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死亡の事実の証明2

次に、生死が不明であることを理由として、家庭裁判所で失踪宣告の手続を行うことが考えられます。
失踪宣告がなされると、死亡したものとみなされますので、その人を手続の当事者に含む必要はないこととなります。

もっとも、失踪宣告についても、一定の問題があります。
いわゆる普通失踪の場合は、7年間生死不明であることを証明する必要があります。この証明は、警察に捜索願いを出されており、その後7年以上所在等が確認できないことによりなされることが多いです。
しかし、長期間生死不明になっている人ですと、そもそも誰も捜索願い等を出していないことがほとんどです。このため、失踪宣告の手続を進めるには、ほとんどの場合、警察に捜索願いを出すところから始める必要があります。
さらに、失踪宣告の申立を行ってからも、手続が完了するまでに1年程度の期間が必要です。
つまり、ご相談を受けてから、遺産分割協議を開始することができるまて、8年程の期間が必要となります。

また、失踪宣告がなされると、7年の期間が満了した時点でその人が死亡したものとみなされますので、新たな相続が発生することとなります。
案件によっては、次の相続人に外国籍の人が含まれることがあり、かえって相続関係が錯綜してしまい、遺産分割協議が事実上不可能になることもあります。

このため、失踪宣告も、適当な解決策にならないことがあります。

3つ目の対処として、不在者財産管理人を選任することが考えられます。
所在不明の人については、不在者財産管理人を選任することができます。
不在者財産管理人選任申立は、その人の従来の住居所(最後の住居所だけではない)か、財産所在地(遺産の所在地を含む)を管轄する家庭裁判所で行います。これらが三重県内にあるのでしたら、津家庭裁判所の本庁か該当する支部が管轄を有することとなります。
不在者財産管理人については、遺産分割等の法律問題に対処しなければなりませんので、弁護士が選任されることが多いです。
不在者財産管理人を選任すると、不在者財産管理人を当事者として、有効な遺産分割協議を進めることが可能となります。
不在者財産管理人の選任自体は、おおむね2~3か月程の期間で行うことができます。
また、不在者財産管理人が当事者となりますので、新たな相続が発生することとなるわけではありません。

ただ、不在者財産管理人は、家庭裁判所の許可のもとに遺産分割協議を行うこととなります。
このため、当方が遺産を取得することを希望するのでしたら、法定相続分額に相当する金額の代償金を支払を行う必要があります。

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