相続税の重加算税

1 重加算税が課税される場合
重加算税は、隠蔽または仮装により、本来申告を行うべきなのに申告を行っていなかったり、本来の税額よりも低い税額で申告したりした場合に課税されます。
これらの場合は、本来、無申告加算税や過少申告加算税が課税されますが、隠蔽または仮装がある場合は、代わりに重加算税が課税されることとなります。
このように、悪質性が高い場合に課税される税金ですので、税率も、無申告加算税や過少申告加算税よりも大幅に高くなっています。

2 隠蔽または仮装
重加算税は、隠蔽または仮装の場合になりますので、うっかり申告しなかったり、うっかり過少申告したりした場合には課税されません。
もっとも、うっかり申告し忘れたという弁明を行ったとしても、客観的事情から隠蔽または仮装があったと判断される場合には、重加算税が課税される可能性があります。

隠蔽または仮装であるのと指摘がなされやすいのは、特に預金です。
たとえば、被相続人の預金口座があり、被相続人が亡くなる直前や亡くなったあとに相続人が多額の出金を行ったにもかかわらず、その口座を申告書に一切記載せずに申告した場合です。
被相続人が貯めた預金であるものの、名義だけが親族の名義になっている名義預金も、問題となることが多いです。

隠蔽または仮装の有無については、税務調査で確認がなされることが多いですので、税務調査でどのような回答を行うかは注意が必要です。
先の例ですと、調査官は、申告書に記載された被相続人の預金口座を一通り伝えた上で、相続人に対して、他に被相続人の預金口座がないかを確認します。
実際には、他に相続人が多額の出金を行った預金口座があるにもかかわらず、相続人が他には口座はないと回答すると、相続人は意図的に事実ではない回答を行ったこととなりますので、隠蔽または仮装があったと判断されます。
このような税務調査では、質問応答記録書を作成し、調査官と相続人とのやり取りを具体的な記録で残すことが多いですので、あとから「そんなことは言っていない。」と言うこともできなくなっています。

このように、隠蔽または仮装の有無については、客観的な材料で認定が固められることが多いですので、事実に基づいた対応が必要であることがわかります。
三重県の税務調査の案件でも、これらの点を念頭に置きつつ、どのように回答すべきかについて、検討を行うことがしばしばあります。

Notice: This work is licensed under a BY-NC-SA. Permalink: 相続税の重加算税