個人再生で再生委員がつかないケース
1 個人再生委員とは
個人再生委員は、個人再生手続きにおいて、裁判所から選任され、個人再生手続きの指導・監督などを行う人のことを言います。
裁判所に代わって、申立人の財産や収入を知ら食べたり、債務の状況を確認したりする職務も負っています。
一番重要な職務は、再生計画案作成に対する指示であると思われます。
2 個人再生委員がつくと…
個人再生委員がつくと、当該個人再生委員の報酬が必要となるため、裁判所への予納金がつかない場合と比べ、格段に金額が上がります。
個人再生委員がつかないケースだと、予納金は官報掲載料程度なので、1万数千円ていどですが、個人再生委員がつくケースだと、15~30万円程度になってしまいます。
また、個人再生委員との面談が必要となりますので、手間もかかってしまいます。
3 個人再生委員がつくケースとつかないケース
東京地方裁判所では、全件に個人再生委員がつくと言われています。
しかし、津地方裁判所管内では、個人再生委員がつくケースの方が稀です。
ですので、どういう場合に個人再生委員がつくケースに該当するのかについて例を挙げていきたいと思います。
逆にいえば、以下のケース以外の場合は、個人再生委員がつかない可能性が高いと考えていただければよいでしょう。
⑴ 債務額が多額である場合
債務総額が数千万円以上になるような場合や資産状況が複雑な場合などは手続きを慎重にする必要性が高くなります。
そのため、このような場合には、裁判所の判断によって、個人再生委員が選任される可能性があります。
実際、住宅ローンの関係で財産関係が少し複雑であった場合に個人再生委員ついたケースがありました(ただ、私の経験上、個人再生委員がついたケースは、10数年申立を続けてきて、この1件だけです。)
⑵ 申立代理人がいない場合や代理人が弁護士以外の場合
個人再生手続きは、法律の規定が複雑な手続きです。
特に、再生計画案作成は複雑な作業です。これを間違えてしまうと、再生計画案の認可が出してもらえないという事態も生じかねません。
そのため、弁護士が代理人についてない場合、手続きに不慣れな申立人では手続きの進行に不安が伴ってしまいます。
そこで、手続きの進行について指導・監督を行うべく、個人再生委員がつくこととなります。