超過特別受益3

相続人の一部が多額の生前贈与を受けており,遺産がほとんど残っていない場合には,遺産分割の中で,贈与を受けた財産を戻すよう請求することはできません。
それでは,生前贈与を受けていない相続人は,生前贈与を受けた相続人に対して,一切法的主張ができなくなってしまうのでしょうか。

生前贈与を受けた財産が多額にのぼる場合には,相続人間で,著しい不均衡が生じているとの捉え方があります。
このような場合には,法律上,遺留分の主張をすることにより,不均衡をある程度修正することができるとされています。
生前贈与を受けた相続人に対し,遺留分減殺請求を行うことにより,生前贈与を受けた財産の一部の取り戻しを請求することができるのです。

ただし,遺留分として請求できるのは,あくまでも,法定相続分の2分の1(場合によっては3分の1)です。
また,遺留分減殺請求は,遺留分侵害の事実を知った時から1年(今回の場合だと,相続開始後に生前贈与の存在が明らかになった場合には,生前贈与の存在を知った時から1年)に限られます。
相続開始から10年が経過すると,そもそも,遺留分減殺請求ができなくなってしまいます。
このように,遺留分の主張をする場合には,いろいろと留意すべき点があります。

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