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上場株式の相続税評価

1 上場株式の評価方法
上場株式が相続財産に含まれている場合には、銘柄ごとに相続時点の評価を算定する必要があります。
上場株式については、刻一刻と値動きしますので、いつの時点の価格で評価すべきかが問題になります。

上場株式については、以下の4つの金額のうち、最も低い金額について、相続税が課税されることとなっています。

・ 被相続人が亡くなった日の終値

・ 被相続人が亡くなった月の終値の平均

・ 被相続人が亡くなった月の前月の終値の平均

・ 被相続人が亡くなった月の前々月の終値の平均

2 被相続人が亡くなった日の終値
被相続人が亡くなった日の終値については、ヤフーファイナンスのホームページの、時系列で確認することができます。

それでは、被相続人が亡くなった日が土日祝日であり、取引がなされていない日である場合は、どうなるのでしょうか?

亡くなった日が土日祝日で、取引のない日である場合は、被相続人が亡くなった日に最も近い日の終値で評価します。
たとえば、被相続人が亡くなった日が土曜日であり、金曜日が平日でしたら、金曜日の終値で評価します。
被相続人が亡くなった日が日曜日であり、月曜日が平日でしたら、月曜日の終値で評価します。

被相続人が亡くなった日に最も近い日の終値が2つある場合は、これらの終値の平均をもって評価します。

3 被相続人が亡くなった月、その前月、前々月の終値の平均
被相続人が亡くなった日の終値の平均、被相続人が亡くなった月の前月の終値の平均、被相続人が亡くなった月の前々月の終値の平均については、日本取引所グループのホームページの、月間相場表(投信等相場表)で確認することができます。
なお、月間相場表(投信等相場表)に記載された終値の平均については、小数点以下の部分を切り捨てた上で、株数を乗じる計算を行うことができます。

4 最後に
このように、上場株式については、月毎の平均額を参照するという独特の方法で相続税評価を行うこととなっています。
したがって、相続税申告書に記載されている価格は、必ずしも、相続開始日の評価額ではないこととなります。
この点については、税理士は熟知していますが、弁護士は必ずしも熟知していません。
このため、訴訟においても、相手方の弁護士が、「相続税申告書に記載された上場株式の価格=相続開始日の評価額」であるとの主張を行い、当方が、「相続税申告書に記載された上場株式の価格≠相続開始日の評価額」であるとの指摘を行うといったやり取りを行うことが、しばしばあります。