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弁護士法人心 津法律事務所

代償分割のメリット、デメリット

  • 文責:代表 弁護士 西尾有司
  • 最終更新日:2024年8月19日

1 遺産分割の方法

各相続人が相続分に基づく権利を主張する場合は、相続財産を分ける必要があります。

このとき、不動産等、現物を分割することができない財産がある場合は、遺産分割の方法を工夫する必要があります。

このような場合の分割方法としては、代償分割と換価分割、共有分割が考えられます。

代償分割は、特定の人が不動産等を取得し、その他の相続人に対して、相続分に相当する金銭を支払うことを言います。

換価分割は、不動産等を売却し、売却代金を分割することを言います。

共有分割は、不動産等を共有にしてしまうことを言います。

上記のうち、共有分割は問題の先送りに等しいため、基本的には、代償分割か換価分割の方法が用いられることとなります。

遺産分割の場面では、それぞれの分割方法のメリット、デメリットを比較して、遺産分割の進め方を確定する必要があります。

ここでは、代償分割について、特に換価分割と比較してどのようなメリット、デメリットがあるかについて、説明したいと思います。

2 代償分割のメリット

代償分割のメリットは、不動産等を売却せずに相続できることです。

遺産分割後も不動産等をそのまま使用することができます。

そのため、相続後も不動産等を引き続き使用したいという場合には、代償分割の方法が用いられることとなります。

また、不動産等の売却を予定している場合は、代償分割の結果、不動産等を完全に取得することによって、後日、高値で売却できた場合は、売却益のすべてを取得することができます。

当初想定していた金額よりも高値で売却できたとしても、代償分割済みでしたら、売却益は、基本的には、不動産等を所得した相続人がすべて取得できることとなります。

3 代償分割のデメリット

代償分割のデメリットは、先程と裏腹な話になります。

代償分割を行うと、対象となった財産についての負担をすべて負うこととなります。

遺産分割後も不動産等を所有し続ける場合は、基本的には、代償分割によって不動産等を取得した相続人が、今後の管理費用をすべて負担することとなります。

不動産等を売却する場合も、低い価格でしか売却できなかった場合、その損はすべて不動産等を取得した相続人が負うこととなり、基本的には、他の相続人に対して清算を求めることはできないこととなります。

売却時に発生する譲渡税等の税負担、仲介手数料、測量費等の経費負担も、不動産等を取得した相続人が負うこととなります。

代償分割を行う際に、代償金を準備しなければいけないため、資力がないと難しいという点もデメリットとして挙げられます。

また、不動産の評価は難しく、評価方法や金額をめぐり、相続人同士でトラブルになるおそれがあります。

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