相続と建物賃貸借1

最近,建物を賃借している方が亡くなった案件で,同居人の地位がどのように保護されるのかという相談を受けました。

こうした例は,司法試験(弁護士になる前段階の試験)の勉強では,何度も復習しますが,実務では,意外に法律上どのように処理されるべきかを真正面から検討することは少ないように思います。
というのも,実際には,何十年も使い続けるという考えではなく,当面の間使用するためという考えで賃貸借契約を結ぶことが多く,長年住み続けた賃借人を保護するという場面まではいかないからです。

ただ,現在であっても,戸建ての住宅を借り,何十年も住み続けているという場合もありますので,そのような場合には,建物の賃貸人(建物の所有者)と賃借人の同居人との間の問題が生じることもあったりします。

まず,同居人が賃借人の相続人である場合は,賃借人の地位が相続人に引き継がれますので,同居人は,建物を借り続けることができるということになります。
もちろん,賃借人の地位が引き継がれるわけですから,同居人は,賃料を支払う必要があります。
他方,同居人が賃料を支払い続ける間は,他に背信行為がなければ,一方的に賃貸借契約を解除されるような事態は避け得るということになります。

次に,同居人が賃借人の相続人でない場合は,問題が生じます。
同居人が賃貸人と新たに賃貸借契約を結ぶことができれば問題ないですが,できなかった場合は,同居人が賃貸人から退去を求められるのではないかという問題が生じます。
特に,同居人が賃借人の内縁の妻である場合は,法律上の保護があるかどうかを検討する必要があります。

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