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土地の無償使用と遺産分割3

それでは,土地の無償使用を指摘された場合に,当方から法的反論をする余地はないのでしょうか。

法律上,当方に特別受益が存在する場合であっても,被相続人が,特別受益の持戻を免除する意思表示を行ったのであれば,特別受益の持戻を免れるものとされています。
つまり,被相続人が,生前,特別受益については,相続で精算する必要がないとの意思表示を行っていた場合には,取り分が減らされることはないとされているのです。

特別受益の持戻の免除の意思表示は,その旨を遺言書で明記する等,明示的になされることもありますが,黙示の意思表示でも構わないとされています。

土地の無償使用との関係では,生前,被相続人と同居するための建物を建てたような場合には,特別受益の持戻を免除する黙示の意思表示があったとされる余地があります。
ただし,同居の目的,建物を所有するに至った経緯等にもよりますので,このような主張が認められるかにつき,事前に予想することは困難であることが多いです。

土地の無償使用と遺産分割2

被相続人の土地上に当方の建物が存在する場合,通常,建物が存在することにより,土地の価格が相当程度低下することとなります。
どの程度低下するかは,事案によって異なりますが,更地価格から,おおむね10から30%程,価格が低下するものとされています。

この点をとらえて,相手方は,土地の更地価格の10から30%について,被相続人から利益を受けており(特別受益),その分,当方の取り分を少なくするべきであるとしてくることがあります。
裁判所も,このような事案において,10から30%相当分の精算(特別受益の持戻)を認めた例があります。

このように,土地の無償使用を指摘されると,当方の取り分が少なく算定され,その分,相手方に支払う代償金等が増えることになる可能性があります。
実際は,相手方が土地の無償使用を指摘してこないこともありますが,指摘されると,対処に苦労することになる可能性があるのです。

土地の無償使用と遺産分割1

遺産分割の案件では,様々な事情を考慮の上,相続人間の公平を図りつつ,遺産の分割の仕方を決めなければならないとされています。
法律上,相続分は,決まった数字として決められていますが,現実には,相続分だけで割り切ることができない案件の方が多いです。

たとえば,被相続人の遺産に土地が含まれており,その土地上に当方名義の建物が存在するといった事案があります。
このような場合,相手方から以下のような主張がなされることがあります。
当方は,被相続人の土地上に建物を所有しており,いわば,長年,土地をただで借りてきたことになる。
本来であれば,土地を使用するのには,賃料を払わなければならないところ,当方は,ただで土地を使用し,賃料の負担を免れてきた。
だから,当方の取得分は,賃料相当分について,減額されなければならない。

このような主張がなされた場合には,弁護士としてどのように対応するか,悩ましい状況になることがあります。