裁判例検討(準備書面を直送するための支出)

判決においては,通常「訴訟費用は○○の負担とする」等の文言が明記され,これに基づいて,当事者が訴訟費用の負担の額を定める処分の申し立てを行うと,裁判所書記官が訴訟費用の負担の額を定める処分を行うことになります(民訴71条1項)。

最判平成26年11月27日(民集68巻9号1486頁)では,当事者が準備書面の直送に要した支出が訴訟費用に含まれるか否かの検討において,民事訴訟費用等に関する法律(以下「費用法」)2条2号が類推適用されるかが問題となりました。

経緯としては,当事者の申し立てに基づいて裁判所書記官がおこなった処分に準備書面直送に要した支出が含まれていなかったことについて,当事者が異議申し立てをしたというものです。

準備書面直送に要した支出に費用法2条2号が類推適用されて訴訟費用に含まれるか否かについては,否定説と肯定説とがあります。
否定説は,費用法12条1項等により当事者が裁判所に予納し,その中から裁判所が支出することが要件である等としています。
費用法の文理に忠実な立場と言えるでしょう。
これに対し,肯定説は,書面の直送は当事者が裁判所に代わってなし得ること,民訴規則83条1項で明文化された直送の制度を促進するには直送の費用についても回収可能とすべきこと等を根拠としてあげています。
直送が一般的である民事訴訟の実態をより重視した立場と言えるでしょう。

前記最判では,当事者が準備書面の直送をするためにした支出については,費用法2条2号の規定は類推適用されないと判示し,抗告を棄却しました。
おそらく否定説に立ったものと解されます。

ところで,訴訟印紙代はともかく,直送費用まで訴訟費用として請求することは,ほとんどの弁護士は考えないと思われます(少なくとも私はやったことはありません)。
しかも,抗告許可の申立て(民訴337条1項)までして,事件を最高裁まで持ってくるというのは,相当な時間と労力がかかります。
それ故,野次馬的な興味になってしまいますが,前記事件において,当事者本人と代理人弁護士のどちらが主導してここまで手続きを進めたのかが気になるところです。

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訴訟取り下げ費?

三重県いなべ市の60代女性が,訴訟取り下げの費用名目で現金810万円をだまし取られる被害に遭ったとのことです。
女性宅に「消費料金に関する訴訟最終告知」名目のはがきが届き,はがき記載の連絡先に電話したところ,「裁判するか取り下げ申請するしかない」などと言われ,その取り下げのために現金を要求されたとか。

まず,訴えの取り下げというからには,訴訟が提起されることが大前提です。
そして,その際には,相手方(被告側)には,裁判所から訴状が特別送達の形で届きます。
それ故,裁判所から訴状が届いていない,受け取っていないということは,そもそも訴えが提起されていないと疑うべきでしょう。
仮にまだ訴状が届いていないとしても,訴訟期日は提訴から約1月後に設定されるのが通常なので,届いてから考えても十分間に合います。

次に,訴えの取り下げのやり方ですが,訴えた側(原告)が,判決が確定するまでに,訴えの取り下げ書を裁判所に提出するだけです(民事訴訟法261条1項・3項)。
相手方(被告側)が準備書面の提出等の訴訟行為をした後では,取り下げに相手方(被告側)の同意が必要となりますが(民事訴訟法261条2項),ここではあまり問題にならないでしょう。
そして,前記取り下げ手続き自体に,裁判所にいくらか支払わなければならないということは,一切ありません。

裁判をダシに金銭をだまし取るなど卑劣極まりないですが,残念ながら,このような詐欺師が完全にいなくなることは望み薄です。
時代の変化に合わせて,善良な方々から金銭を詐取するべく,様々な手段を講じてきます。
一旦騙されて,金銭を渡してしまったら最後,もはやその金銭は戻ってこないでしょう。
その詐欺師が逮捕されても,大体使い込まれるなどして,何も残されていないことが多いです。
皆様におかれましては,今回の記事を参考にするなどして,冷静かつ適切な対応を取るようにしていただければと思います。

裁判例検討(腰痛の後遺障害該当性)

