市にある津地裁において,衆目を集める事件の初公判が開かれました。
三重県鈴鹿市で去年5月,解体作業員の男性Aが妻Bとその交際相手の男Cに殺害されたとされる事件です。

報道では,BとCが共謀の上,CがAの首を絞めて殺害したとされていましたが,初公判では,Cは,自分は絞めていないと主張し,事実関係について争うことになりました。

共同正犯については,刑法60条において,「二人以上共同して犯罪を実行した者は,すべて正犯とする。」と規定しています。
ただ,判例通説は,複数名で犯罪の実行を共謀し,共謀者の一部が前記犯罪を実行した場合には,実行行為には加担しなかった他の共謀者についても,刑法60条の共同正犯が成立すると考えています。
そして,このような実行行為には加担しなかった他の共謀者を共謀共同正犯と呼称して,実行行為を担った共同正犯と区別しています。

上記のように,実行行為を担っていないというだけでは,共同正犯を不成立とすることはできないので,併せて,共謀や正犯意思がなかった旨を主張する必要があります。
共謀が否認されれば,実行行為を担っていない以上,犯罪不成立となるでしょう。
正犯意思が否認されれば,通常,幇助犯が成立するにとどまるでしょう。

共同正犯の成否の観点からは,実行行為を担っていないという主張だけだと片手落ちになりますが,犯罪成立後の情状面においては,共謀共同正犯が首謀者・リーダー的立場にあるような場合を除き,実行行為を担った者に比べて非難が弱まり,量刑が軽くなることはあり得ます。
この度のCとその弁護人がどのような方針を立てているのか,注目していきたいと思います。

後部座席のシートベルト

長かった連休も本日で終わりですね。
幹線道路や高速道路は,やはり混んでいるようなので,運転される方はくれぐれもお気を付け下さい。
ご家族で出かけた際・戻ってきた際に交通事故に遭われた等のニュースが複数見受けられますので・・・。

それと,後部座席に乗っている方も,シートベルトの着用は忘れないようにしてください。
5月3日に三重県伊賀市内にて発生した軽自動車の単独事故では,後部座席に乗っていた方(1名)のみが亡くなられたということで,おそらく着用していなかったのではないかと推認されます。

道路交通法71条の3は,第1項で運転者のシートベルト装着義務を規定した上で,第2項で,やむを得ない理由があるときを除き,運転者はシートベルト未着用者を乗せて運転してはならないとしています。

また,警視庁の統計によれば,シートベルト未着用者の死亡率は着用者の約15倍,未着用者が車外へ投げ出される確率は着用者の約22倍だそうです。

さらに,交通事故における損害賠償において,シートベルト未着用であることによって損害を拡大させた(≒通常生じうる範囲を超えた)として,賠償額の減額要素となることもあります。

運転席や助手席だと,条件反射的に着用しますが,後部座席だとつい「ま,いっか」ということになりがちです。
しかし,前記の各事情から分かるように,自動車に乗る限りシートベルトの着用は必須であり,未着用者がいた場合は,周囲の方からお声掛けをしていくべきでしょう。

新年度

4月に入り,新年度が始まりました。
人事異動や新入社員等で新たな体制となった職場も多いのではないでしょうか。
学校も,新しい学年になるということですよね(大分前のことなので記憶がちょっと曖昧です)。
とはいえ,まだ春休みなのでしょうか。
普段,通勤中に見かける小学生の姿が見当たりませんね。

加えて,来月から「令和」になるということで,ちょっといつもと違う雰囲気もあるところです。

三重弁護士会においても,新しい会長の元で新執行部がスタートします。
それと同時に,各種委員会についても,人員の変動があります。
ほとんどは前年どおりなのですが,一部会員が所属委員会を変更したり,新入会員が入ってきたりということがあるのです。

ちなみに,三重弁護士会には,現在22の委員会があり,それぞれ領域を分けて会務に取り組んでいます。
人権擁護委員会,子どもの権利委員会,刑事弁護委員会,司法修習委員会など,だいたいは委員会名でどのような会務を担うのか想像がつくのですが,具体的にどういうことをしているかについては,入ってみないとわからないことも多いです。
各会員は,このうちの2つ以上に所属することになります。

私自身,今年度は,所属する委員会を一部変更し,新たな気持ちで弁護士会業務に取り組みたいと思います。
本業である弁護士業務と併せて,よい年度にしたいものです。

三重県内公示地価

3/19に国土交通省が発表した内容によれば,三重県内の公示地価は27年連続で下落し,特に県南部と沿岸部が低迷しているとのことです。

沿岸部が低迷する主たる理由は,今後予想される南海トラフ地震による津波被害が懸念されているからと考えられています。
実際,駅に近い高台(例:津市大谷町)の地価は高いままだということです。
私も住居選びの際,津波被害が及ぶかどうかは考慮要素の1つにしました。
結果として,高台は無理でしたが・・・。

