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葬儀費用の問題2

葬儀費用は相続人が分担すべきであるという見解に立つ場合であっても,何点か留意すべき点があります。

第一に,葬儀費用とは,どの範囲までを言うのかという問題です。

いわゆる,通夜・告別式につきましては,葬儀費用であることが争われ難いと思います。
他方,初七日法要,四十九日法要等については,果たして遺産から差し引くべきかどうかが議論になることがあります。
初盆・三回忌にまで至ると,遺産から差し引くべきであるという主張を維持することは,かなり難しいように思われます。

第二に,分担されるべき葬儀費用は,香典の額を差し引いた残額であるという点です。

過去の裁判例にも,葬儀費用は香典の額とつりあう額になることが多いため,香典の額を超えて葬儀費用を負担したとの証明がなされなければ,葬儀費用を差し引くべきではないとの結論を述べたものがあります(弁護士になってから,何回この裁判例を引用したか分からなくなるくらい,引用しているような気がします)。

このように,葬儀費用の分担を主張する場合には,どの範囲までを主張することができるのか,香典の額との大小がどうなっているのかを検討する必要があるように思います。
しかしながら,現実には,この点についての検討を行うことなく葬儀費用の分担の主張がなされることも多く,手続の遅延を招いてることもあるように思います。
こうした問題については,事前に説明を行い,当事者の理解を得ておく必要があるように思います。

葬儀費用の問題1

相続人間で紛争が表面化している場合には,葬儀費用をだれが負担するかが問題となることが,しばしばあります。

たとえば,遺産分割で争いが生じている場合に,葬儀費用を負担した相続人が,葬儀費用を負担していない相続人に対し,プラスの遺産から葬儀費用を差し引くべきであるという主張がされることがあります。
遺留分減殺請求でも,このような主張が行われることがあります。

他には,相続人の一部が,被相続人の存命の間に,被相続人の口座から多額の預金を出金したことが判明し,他の相続人から預金の返還を求められることがあります。
このような場合に,出金を行った相続人から,出金分の一部は葬儀費用に充てられたのだから,その分は返還する必要がないという主張が行われることがあります。

上記の主張は,いずれも,葬儀費用は相続人で分担されるべきであるということを前提とするものです。
このような主張に対しては,葬儀費用は,葬儀主宰者が負担すべきであるから,相続人が分担すべきであるという主張には応じられないという主張がなされることがあります。
法的には,どちらの主張が妥当なのでしょうか。

この点について,過去の裁判例には,葬儀費用は葬儀主宰者が負担すべきであるとしたものがあります。
ただ,葬儀費用を分担するべきであるとの前提のもとに結論を出した裁判例もあります。
このため,どちらかというと,葬儀主宰者が負担とされる傾向にあるという表現にとどめておいた方が良いように思います。

このように,葬儀費用の扱いにつきましては,即座に結論を出しにくい部分があります。
最終的には,弁護士として案件に携わる以上,どちらの側に立つかによって,依って立つ見解が変わる部分もあると言わざるを得ないこともあります。