今回,検討対象とするのは,神戸地判平成28年9月26日です。
実際の事件では,1回目の交通事故(第一事故)に基づく請求と2回目の交通事故(第二事故)に基づく請求とが併合され,後遺障害も頚部痛や下肢しびれ等複数主張されていますが,ここでは第一事故による腰部の後遺障害に関する認定に絞ります。

第一事故の概要は,原告が運転する乗用車が,訴外某の乗用車に追突したというものです。
そのため,第一事故に関する原告の請求は,原告車両に附帯されていた人身傷害保険の保険会社に対するものとなっています

原告は,第1事故によって腰椎を捻挫し,腰部痛や下肢のしびれを訴えて入院加療を余儀なくされるに至り,画像検査の結果,第1事故の前後において第4・第5腰椎のヘルニア増悪が認められ,神経学的検査においても異常所見があること等からすれば,第1事故と相当因果関係があることは明らかとし,12級相当の後遺障害が残存したと主張します。

この裁判では,原告側・被告側双方から医師の意見書が出されています。
被告側意見書は,〔1〕右下肢痛は第2事故直後には全く認められておらず,第2事故直後の腰椎MRIでも椎間板の突出が認められていないので,事故とは無関係に椎間板の突出が発生し,右下肢痛を訴えるようになったと判断できる,〔2〕四肢しびれ,頸部痛,腰痛は,第1事故前から訴えられていた症状であると同時に,第1事故後にも訴えられていた症状であり,第1事故後も不定愁訴と判断されていたように,第2事故後も一貫して医学的根拠が認められない,〔3〕頸椎や腰椎MRIにおいて,第2事故前と直後の画像を比較しても新たな変化が一切認められておらず,第2事故に確実に起因する後遺障害はない,というものです。
原告側意見書は,〔1〕第1事故以前から,腰椎の椎間板ヘルニアや,頸椎の椎間板ヘルニアが認められ,〔2〕第1事故直後に腰椎のヘルニアの増悪が認められ(頸椎のヘルニアは著変を認めない),〔3〕第2事故直後に腰椎の椎間板ヘルニアを認めるが,第2事故前の所見と比較して著変は認めない旨の所見が示された上,第1事故で腰椎ヘルニアの増悪を認め,画像所見と臨床症状は説明可能であるが,第2事故での画像変化は認めないというものです。

判決は,第1事故後に原告が訴える腰痛の症状に医学的根拠があると認めることは困難であり,また,第2事故前後に腰椎の変化が認められないことからすれば,第2事故後に原告が訴える腰痛の症状についても同様であるから,原告に後遺障害等級12級13号に該当する腰痛の後遺障害が残存したと認めることできないし,同14級9号に該当する後遺障害が残存したと認めることもできないとしました(原告の請求棄却)。
その理由としては,〔1〕第1事故後に入院した病院の入院中の診療録上,第1事故の約半月後の時点で,ベッド不在がほとんどであり,うろうろ動けていると記載されている,〔2〕その後通院した病院では,診療録に不定愁訴(なんとなく体調が悪い等の訴え)がある旨度々記載されており,しかも,同院の医師は,診療情報提供書において,原告の訴える症状と画像所見との整合性に疑問を呈している,〔3〕別の病院の医師も,原告の訴える症状と客観的所見との整合性に疑問を呈しているなどがあげられています。

原告(=受傷者)にとって非常に厳しい判決といえるでしょう。
ただ,判決理由を見てみると,はっきりとは書いていませんが,診療録等の記載から原告の主訴には著しい誇張があると判断したように見受けられます。
その前提として,診療録の客観性,専門性に鑑み,その記載事項は概ね信用できると考えたのでしょう。
受傷者側とすれば,たとえ自身の認識と違うことが診療録に書かれてあったとしても,それは違うというだけでは不十分であり,診療録記載事項に基づく事実認定がされるリスクを念頭において,訴訟計画を立てたり,見直したりする必要があるように思われます。

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激甚災害

21日の政府閣議にて,三重県に被害をもたらした台風21号を「激甚災害」に指定するとの決定がなされました。
これによって,国の補助率が82%から95%に引き上げられ,復旧事業に関する市長や被災者の負担が減り,事業の促進がなされることが期待されます。

