月別アーカイブ: 2016年 9月

法曹人口

今年の司法試験の合格者数が1583名であるとの報道がなされました。
以前は3000名近い合格者数があったことを考えると,司法試験の合格者数はかなり減少しています。
主たる原因は,法科大学院の入学者数が減少した結果,司法試験の受験者数が減少したことにあると見られています。

合格者数1500名程度という数字は,まだ多すぎるという意見が多いですが,法曹需要を考えると,1500名程度の合格者数を維持しなければならないという意見もあるようです。
今後,合格者数について弁護士がどのような意見を示すべきか,様々な意見が出てくることとなりそうです。

農地の名義変更

農地の名義変更(売買,贈与等)は,一定の条件を満たさなければ認められないことがあります。
売買や名義変更の場合は,基本的に,農業委員会の許可を得なければなりません。
農業委員会の許可を得られなければ,登記手続等を進めることができません。
どのような場合に農業委員会の許可を得られるかについては,各農業委員会において,一定の基準を持っています。
たとえば,売買や贈与で農地を受け取る側が,ある程度の規模で農業を営んでいる場合等がこれに当たります。
裏返せば,農地を受け取る側が農業を営んでいない場合は,許可される余地が小さくなります。

これに対して,農地を相続する場合は,農業委員会の許可は必要ではなく,届出のみで足りることとなっています。
相続により,相続人が農地を遺産共有しているとして登記する場合は,許可を得る必要がありません。
また,遺産分割協議がなされ,相続人の1人が農地を取得することとなった場合も,許可を得る必要がありません。

これに対して,農地を共有している場合に,(共有物分割を行い,)共有者の1人が農地を取得することとする場合には,農業委員会の許可を得る必要があります。
相続による共有の場合には,1人の所有にするために許可を得る必要がありませんが,通常の共有の場合には,1人の所有にするために許可を得なければならないこととなるのです。
ただ,共有のまま農地を置いておくと,将来,共有者の間で法的紛争が起きる可能性があり,望ましくないこともあります。
このため,弁護士に対する相談として,共有状態を解消するために,何らかの手段がないかとご相談いただくこともあります。

共有物分割以外に,共有状態を解消する手段としては,共有持分の放棄を行うという手があります。
たとえば,共有者が3人である場合は,2人が共有持分を放棄すれば,残りの1人の単独所有にすることができるのです。
そして,共有持分の放棄の場合は,農業委員会の許可の対象にならないと解釈されています。
そこで,共有者全員のコンセンサスが得られる場合には,共有持分の放棄により,名義変更を行うことを提案することがあります。

農地については,何らかの方法で名義変更できないか,手立てを考えなければならない場合があります。
共有持分の放棄を使える場合等,解決策が存在する場合もありますが,そうでない場合は,悩ましい事案もしばしばあります。