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JA貯金が存在する場合の相続税申告

1 JA貯金が存在する場合
相続税申告にあたっては、被相続人名義のすべての預貯金口座を確認し、申告書に記載する必要があります。
被相続人がJAに貯金を有していた場合も、JAの貯金を相続財産として申告書に記載することとなります。
三重県でも、多くの案件で、JAの貯金が相続税の課税対象になっています。

ところで、被相続人がJAに貯金を有していた場合は、何点か、注意しなければならないことがあります。
この点について、以下でまとめたいと思います。

2 貯金を網羅的に記載する
JAの貯金には、様々な種類があります。
申告書には、これらの貯金を網羅的に記載する必要があります。

まず、普通貯金、定期貯金が存在する可能性があることは、他の金融機関と同様です。

これら以外に、JAの口座には、貯蓄貯金、定期積金が存在する可能性があります。
貯蓄貯金は、残高が10万円未満ですと普通貯金と同じ低い利率になりますが、残高が10万円以上になると利率が高くなる貯金です。
定期積金が毎月定期的に一定額の積立がなされる貯金です。
これらについても、相続財産に含まれますので、申告書に記載する必要があります。

3 出資金に注意する
被相続人がJAの貯金を有している場合には、被相続人が出資金を有している可能性があることに注意した方が良いでしょう。

被相続人がJAに出資金を払い込み、JAの組合員になっていることがあります。
この場合、被相続人が亡くなると、脱退して出資金を払い戻すか、一定の条件を満たす相続人に出資金を引き継ぐことができます。
いずれにせよ、出資金も相続財産に該当しますので、申告書に記載する必要があることとなります。

出資金の有無は、一定の書類を提出した上でJAに問い合わせると確認することができます。
また、出資金を有していると、毎年、JAの普通貯金口座に出資配当金が振り込まれていますので、通帳に出資配当金の振込の記載があるがどうかによっても確認することができます。

4 共済に注意する
JAに貯金を有している場合には、JA共済に加入している可能性があります。
JA共済は、保険と同様の位置付けのものになりますが、様々な種類のものがあります。
それぞれの共済の種類によって、生命保険金と同様の課税(500万円×法定相続人数の非課税限度額がある)がなされたり、生命保険契約に関する権利またはその他の財産として課税がなされたりします。