この激甚災害とは,激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律に基づくものです。
同法2条は,「国民経済に著しい影響を及ぼし,かつ,当該災害による地方財政の負担を緩和し,又は被災者に対する特別の助成を行なうことが特に必要と認められる災害が発生した場合には,当該災害を激甚災害として政令で指定するものとする。」と定めています。

私は,台風21号が接近した日に外に出かける用事があったのですが,雨,風とも尋常ではありませんでした。
その夜も,携帯電話の避難を呼びかける緊急アラームがひっきりなしに鳴っていたことをよく覚えています。
通過した翌日には伊勢を訪れましたが,ライフラインへの影響のため,通常営業ができない店舗も見受けられました。

津市内の河川敷等では,まだテープが張られただけの箇所が残されています。
おそらく,津市以外の市区町村でも同様の状況でしょう。
JR関西線などでは,いまだに運行を見合わせている区間があります。
道路や鉄道,河川等の保全に関わる関係者の方々は,まさに多忙を極めていることでしょう。
感謝申し上げるとともに,くれぐれも無理をしすぎないようお願いします。

入院付添費

親族が入院した場合,長時間付き添って身の回りの世話をすることは珍しいことではありません。
このような行為は,金銭的に評価しえないものではなく,肉親の情誼等によって出費を免れているにすぎません。
しかし,このような身分関係に基づく恩恵の効果を加害者にまで及ぼすべきとまではいえず,加害者の行為のよって被害者が入院し,親族が付き添い看護を行ったような場合,被害者が加害者に対し,付添看護料相当額の損害賠法請求をすることが認められています(最判昭和46.6.29判時636号28頁参照)。

近親者が入院した被害者に付き添うことは,常識にもかなうといえますが,そのこと以外にも,入院付添いの必要性を根拠づける事情は存在します。
まず,通常の病院において,専任の看護師が46時中世話してくれることはなく,病院によっても体制に差があることから,近親者の付き添いの代わりとなり得るものではありません。
さらに,近親者が寄り添うことによって,傷病に対する不安や生活の心配等に苛まれている被害者の精神的安定が図られるという効果も認められます。

実務や裁判においては,医師の意見のほか,症状の内容・程度,被害者の年齢・個性等を総合的に考慮して,入院付添いの必要性が判断されます。
症状が重篤で,移動に支障を要するような事情があれば,認められる可能性が高まると考えられます。
被害者が幼年であったり,高齢者であったりした場合も,認められる可能性が高まると考えられます。
被害者が障がい者であることも,程度にもよりますが,積極方向に働く事情となり得るでしょう。

被害者側の弁護士として活動していると,加害者側の保険会社・共済は,「(入院先の病院には)完全看護の体制が整っている」,「(付添について)医師の指示がない」などと述べて,入院付添費を一律で否認してくることが非常に多いと感じます。
しかし,上記のとおり,完全看護は近親者の付き添いを完全に代替するものではありません。
また,医師による明確な要付添の意見書等が出されることはむしろ稀であり,これが常に求められるとすると,入院付添費の請求は事実上不可能となります。
このように見てみると,保険会社・共済の前記主張は,ほとんどの場合において妥当性を欠くと言えるのではないでしょうか。

 

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言葉の暴力

平成28年に三重県内の児童相談所に寄せられた虐待相談は1310件と過去最高を記録し,うち約4割が心理的虐待を占めたとのことです。

言葉の暴力という言葉があるように,物理力を用いずとも,傷つけたり傷つけられたりすることは往々にしてあります。
特に自分より弱い立場の人に対しては,無意識のうちに必要以上に強い言葉を発してしまうことが少なくありません。

私自身も十分気を付けたいと思います。

ここで法律論を持ち出すのも無粋な気がしますが,参考まで
他人の言動によって精神的苦痛を被った場合は,不法行為に基づく損害賠償の対象となり得ます。
また,事例は少ないですが,侮辱的言辞によって精神的障害を生ぜしめたとして,傷害罪が成立することもあります。

詐欺

三重県亀山市の女性が亀山市議を詐欺罪で告訴するとともに,損害賠償請求訴訟を提起したとのことです。
女性曰く,一部上場企業に対する投資話を持ち掛けられたほか,土地の担保(?)の名目で,計980万円をその市議に渡したものの,いまだ返還に応じてもらえていないとのことです。
市議側は詐欺ではないと主張しており,事実関係はこれから審議されることになります。

