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弁護士法人心 津法律事務所

公正証書遺言を作成する際の流れ

  • 文責:代表 弁護士 西尾有司
  • 最終更新日:2022年11月16日

1 公正証書遺言の作成方法

遺言の作成方法は、民法という法律で定められています。

公正証書遺言の場合ですと、民法969条が以下のように定めています。

公正証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。

一 証人2人以上の立会いがあること。

二 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。

三 公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させること。

四 遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押すこと。ただし、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。

五 公証人が、その証書は前各号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。

もっとも、実際に遺言を作成するに当たっては、事前にどのような情報を取得するか、どのように遺言の内容を確定するか、確定された遺言の内容をどのように先程の流れに結びつけていくかを意識する必要があります。

ここでは、公正証書遺言について、作成の流れを、準備の段階から説明したいと思います。

2 資料の取得

すべての財産を誰かに引き継ぐという内容の遺言でしたら、個々の財産の情報をあまり意識しなくても、遺言自体は作成することができます。

財産のうち2分の1をAに引き継ぎ、4分の1をBに引き継ぎ、4分の1をCに引き継ぐというように、割合で相続させるという内容の遺言も同様です。

他方、個別の財産を誰々に引き継ぐという内容の条項を含む遺言を作成する場合は、個別で引き継がれる財産を特定して記載する必要があるため、その財産を特定する資料を得る必要があります。

これらについては、公証役場に提出し、公証人に確認してもらい、公正証書遺言に反映することとなります。

不動産でしたら、登記簿上不動産がどのように記録されているかを確認し、その記録内容を遺言に反映する必要があります。

このため、不動産の登記簿や登記情報を取得する必要があります。

未登記の不動産がある場合は、市町村役場が発行する、名寄帳等の記載に基づいて、不動産を特定する必要がありますので、これらの書類も取得する必要があります。

同様に株式、有価証券についても、証券会社から届く残高報告書等で銘柄、数量等を確認する必要がありますし、預貯金についても、通帳等で金融機関、口座番号等を確認する必要があることがあります。

また、公正証書遺言の場合ですと、遺言を作成する方の戸籍及び印鑑証明書(3か月以内に発行されたもの)、財産を受け取る人の戸籍(親族の場合)または住民票が必須になりますので、これらの書類も取得しておくとスムーズでしょう。

3 遺言案の作成

次に、遺言案を作成します。

遺言案では、主として誰にどの財産を引き継ぐかを決めることとなります。

遺言は、財産を引き継ぎたい人に、確実に財産を引き継ぐための手段となります。

財産の引き継ぎを確実に進めるためには、遺言の1つ1つの条項が、手続が可能な文言になっている必要があります。

遺言の文言については、最終的には、公証人に委ねられることとなりますが、遺言の雛形等を参照しながら遺言案を作成すると、適切な文言を用いることができ、その後の公証人とのやり取りもスムーズになると思います。

また、財産の確実な引き継ぎだけでなく、遺留分を意識した遺言を作成することもあります。

この場合には、どのように遺留分対策を行うかも検討した上で、遺言案を作成することとなります。

4 公証人とのやり取り、遺言の作成

これらの準備を終えた上で、公証人とのやり取りを行うと、スムーズに進むでしょう。

まずは、公証人に準備した公的資料(戸籍、印鑑証明書、登記簿等)や遺言案を送付します。

その後、公証人との間で、遺言の正式な内容について協議し、遺言の内容を確定します。

こうした準備を終えた上で、公正証書遺言を作成する日時を調整し、民法の定める方式に従い、遺言の作成がなされることとなります。

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