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小規模宅地等の特例2

それでは,どのような内容の遺産分割協議であれば,小規模宅地等の特例を用いることができるのでしょうか。
被相続人の自宅不動産につき,遺産分割協議を行うときは,おおむね以下の場合に,80%減の特例を用いることができるとされています。
① 配偶者が自宅不動産を取得
② 被相続人と同居していた親族が自宅不動産を取得
(他には,持家を有しない一定の親族についても,特例を用いることができます。)

たとえば,相続人が,被相続人の妻,被相続人の子(被相続人と同居していない)である場合を考えたいと思います。
この場合,被相続人の自宅不動産を,被相続人の子(被相続人と同居していない)の名義にしてしまうと,基本的に,80%減の特例を使うことができなくなってしまいます。
他方,被相続人の自宅不動産を,被相続人の妻名義にした場合,80%減の特例を用いることができることとなります。

このように,どのような遺産分割協議書案を提示するかによって,相続税の金額が大きく変わってくる可能性がありますため,弁護士の仕事も,相続税と無縁であると考えることはできません。
法律業務に携わる以上,幅広い知識を持たなければならないと痛感します。

小規模宅地等の特例1

今年から,相続税の基礎控除額が引き下げとなり,相続税が大幅に増税されることとなります。
このため,相続税が課税される割合が,去年までと比べ,大きく増加することとなります。
今年からは,弁護士の仕事についても,これまで以上に,相続税を見据えつつの事件処理が求められることとなるように思います。

弁護士として相続の案件に関わる場面としては,遺産分割が最も代表的であると思います。
遺産分割の案件では,弁護士の側から,相手方に対して,遺産分割協議書案を提示することが多々あります。
相続税が課税される案件では,できれば,相続税を見据えた遺産分割協議書案(相続税の額が少なくなる案)を提示したいものです。
遺産分割協議書案について,税金面での検討が不十分であったため,相続税の金額が大きくなるといった事態は,できれば避けたいものです。

この点,小規模宅地等の特例は,しっかりと押さえておきたい制度だと思います。
小規模宅地等の特例は,被相続人等が居住していた不動産について,一定の場合に,不動産の評価額が軽減される制度です。
たとえば,被相続人の自宅不動産については,一定の面積(基本的に330㎡)について,不動産の評価額が80%減額されることとなります。
例として,多額の遺産が存在し,相続税の累進税率のうち,40%部分までが適用されている場合に,2000万円の評価額がついている300㎡の自宅不動産があったとします。
この場合に,小規模宅地等の特例を用いれば,2000万円×80%(評価額減)×40%(税率)=640万円もの税負担が軽減されることも,あり得るということになります(ただし,評価額減により,累進税率の30%部分までが適用されることとなる場合は,軽減幅は小さくなります。)。
このように,特例を用いるかどうか次第で,相続税の税額が大きく軽減される可能性があるのが,小規模宅地等の特例です。

ただし,遺産分割の内容次第では,特例を使えたり使えなかったりするため,注意が必要です。
また,申告期限内に遺産分割協議が成立している等の要件もありますので,紛争性が大きく,遺産分割協議が成立しない場合には,特例を用いることができない場合もあります(3年以内に遺産分割が成立する見込であるとの届出を行う等と手立てを考える必要があります。)。