このような訴訟の場合,①金員の移動はあったか,②(金員の移動があったとすると)その理由は何であったかが,③その理由と実態とのかい離はあったか,④かい離について交付者・受領者の認識はあったか,⑤受領者がかい離を認識しつつ,交付者にそれを告げないまま金員を交付させようとしていたか,などが主張立証のポイントとなるように思われます。

書面化していない部分については,特に激しい応酬となるでしょうね。
代理人弁護士としては腕の見せどころである一方,結果予測が悩ましいところでもあります。

続・外国人刑事事件の弁護活動

被疑者・被告人が外国人の場合に生じる特有の問題が,不法残留(オーバーステイ)です。
勾留中に在留期間が経過してしまうような場合は,事件より,在留期間更新手続きの対応を優先せざるを得なくなります。
この在留期間更新許可申請は,取次資格を有する弁護士または行政書士であれば,代理可能です。
取次資格の審査はさほど厳しくはないようですが,片手間でやって依頼者に迷惑をかけては信用問題にもなりかねませんので,どこまで関わるかは悩ましい問題です。

なお,傷害や窃盗等の罪で実刑に処せられた場合は,入管法24条における退去強制事由に該当してきます。
そのため,手段・結果の重大性や前科の内容等から実刑確実といえる場合は,在留期間更新許可申請を行う意義が薄れるようにも思います。
とはいえ,被疑者・被告人本人の意向を尊重するのが基本でしょうね。

外国人刑事事件の弁護活動

少し前の話になりますが,9/22に三重弁護士会館にて,外国人刑事事件の弁護活動に関する研修を受けました。
三重県の外国人人口は4万人弱ですが,県内総人口に占める割合は2%弱に達し,全国的に高い比率といえます。
そのため,刑事事件において被疑者・被告人が外国人であることは,さして珍しいことではなく,私自身,これまで複数件携わったことがあります。
研修内容をしっかり復習し,今後の弁護活動に生かしていきたいです。

裁判例検討(治療期間)

今回検討するのは,名古屋地判平成28年6月29日(交民集49.3.791)です。

交通事故における損害賠償責任が争われた事件で,争点は多岐にわたりますが,ここでは治療期間に絞って取りあげたいと思います。
事故形態は被追突,車両損害はリアバンパーの交換等約13万円です。
原告X(事故時40代前半)は,本件事故後,外傷性頚部症候群,背部挫傷等を負い,初診から症状固定まで644日間に渡って,整形外科等で治療を受け(実治療日数349日),最終的には後遺障害14級9号と認定されています。
原告Xは,前記治療すべてのが事故に起因するものと主張しましたが,これに対して,被告は,事故と相当因果関係を有する治療期間としては,3~6カ月程度に限定すべきと主張しました。

裁判所は,判決において,事故と相当因果関係を有する治療期間は,6カ月余りと認定しました。
その理由として,次のような事情をあげています。
1)原告車両の損傷はリアバンパー部分に留まり,その程度も軽微であった
2)原告Xは,事故直後に家族とともに家具店で買い物をすることができた
3)原告車両の同乗者の傷病名は,ほぼ同じであったが,原告Xの治療期間は,他の同乗者と比較して,顕著に長期間であった
4)原告Xの治療経過は,他覚的所見はなく,投薬と理学的療法による経過観察が継続しているのみであった

交通事故事件にかかわる弁護士として,特に判決の理由部分については,きちんと認識しておきたいと思います。

平成29年の司法試験合格者

平成29年度の司法試験合格者は,1543名との発表がありました。
数としては昨年の1583名より若干減少していますが,受験者数が相当減少したため,合格率は25.9%に上昇しています(昨年は22.9%)。

合格率上昇の幅としてはわずかですが,法曹(裁判官,検察官,弁護士)を志す方々にとって,前向きな材料になればと思います。

三交タクシー労働組合のストライキ

三重県の主要タクシー会社である三交タクシーの労働組合(三交タクシーユニオン)が,経営者側に対して労働環境の改善等を求めた団体交渉の決裂を受け,9月8日からストライキに入ったとのことです。

