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民事信託と遺留分減殺請求3

もし,民事信託が本当に遺留分対策になるのであれば,弁護士が,遺留分対策として,民事信託の利用を勧める例も出てくるかもしれません。
将来,こうした例が生じた場面に備える意味でも,民事信託についての知識を持っておく必要があるように思います。

もっとも,現時点で,民事信託と遺留分減殺請求については,裁判例の集積がありません。
現段階では,遺留分減殺請求がなされた場合に,そもそも,受託者が遺留分減殺請求の相手方になるのか,受益者が遺留分減殺請求の相手方になるのかすら,定まった見解が存在しないところです。
このため,前回述べたような,収益受益権を取得させることにより,遺留分減殺請求権の行使を回避することができるという解釈をとることができるかどうかについても,現段階では,不確定と言わざるを得ないところがあります。
この点については,今後の裁判例の集積を待つよりほかありません。

結局,現段階では,民事信託を利用するとしても,異なる見解がとられる可能性があることを前提とすべきでしょうし,この点が問題となった事案では,新しい裁判例を作るつもりで臨まなければならないところだと思います。
また,実際に民事信託を組む立場に立った場合には,不確定な部分については不確定であるとの説明を行い,異なる見解が主張された場合にはどのように対応するべきかについても,対策を立てておく必要があるところだと思います。