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再転相続の場合の相続放棄①

8月9日付で,再転相続の場合の相続放棄についての最高裁の判決が出ました。

再転相続とは,以下のような場合のことを言います。
① Aが死亡し,BがAの相続人となった。
② その後,Bが死亡し,CがBの相続人となった。

①の相続により,BはAの相続人である地位を有することとなるのですが,②の相続により,このAの相続人である地位が,Cへ引き継がれることとなります。
このように,Aの相続人である地位がBからCへ引き継がれることを,再転相続と言います。

それでは,どのような場合に,相続放棄が問題となるのでしょうか。
考えなければならないのは,Aに多額の負債があったり,管理が困難な遺産があったりする場合です。
相続人としては,Aの遺産を引き継ぎたくないと考えることもあろうかと思います。

このような場合,Bが,存命である間に①の相続について相続放棄を行っていれば,BはAの相続人である地位を有しないこととなりますので,②の相続があったとしても,当然,Cは,Aの相続人である地位を引き継ぐことはないこととなります。

問題となるのは,Bが,存命である間に①の相続についての相続放棄を行っていなかった場合です。
Cは,どのようにすれば,Aの相続人である地位を引き継がずに済むのでしょうか。

1つ目の回答としては,Cが,②の相続について相続放棄を行い,Bの相続人である地位を有しないこととしてしまえば良いというものが考えられます。

もっとも,現実には,Cとしては,②の相続について相続放棄を行うことは避けたいと考えることがあります。
それは,Aには多額の債務がある一方,Bにはプラスの財産があるため,②の相続について相続放棄を行うことは避けたいという場合です。
また,Bから自宅不動産を引き継がなければならない場合も,同様に,②の相続について相続放棄を行うことは避けなければならないでしょう。

このように,②の相続について相続放棄を行うことは避けたい場合には,次の回答を用意する必要があります。
それは,Cが,①の相続に限り,相続放棄を行うことです。
これが,再転相続の場合の相続放棄になります。

このように,②の相続について相続放棄を行うことは避けたいが,①の相続に限って相続放棄を行うことを希望する場合に,再転相続の問題が生じてくることとなります。
弁護士として相談をお受けする場合にも,このような相談をお受けすることは,しばしばあります。

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