飲酒運転と行政処分
1 飲酒運転と法規制
飲酒運転とは、酒気帯び運転と酒酔い運転を併せた呼称です。
酒気帯び運転とは、飲酒により呼気中のアルコール濃度が0.15mg/ℓある状態で車両等を運転することをいいます。
アルコール濃度は、通常、警察官がアルコール検知器を使用して調べられます。
酒酔い運転とは、飲酒量に関わらず、アルコールの影響により正常な運転ができないおそれのある状態で車両等を運転することをいいます。
「アルコールの影響により正常な運転ができないおそれのある状態」とは、絶対的な数値基準があるわけではなく、個別具体的に判断されます。
例えば、直前に蛇行運転をしていたとか、直後の事情聴取時に直立できない・正常に歩行できない・正常に受け答えができない等の事情が複数確認されれば、前述の状態にあったと評価される可能性が高くなります。
このような飲酒運転は、これまでに多くの交通事故、特に死者を伴う悲惨な事故を起こした要因と考えられており、当然のことながら法律上禁止されています。
運転者本人はもちろん、車を貸したり酒を提供したりした人や、同乗者も罪に問われる可能性があります(道路交通法65条2項乃至4項参照)。
2 行政処分とその流れ
運転行為に関する行政処分は点数制が設けられており、違反点数・累積点数・違反歴によって処分内容が決まります。
行政処分を管轄するのは、公安委員会です。
酒気帯び運転の場合は、現状、アルコール濃度が0.15mg/ℓ以上であれば13点、0.25mg/ℓ以上であれば25点となっています。
違反歴なしの場合、前者なら免許停止90日で、後者なら欠格期間2年以上の免許取消しとなります。
公安委員会が、90日以上の免許停止や免許取消しをしようとする場合、公開による意見の聴取を行わなければならないと規定しています。
ただ、公開とされてはいるものの、県警本部等の警察施設で行われることが多いことに加え、入退室のチェックがされており、裁判のように自由に傍聴できるというものではないようです。
運転者本人や代理人・補佐人となる弁護士は、事前に意見書や証拠を提出することができます。
意見聴き取りの時間は短く、1回きりですので、事前に関係書類の提出し、主宰者に見ておいてもらうことが重要となります。
意見の聞き取りを経て、公安委員会は、その者に運転者としての危険性がより低いと評価すべき特段の事情があると判断したときは、処分を軽減することができるとしています。
しかし、実態としては、処分の軽減は容易く認められませんし、特に飲酒運転については、基本的に軽減はしないという立場がとられているようです。