最近では少なくなったストライキですが,その法的性質について,ざっと概観してみたいと思います。

ストライキとは,労働者による争議行為の1つで,労働行為を行わないことです。
正当な争議行為については,憲法28条や労組法上の団体行動権の保障を受けることができ,刑事免責(刑罰を科されない),民事免責(損害賠償請求を受けない),不利益取扱禁止(解雇や懲戒処分を受けない)が認められます。

争議行為の正当性については,主体,目的,開始時期・手続き,手段・態様の4つの側面から判断されます。
一部集団が上部組合の承認なく行うもの等は,主体による正当性が,原則として否定されます。
政府に対して政治的主張を行うもの等は,目的による正当性が,原則として否定されます。
団体交渉を経ないもの等は,開始時期・手続きによる正当性が,原則として否定されます。
暴力行為を伴うもの等は,手段・態様による正当性が,原則として否定されます。

酒気帯び運転等の禁止について

三重県四日市市の市議会議員が,酒を飲んだと知りながら知人女性が運転する車に同乗したとして略式起訴されました。
これを受けて,四日市市議会は,平成29年9月1日,その市議に辞職を勧告したとのことです。

ここで酒気帯び運転について,まとめてみたいと思います。

道交法65条1項は「何人も,酒気を帯びて車両等を運転してはならない。」と定めています。
酒気とは,アルコール分を指します。
酒気を帯びてとは,社会通念上酒気帯びといわれる状態を意味し,外観上(顔色,呼気等)認知できる状態にあることをいうものと解されています。
つまり,酒に酔った状態や,運転への影響が実際に認知できる状態まで至らなくても,本条項に抵触することになります。

道交法65条4項は,「何人も,車両(略)の運転者が酒気を帯びていることを知りながら,当該運転者に対し,当該車両を運転して自己を運送することを要求し,又は依頼して,当該運転者が第一項の規定に違反して運転する車両に同乗してはならない。」と定めています,
運転者の酒気帯びを同乗後に認識した場合も,認識後に要求・依頼行為があれば,本条項違反となります。
要求・依頼行為については,明示的なものである必要はなく,経緯や個別具体的状況から要求・依頼があったと認められれば,それで足りると解されています。

道交法117条の2の2第3~6項は,酒気帯び運転について,3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処すと規定しています。
もっとも,刑罰を科すことの重大性に鑑み,第3~4項は,身体におけるアルコールの保有が政令で定める数値(血液1ミリリットルにつき0.3ミリグラム又は呼気1リットルにつき0.15ミリグラム)以上でなければならないとし,第5~6項は,運転者が酒に酔った状態(アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態)に限るとしています。

前記市議は,おそらく,道交法117条の2の2第6項に抵触したと考えられ,となると,搭乗車両の運転者は相当酔っていたと思われます。

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三重県内の交通事故死亡者が50人に

三重県警のホームページに,警告及び注意喚起のPDFが掲示されていました。
6月に入ってから急増しているとのことです。
自動車を運転するときはもちろんですが,自転車に乗っているときや歩いているときも,ゆとりをもって行動し,信号のない交差点では「もしかしたら飛び出してくるかも」という意識を持つようにしたいですね。
とはいえ,防ぎきれないケースがあるのも事実ですが・・・

専門家とミス

先日,現場調査に赴くために,タクシーを利用しました。
その際,行きたい場所の番地をあらかじめ紙に書いてきて,ドライバーに見せたのですが,そのドライバーは書いてあるのと異なる番号を入力していました。
一瞬,指摘しようかと思いましたが,もしかしたら,独自の裏ルートかもしれないと思って,黙っていました。

その結果・・・違うところに行って,迷うことになりました。
そのドライバーが運転の専門家であることを尊重して,間違いを指摘しなかったのがそもそもの原因ですが,同じことは自分たちにも当てはまるかもしれません。
例えば,法的書面を作成し,依頼者にチェックを依頼した際,依頼者が誤りに気付いたとしても,弁護士の専門性を尊重するあまり,何も言ってくれないということが起こりうるということです。
そう考えると,できる限り自己チェックを慎重に行う必要がありますね。

