相続人がいない場合の不動産の扱い1

ある人が亡くなり,相続人がいる場合には,財産や負債は相続人に引き継がれることとなります。
これに対して,相続人がいない場合には,財産や負債を引き継ぐ人がいないこととなり,財産や負債がいわば宙に浮いた状態になってしまいます。
また,法律上相続人になり得る人がいる場合であっても,相続人になり得る人が全員,相続放棄をした場合も,結局,財産や負債を引き継ぐ人がいないこととなってしまいます。
亡くなった方に多くの負債がある場合には,相続人になり得る人が全員,相続放棄をするということがあり得ます。

このような場合には,亡くなった方に対して債権を有している者が申立を行うことにより,相続財産管理人が付されることがあります。
債権者としては,財産や負債がいわば宙に浮いたままの状態では,権利行使をすることができませんので,相続財産管理人を付し,債権の回収を図ることとなるのです。

相続財産管理人には,おおむね,亡くなられた方の住所地の弁護士会に属する弁護士が選任されることとなります(三重県内なら,三重弁護士会)。
時たま,申立を行った債権者等が,特定の弁護士を相続財産管理人に推薦することもあります。

相続財産管理人は,一度,選任されると,財産を金銭に代える等し,負債の返済を進めることとなります。
財産が預貯金や株式であれば,財産を金銭にすることは簡単ですが,財産に不動産が含まれる場合には,不動産を売却し,金銭に代えることを試みることとなります。
法律上は,最終的には,財産は国庫に帰属するとされていますが,債権者への返済を行うため,金銭に代えることを求められることもありますし,国が不動産の引継ぎに難色を示すこともありますので,基本的には,不動産の売却等を試みることとなります。

ただ,不動産によっては,おおよそ買手がつかず,金銭に代えることが困難であるものも存在します。
農地や山林等につきましては,買手がなかなか見つからないことも多いでしょうし,道路が存在しない(または十分な幅の道路がない)等も,買手がつかないことがあると思います。
このような場合は,亡くなった方と関係の深い人等を当たり,低目の価格ででも売却等を試みることもあるものと思います。

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