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お墓の「相続」

お墓が遺産になるかどうかという話が出ることがあります。
このような場合,法的には,原則として,お墓は相続の対象にはならないという話をすることになります。

お墓というと,まず,墓石を思い浮かべることが多いと思います。
墓石は,法律上,祭祀財産とされています。
祭祀財産は,祭祀主宰者に引き継がれることとなっています。
このため,墓石は,遺産とは別の理屈で引き継がれることとなります。

祭祀主宰者は,第一に,被相続人の意思,第二に,被相続人の意思が明らかではない場合は,慣習,第三に,慣習が明らかではない場合は,家庭裁判所の審判により決まることとなっています。
遺産のように,遺言がない場合は,相続人間の協議等で決めるわけではないのです。
このことは,私法上の大原則を定めた民法において,明確に規定されています。

以上のような規定になっていますので,祭祀財産の引継ぎは,通常の遺産分割とは異なる部分が色々とあります。
たとえば,被相続人の意思については,遺言のように書面で残っている必要はなく,口頭で示しても構わないという違いがあります。
他にも,慣習や審判により,相続人ではない人(内縁の配偶者等)が祭祀主宰者になる場合もあり得ます。

墓石以外にも,墓地利用権についても,祭祀主宰者に引き継がれることとなります。
お墓を設ける際,お寺や公設墓地との間で,墓地利用権が設定されます。
このような権利についても,祭祀財産として,祭祀主宰者に引き継がれることとなるのです。

このようなお墓の引継ぎの問題は,弁護士であっても,正面から事件として担当することはほとんどありません(相談を受けることは,時たまあります)。
法的には上記の通りですが,実際には,相続人の話し合いの結果で決まることが多く,話し合いで決まった場合には法律問題が表面に出てきません。
ただ,万一,法律問題が表面に出てしまった場合には,民法の大原則に立ち返って結論を導き出す必要があります。

民法改正

弁護士会での民法改正の勉強会に参加してきました。
今回のテーマは,保証についてでした。

保証制度につきましては,今回の民法改正で大きな変更が行われることとなります。
特に,事業により生じた債務を保証する場合は,原則,保証契約を締結するに際し,公正証書の作成が義務付けられることとなったことは,大きな変更点であると言えます。
ただし,保証人が会社の代表者である場合等につきましては,上記の例外として,公正証書を作成する必要はないとされています。

他にも,主債務者が期限の利益を失った場合は,保証人は,債権者に対し,債務の額等についての情報の開示を請求することができるとの規定も設けられるようです。
主債務者が債務の返済を一定回数怠った場合には,債権者は,主債務者に対し,債務の残額を一括して請求することができるとされています。
このように,一括請求できる状態になることを,期限の利益を失ったと呼称します。
このような場合,主債務者が返済をしなければ,債権者は,保証人に対して請求を行うことができます。
裏返せば,保証人は,いつ何時,債権者から一括請求されるか分からない状態に陥るのです。
保証人であれば,当然,債務の残額等の情報を知りたいということになりますが,従前は,債権者は,保証人への情報開示に応じない場合がありました。
そこで,今回の民法改正で,上記の場合に,債権者は,保証人から情報開示の請求に応じなければならないとなったのです。

現時点では,民法改正がいつになるのか等,未定の部分も多いですが,徐々に,改正を見越しての情報収集を行う時期に差し掛かりつつあるようです。