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相続放棄と固定資産税

相続放棄を行うと、被相続人が負っている債務を弁済しなくても良くなるという説明がなされることがあります。
ところが、被相続人に未納付の固定資産税があった場合には、注意を要する場合があります。
ここでは、固定資産税について、注意すべきケースを説明したいと思います。

① 被相続人名義の不動産について、相続放棄を行った年度分の固定資産税を納付しなければならない場合
被相続人名義の不動産がある場合、相続放棄の申述が受理されたとしても、受理がなされる前の日を基準日として課税される固定資産税については、納付義務を負うこととなると判断した裁判例があります。
固定資産税の基準日は、毎年の1月1日です。
このため、令和2年1月5日に申述が受理されたのであれば、令和2年1月1日を基準日として課税される固定資産税、つまり、令和2年度の第1期から第4期の固定資産税については、相続放棄をした相続人が納付義務を負うこととなってしまいます(横浜地判平成12年2月21日判例地方自治205号19頁)。
このように、過去の裁判例には、相続人が、相続放棄を行った年度分の固定資産税の納付義務を負うと判断したものがあります。

地方公共団体によっては、相続放棄が受理されれば、相続放棄を行った年度分の固定資産税の納付を求めてこないことも多いですが、過去には、上記の裁判例を引用して、相続放棄を行った年度分の固定資産税の納付を求められた例もあります。

② 被相続人と相続人の共有名義の不動産について、継続的に固定資産税を納付しなければならない場合
被相続人と相続人の共有名義になっている不動産がある場合、相続人の相続放棄が受理されたとしても、相続人は、固定資産税の全額について納付義務を負うこととなります。
これは、地方税法第10条の2が、不動産の共有者は、連帯して固定資産税を納付する義務を負うと定めているためです。
このため、被相続人と相続人の共有名義の不動産については、相続放棄前の未納分だけでなく、相続放棄後の課税分についても、継続して、固定資産税を納付しなければならないこととなります。
三重県でも、このようなケースは多いですので、注意が必要です。