届け出挙式

三重県鈴鹿市は,今月4日から,婚姻届を提出する市役所で誓う「届け出挙式」をする新郎新婦を募集するということです。
シティセールスの一環だとか。
面白い取り組みだとは思いますが,応募する新郎新婦は,これ以外では結婚式は行わないんですかね?
男性側はともかく,女性側は,やっぱり一度は教会や式場とかでしたいのではないかと(勝手な想像ですが)。

睡眠薬と殺人

故意に致死量の毒薬を飲ませたことによって,対象者が死亡した場合,行為者が殺人罪に問われるのは当然です。
では,故意に睡眠薬を飲ませた対象者が,眠気に襲われて運転ミスをし,交通事故で死亡した場合,その行為者を殺人罪に問えるでしょうか?

最近,前記のようなニュースを目にしたので,考えてみました。
私見では,殺人罪が成立するには,殺人の実行行為によって死亡結果が生じたこと,殺人の故意(殺意)があったことが必要と考えています。
「こいつを殺してやる」と思って,肩をポンとたたいたショックで対象者が死亡しても,肩をポンとたたく行為は,殺人の実行行為とはいえない,言い換えれば,人が死亡する現実的危険性を含む行為とは言えないため,基本的には殺人罪は成立しないはずです。
睡眠薬を飲んでも,過剰投与でない限り,それ自体で死ぬことは通常ないため,「睡眠薬を飲む→近接した時間で自動車等を運転する→交通事故を起こして死亡する」といった因果の流れをたどる必要がありますが,睡眠薬を飲んだ時点で,人が死亡する現実的危険性が生じたといえるでしょうか,または,前記の因果の流れがほぼ必然的であるといえるでしょうか。
個人的には,殺人罪の成立は非常に厳しいように思います。

改正刑法

本日から施行されます。

大きな特徴としては,次の4点です。
1 「強姦罪」→「強制性交等罪」への変更
男女いずれも客体となるほか,対象行為も拡大されました。
2 性犯罪の非親告罪化
強制性交等罪,準強制性交等罪,強制わいせつ罪,準強制わいせつ罪などは,被害者の告訴がなくても起訴できるようになりました。
3 「監護者わいせつ罪」「監護者性交等罪」の新設
監護者の影響力を利用して性的行為を行った者に対しては,暴行・脅迫を用いなくても罪に問われます。
なお,監護者の定義については,若干微妙なところがある模様です。
4 性犯罪についての法定刑の引き上げ
強制性交等罪は5年以上(以前は3年以上),強制性交等致死傷罪は6年以上(以前は5年以上)のように,下限が引き上げられました。

その他「集団強姦罪」「集団強姦致死傷罪」が削除されたりもしています。
刑事弁護にかかわる弁護士として遺漏のないようにしたいと思います。

ゴミ出し

朝,起きて思うこと

「今日は何のゴミの日だっけ?」

この暑い時期に生ごみを出しそびれると,大変なことになりますので,特に意識するようにしています。

少年事件

ショッキングなニュースを目にしました。
三重県四日市市で,19歳の女性が,生後間もない女児を窒息死させたとして,殺人の被疑事実で逮捕されたとのことです(被疑者は被疑事実を否認しているとのこと)。

少年法では,満20歳に満たない者は「少年」と扱われますので,前記女性は犯罪少年として,一旦,家庭裁判所に送致されます(全件送致主義)。
もっとも,行為時16歳以上の少年で,故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪に当たる事件の場合は,原則として検察官送致の決定をしなければならないと規定されていることから(少年法20条2項本文),ほぼ間違いなく逆送(家裁が刑事処分相当として検察官に送致する旨の決定をすること)されて,刑事裁判手続(犯罪類型からすると裁判員裁判対象事件)に付されるはずです。

先程原則と述べたように,「犯行の動機及び態様,犯行後の情況,少年の性格,年齢,行状及び環境その他の事情を考慮し,刑事処分以外の措置を相当と認めるとき」は,例外的に逆送以外の処分をすることができるとされています(少年法20条2項但書)。
しかしながら,本件では無抵抗の乳児が被害者であって動機に酌むべき点が乏しいように思われること,否認していることもあって犯行後の情状として特段考慮されるべき事情が見当たらないこと等からすると,例外事情に該当する可能性は低く,逆送は避けられないように思われます。