県南部が低迷する主たる理由は,県北部に比べて,名古屋等大都市圏とのアクセスの悪さが影響していると考えられています。
環境はいいし,食べ物も美味しいのですが,プラスαがないと厳しいということでしょうか。

それ以外にも,人口流出等,様々な要素が絡んでいると思われますが,さすがに細部まではわかりません。

公示地価は,県内の景況感とも絡む問題なので,弁護士業と直接の関連はないのですが,非常に気になりました。
安く買えるという点ではよいかもしれませんが,下げ止まらないというのは,不安に感じます。
最近,中勢バイパスや新名神の開通等が続けざまに行われ,県内の交通の便はかなり上昇していますので,これらの事情がプラスに働けばよいなと思います。

刑事弁護経験交流会

3月2日に福井県にて,中部弁護士連合会の刑事弁護経験交流会が行われました。
私を含め,三重弁護士会からも何人か出席していました。
この度の交流会のテーマは,「身体拘束からの解放を目指す捜査弁護」です。

ゴーン氏のことで最近話題になりましたが,日本の捜査機関は,被疑者・被告人を長期間勾留するのが当然であるかのように振る舞い,裁判所もこれを追随するという流れが続いてきました。
このような長期勾留を前提とした捜査が,違法な取り調べ,自白の強要の温床となっていたことは,刑事訴訟法を学んだ方であれば,皆良く知るところです。
多少は改善の兆しが見受けられますが,以前として勾留ありきの捜査の大勢は変わっていません。
特に,三重県における身体拘束からの解放のパーセンテージは,中部弁護士会の中でも低く,憂慮すべき事態が続いています。
私自身,勾留に対する準抗告をしても,とってつけたように「罪証隠滅のおそれがある」「逃亡のおそれがある」等という決まり文句で棄却されたことがあります。

交流会では,著名な先生から,実体験も交えた貴重な話を聞くことができ,大変勉強になると同時に,自分達が動くことによって刑事司法の流れを変えなければならないというモチベーションも湧いてきました。
また,各弁護士会から選抜された先生方から,身体解放に関する弁護実践の報告がありました。
このような働きかけをするのか,このような証拠を準備するのか,このような書面の構成にするのか等,大いに参考になりました。
ぜひ,今後の刑事弁護活動に役立てたいと思います。

三交タクシーの津撤退

三交タクシーが津営業所(三重県津市)の廃止を決めたとのことです。
廃止の日は3月10日で,津営業所に勤務する従業員は,四日市・桑名営業所に異動になるとのことです。
弁護士業務で度々利用することがあったので,驚いています。
報道によれば,津営業所は赤字の状態であるとのことで,営利企業としてはやむを得ない選択かもしれませんが・・・。

これに関して,三交タクシーユニオンが,営業所継続を求めた署名を提出したとのことですが,どうなりますかね。
事業所の移転・廃止は,労働条件や労働者の雇用そのものに影響を及ぼすので,その点においては団体交渉における義務的団交事項に含まれるように思われます。
義務的団交事項に含まれる場合は,経営者側は,動労者代表者と誠実に交渉に当たる義務が生じます(誠実交渉義務)。
ただ,労働者側の要求をのんだり,譲歩するまでのことは求められないことに加え,経営判断は広範に認められることが通常であることから,三交タクシー経営陣が廃止を撤回する可能性は低いように思われます。

家畜の所有権と伝染病予防

先日,岐阜県に続き,愛知県,滋賀県等でも豚コレラの感染が確認されたとのことで,三重県にも拡大しないかが,非常に危惧されるところです。

ところで,牛や豚等の家畜は,民法上は「物」扱いであり,所有者の了解なく処分できないのが原則です。
そして,弁護士相談で,勝手に物を処分されたと相談されたら,所有権侵害に基づく損害賠償請求等の法的アドバイスを行うのが一般的です。

しかし,家畜伝染病予防法第16条では「次に掲げる家畜(豚コレラ等の伝染病に感染した家畜)の所有者は,家畜防疫員の指示に従い,直ちに当該家畜を殺さなければならない。ただし、農林水産省令で定める場合には、この限りでない。」と規定し,同17条では「都道府県知事は,家畜伝染病のまん延を防止するため必要があるときは,次に掲げる家畜(豚コレラ等の伝染病に感染した家畜)の所有者に期限を定めて当該家畜を殺すべき旨を命ずることができる。」等のように,所定の感染症へのり患が確認された場合は,速やかに処分することが義務付けられています。
所有権という重要な権利が制約されているにもかかわらず手続的保障が十分に図られていないように思われますが,時間経過による感染病拡大が生じては収拾がつかなくなり,莫大な被害が発生することを重視して,所有権保護を後退させたということなのでしょう。
もっとも,同法は,処分費用や損失補償についての条項を設けており,事後的な回復が(一応は)図れるようになっています。