登記関係の訴訟2

登記関係の訴訟を行う場合,重要なのは,どのようにして,売買契約や贈与契約が行われていないことを証明するかということです。
たとえば,売買契約書や贈与契約書が他の人によって勝手に作られた場合,どのようにして,登記の抹消を求めればよいのでしょうか。

まず考えられることは,登記申請の際に提出された書類を確認することです。
登記申請に際しては,売買契約書等,実際に契約時に当事者が署名・押印した契約書が提出されている場合があります。
また,契約書自体ではなかったとしても,売渡証書等,代わりに契約の成立を証明する書類が提出されています。
これらの書類について,自分以外の人間が署名・押印している場合は,書類が偽造されたとの主張を行う余地が生じます。

登記申請書等については,法務局において,10年間保存されています(平成20年7月以降は30年間)。
これらの書類については,法務局の窓口において,閲覧(写真撮影も可)することができます。

閲覧ができる法務局は,実際に申請が行われた法務局です(松阪市の法務局で,全国の申請書が確認できるわけではありません。)。
このため,事案によっては,遠方の法務局へ赴く必要があります。

このように,書類の保存期間が設けられていますので,登記に関する問題が生じた場合には,早目に証拠を手元に残すよう,手続を行った方が良いと言えます。

登記関係の訴訟1

土地,建物を売買したり贈与したりする場合,法務局で,売買や贈与を行ったことの登記を行う必要があります。
これは,売買や贈与の結果,誰が新しい所有者になったのか等を,公的に明らかにする必要があるからです。

登記を行う場合には,法務局において,登記申請書とともに,売買契約書等,所有権が移転したことを証明する資料等を提供する必要があります。
これらを受け取った法務局は,登記申請書や契約書等に形式的な不備がないかを審査し,問題がなければ,登記を行うことになります。

ここで注意しなければならないのは,法務局は,登記申請書や契約書等の形式的審査を行うだけであるということです。
法務局は,これらの書面を受け取ると書面の字面を確認するのですが,買主や売主に聴き取り調査を行うこと等により,本当に契約が行われたかどうかの確認をすることはありません。
ですから,実際には,売買契約や贈与契約が行われていないにもかかわらず,法務局に偽造された契約書等が提出されることにより,法務局は,基本的に,所有権が移転したとの登記を行ってしまうのです。
また,判断能力がないにもかかわらず行われた契約や,強迫により行われた契約等,契約自体に法的に問題があるかどうかについても,通常,法務局で確認が行われることはありません。

このため,すでに売買や贈与の登記が行われた場合であっても,これらの契約が実際には行われていなかったとして,登記の抹消を求められる方が,しばしばいらっしゃいます。
そして,実際には,これらの契約が行われていなかったと認められる場合には,抹消登記手続請求訴訟等により,登記の記載が是正されることになるのです。
弁護士として仕事をすると,しばしば,このような登記関係の案件を扱うこととなります。

夏休み

裁判所には,夏休みのようなもの(夏期休廷)があります。
ただし,裁判所は,裁判官毎に別々の時期に休みをとりますので,裁判官が複数の裁判所の場合,裁判所自体が閉まってしまうことはありません。
また,裁判官によっては,夏期休廷も裁判所に来て,起案等をされる方もいらっしゃいます。

ですから,弁護士の側は,個人的にこの当たりで休みを取ろうと計画を立て,その間は裁判を入れないこととすることで,夏休みを確保することになります(それか,夏休みはないものとします)。

公正証書3

公正証書を作成するメリットは,もう1つあります。
お金を払ってもらう内容の公正証書については,「直ちに強制執行を受けても異議のないことを承諾する」等の文言を入れることにより,相手方が支払わなかった場合には,強制執行の申立を行うことができます。

私的な合意書の場合,合意書を交わしただけでは,すぐに強制執行の申立を行うことができるわけではありません。
強制執行申立を行うためには,裁判所で,和解金支払請求訴訟等を提起し,判決等をもらう必要があります。
これに対して,公正証書の場合,裁判所で判決等をとらなくても,強制執行の申立を行うことができ,時間的にも費用的にも節約ができることになるのです。

ただし,お金を払う内容の公正証書ではない場合(建物を明け渡す等)については,公正証書を作ったからといって,すぐに強制執行を行えるわけではなりません。
この場合には,強制執行を行うに先立ち,訴訟等の手続を経る必要があることになります。
建物の明渡の場合で,約束が守られない場合にすぐに強制執行を行いたい場合は,公正証書ではなく,即決和解等の手続を検討することになります。

