Monthly Archives: 11月 2017

交通事故(死亡事故)の損害賠償金について

交通事故により被相続人が亡くなられた場合,相続人が,加害者側(保険会社へ請求することもありますので,「加害者側」と言います。)に対し,損害賠償請求を行うことがあり得ます。
法律上は,被相続人が加害者側に対し,損害賠償請求権を持っており,この損害賠償請求権を相続人が相続することとなります。

ところで,相続の場面では,特定の相続人が被相続人から生前贈与を受けている場合,生前贈与が特別受益と扱われるため,その分,生前贈与を受けた相続人の相続分が減少することとなります(ただし,持戻しの免除があったとされる場合は,この限りではありません)。

ここで問題となるのが,交通事故(死亡事故)の損害賠償金についても,生前贈与が考慮され,被相続人から生前贈与を受けた相続人の取得分が減少することとなるかどうかです。
平成28年12月の最高裁の決定は,預貯金が遺産分割の対象となり,生前贈与が考慮される,つまり,被相続人から生前贈与を受けた相続人の取得分が減少することとなるという結論を出しました。
このため,交通事故(死亡事故)の損害賠償金についても,預貯金と同様,生前贈与が考慮されるかどうかが問題となるところです。
この点について,平成28年12月の最高裁決定の評釈は,おおむね,交通事故(死亡事故)の損害賠償金は,遺産分割の対象にならず,生前贈与が考慮されないとしています。
実質的な理由としては,交通事故(死亡事故)の損害賠償金の請求について,生前贈与が考慮されることとなると,生前贈与の有無についての判断がなされない限り,どの相続人がどれだけの請求を行うことができるかを確定することができず,紛争が長期化,複雑化するから,ということが挙げられています。

以上を踏まえると,特定の相続人に対する被相続人からの生前贈与がある場合は,交通事故(死亡事故)の損害賠償金は,法定相続分どおりにしか請求できず,生前贈与については,交通事故(死亡事故)の損害賠償金以外の遺産の分割の場面で考慮されることとなりそうです。
そして,交通事故(死亡事故)の損害賠償金以外に遺産が存在しない場合は,事実上,生前贈与が考慮される場面が存在しなくなるということになりそうです。
この点について,公平性の見地からいかがなものかという意見もあり得るところですが,紛争の長期化,複雑化を避けるべきであるという理由からか,これまでどおり,法定相続分での請求が妥当であるという意見の方が強いようです。

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利息・遅延損害金の計算(365日日割計算の約定がない場合)2

計算が幾分か複雑になるのは,「何日」の部分に閏年が含まれている場合です。
この場合も,発想自体は同じで,「何年」+「何日」を計算し,「何日」の部分については年数に計算しなおすこととなります。
ただし,閏年が含まれる場合だと,「何日」の部分を年数に計算しなおす際に,「日数÷365日」で計算する部分と「日数÷366日」で計算する部分とに分けて計算する必要が生じます。
つまり,「何年」+「何日(閏年を含まない部分)」+「何日(閏年を含む部分)」に分けて考える必要があるということになります。
具体的には,以下のとおりです。

元本100万円,遅延損害金5%
平成22年6月3日から平成24年3月2日までの場合
 ⇒ 年に満つる期間
   平成22年6月3日から平成23年6月2日までの「1年」
 ⇒ 年に満たない期間
   平成23年6月3日から平成24年3月2日までの「274日」
   ただし,
    ⇒ 閏年を含まない部分
      平成23年6月3日から平成23年12月31日までの「212日」
    ⇒ 閏年を含む部分
      平成24年1月1日から平成24年3月2日までの「62日」

この場合,「1年」+「212日(閏年を含まない部分)」+「62日(閏年を含む部分)」の遅延損害金の額は以下の通りです。
 ⇒ 年に満つる期間
   100万円×5%×1年=5万円
 ⇒ 年に満たない期間(閏年を含まない部分)
   100万円×5%×(212日÷365日)=2万9041円
 ⇒ 年に満たない期間(閏年を含む部分)
   100万円×5%×(62日÷366日)=8469円
 ⇒ 結論
   8万7510円

このように,丁寧に計算をすれば,遅延損害金の額を算定することができます。
もっとも,弁護士の仕事は,たいていが文字を扱う仕事ですので,いざ数字を扱うとなると,「丁寧に計算する」という作業が大変だったりします。

なお,計算結果を切り捨てるか四捨五入するかについて,様々な考え方があるところですが,謙抑的なスタンスに立てば,切り捨てをすることになるものと思います。

利息・遅延損害金の計算(365日日割計算の約定がない場合)1

弁護士の仕事の中で,強制執行の申立てをするために,利息・遅延損害金の計算をすることがあります。
365日日割計算の約定がある場合は,過払の引直計算のエクセルファイルを使って計算することが多いと思いますが,このような約定がない場合は,過払いの引直計算のエクセルファイルでは,計算結果がずれてしまうことがあります。

強制執行の際に利息・遅延損害金を計算する場合には,まず,利息・遅延損害金が発生する期間が「何年」+「何日」なのかを計算する必要があります。
この「何年」+「何日」の計算については,おおむね,以下の計算方法を用いています。

元本100万円,遅延損害金年5%
平成21年10月5日から平成23年12月10日までの場合
 ⇒ 年に満つる期間
   平成21年10月5日から平成23年10月4日までの「2年」
 ⇒ 年に満たない期間
   平成23年10月5日から平成23年12月10日までの「67日」

この場合,「2年」+「67日」の遅延損害金の額は以下の通りです。
 ⇒ 年に満つる期間
   100万円×5%×2年=10万円
 ⇒ 年に満たない期間
   100万円×5%×(67日÷365日)=9178円
 ⇒ 結論
   10万9178円

このように,「何年」の部分については,年利に「年数」をかけて遅延損害金額を計算することとなります。
「何日」の部分については,これを年数に計算しなおす必要があります。
上記の場合だと,「何日」を365日で割れば年数を計算することができますので,年利に「日数÷365日」をかけて遅延損害金を計算することとなります。