公正証書2

法律相談等で,しばしば,公正証書を作成した方がよいかどうかを聞かれることがあります。

公正証書を作成するメリットの1つは,合意が有効に成立したかどうかが争われにくいというところにあります。
たとえば,私的に作った合意書の場合,この文書に署名・押印したことはない,この文書は偽造されたものであると争われることがあります。
たしかに,相手方の署名欄に勝手に名前を書いて,押印欄に近くの判子屋で買ってきた印鑑を押して,文書を偽造するということは,あり得ます。
このような争いになった場合には,筆跡鑑定等をして,合意書の署名と相手方の署名との同一性を確認しなければならないこともあり得ます。

他方,公正証書については,公証人が本人確認を行い,公証人が文面を読み上げる等した上で作成されます。
本人確認は,免許証等,顔写真のあるもので行われます。
代理人が作成する場合には,本人の印鑑証明書の提出が求められます。
公正証書の場合,このように,きちんと手続にのっとって作成されることから,有効性が強く担保されることになるのです。

公正証書1

離婚事件や相続事件を扱うと,公正証書を作成することがあります。
公正証書は,公証役場で公証人の関与のもとに作成されるものです。
公正証書を作成する場合には,内容に応じた手数料を払わなけれえばなりません。

公証人は,複数の案件を処理しなければなりませんので,事前に予約をとってから,相手方と一緒に公証役場に赴く必要があります。
また,事前に文案を作成し,公証役場に提出することを求められることもあります。

公正証書の文面については,少しの文言の違いで,法的な扱いが違ってくることがありますので,慎重に文案を作成する必要があると言えます。
たとえば,遺言で,不動産を「相続させる」という文言を用いた場合,相続登記手続については,不動産を取得することになる相続人が単独ですることができますが,不動産を「遺贈する」という文言を用いた場合,不動産を取得しない相続人の署名等をもらえなければ,登記手続ができないことがあります(遺言執行者を指定しない場合)。
文案の作成に当たっては,弁護士等の専門家に相談される方もいらっしゃいます。

在留許可

不法滞在の刑事弁護を受けると,強制送還された後に,日本に戻る方法がないか,質問を受けることがあります。

一般的には,一度強制送還されると,法律上,5年間入国することができなくなりますし,5年経過後であっても,入国が認められる可能性は,低くなります。

特別な事情がある場合(日本国内に未成熟氏がいる等)には,在留特別許可により,入国が認められるとされていますが,認められる可能性は極めて小さいです。

一般的に,在留関係を扱う弁護士は少ないですが,仕事の流れの中で,在留関係の質問を受けることは,時々あります。
書式自体は法務省のホームページにありますので,色々と参考になります。

サイトのリニューアル

松阪の過払いのサイトを,再度,リニューアルしました。
次は,会社設立,相続のサイトがリニューアル予定です。

台風2

弁護士の場合は,台風が接近しているとしても,通常どおり裁判が行われますよということでも問題がないかもしれませんが,一般の方の場合は,そうはいかないこともあります。
たとえば,刑事事件で裁判員裁判が行われる場合には,台風が来ていたとしても通常どおり進めますと言って訴訟を進めて良いのか,悩ましい問題が生じることがあるようです。

今回の台風では,台風が接近していることを理由として,裁判員裁判の期日を延期した裁判体もあるようです。
裁判所の運用によるところですが,裁判員裁判の場合だと,裁判員の選任手続を延期したり,期日を延期したりする例が多いように思います。

やはり,裁判員裁判の場合は,交通機関が動いている限り,裁判があることを前提として行動するように,とはいかないようです。

台風1

週末にかけて台風が日本列島に接近する見込みです。
週末に裁判の期日が入っていますので,裁判を行うことができるかどうかが気になるところです。

台風が接近していたとしても,裁判の期日は,前もって決められた日に行うこととなります。
台風が接近する見込みであるからといって,裁判を休みにしましょうとなるわけではありません。
弁護士としては,台風が接近する予報であったとしても,基本的には,裁判が行われるという前提のもと,行動しなければなりません。

ただ,実際問題として,台風の影響で交通機関がストップし,裁判所に行くことができない場合には,裁判を進めることができません。
そのような場合には,手続を延期にし,次の期日で裁判を進めましょうということになります。