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全血兄弟と半血兄弟1

被相続人に子がいなかった場合で、父母も存命ではない場合には、被相続人の兄弟姉妹が相続人になります。
この場合は、被相続人の兄弟姉妹の相続分を算定する必要が出てきます。

このとき、被相続人の全血兄弟については、相続分が均等になりますが、半血兄弟については、相続分が全血兄弟の半分になります。
このように、全血兄弟と半血兄弟とで、相続分が異なってきますので、被相続人の兄弟姉妹の相続分を算定するにあたっては、全血兄弟と半血兄弟の違いを正確に把握しておく必要があります。

全血兄弟は、被相続人と、父母のいずれもが同じである兄弟姉妹のことを言います。
他方、半血兄弟は、被相続人と、父母の片方だけが同じである兄弟姉妹のことを言います。

たとえば、次の場合を考えたいと思います。
・ 甲と乙の間に、実子として、被相続人とAとBが生まれた。
この場合、AもBも、被相続人と父母のいずれもが同じになりますので、AもBも全血兄弟になります。
このため、AとBの相続分は均等になり、1/2ずつになります。

それでは、次の場合はどうでしょうか。
・ 甲と乙の間に、実子として、被相続人とAが生まれた。
・ 甲と丙の間に、実子として、Bが生まれた。
Aは、被相続人と父母のいずれもが同じになり、全血兄弟になります。
Bは、被相続人と父母の片方だけが同じになりますので、半血兄弟になります。
このため、Bの相続分はAの相続分の半分になりますので、Aの相続分は2/3、Bの相続分は1/3になります。

このように、全血兄弟か半血兄弟かの判断は、通常は迷うことなく行うことができますが、中には、弁護士であっても、どちらに該当するかの判断に迷う例があります。
次回は、判断に迷う例について説明したいと思います。

高齢者消除

戸籍については、高齢者消除と呼ばれる制度があります。

戸籍には、実際には死亡していると思われるにもかかわらず、戦時の混乱や誰からも死亡届が提出されていないこと等の理由により、生存しているままになっている方がいます。
一時期には、国内最高齢を大幅に越える150歳の方が、戸籍上、生存しているのと記載がなされていました。

これらの、特に年齢が100歳以上であり、かつ、住所が分からず生存しているかどうかを確認できない方については、戸籍の記載をそのまま放置しておくのは妥当ではないと考えられています。
というのも、これらの方が実際には亡くなっているのでしたら、今後、誰からも死亡届が提出されないままとなり、戸籍上、いつまでも生存しているのと記載され続けることとなってしまうからです。

このため、100歳以上であり、生存しているかどうかが不明な方については、市町村長が、法務局長の許可を得て、戸籍から消除することができるものとされています。
これを高齢者消除と、言います。
高齢者消除がなされると、戸籍上、「高齢者につき死亡と認定」との記載がなされます。

それでは、死亡の事実を証明できない方がいる場合には、高齢者消除の制度を用いることにより、その方が死亡したものと取り扱うことはできないのでしょうか。
「高齢者につき死亡と認定」との記載からすると、その方を死亡したものと取り扱うことができるような感じがしますが、そうではありません。
高齢者消除は、あくまでも、戸籍の事務処理上、死亡したとの認定を行うに過ぎないものであり、法律上、死亡したものとみなされるわけではありません。
したがって、高齢者消除がなされたとしても、その方を当事者としなければ、遺産分割協議を行うことはできず、不動産や金融資産の手続もできないこととなります。
このため、高齢者消除がなされ、「高齢者につき死亡と認定」との記載がなされている方がいるとしても、失踪宣告等の手続を行わなければ、その方を死亡したものとみなすことはできないこととなります。

なお、高齢者消除とは別に、認定死亡という制度があります。
高齢者消除が戸籍上「高齢者につき死亡と認定」との(まぎらわしい)記載がなされるため、混同されがちですが、認定死亡と高齢者消除はまったく別の制度です。
認定死亡は、火災や水難事故の際、これらの事故に遭った方を、行政が死亡したとの認定を行うものです。
認定死亡の対象になった方は、法律上も死亡したとの推定がなされることとなっています。

このように、制度を正確に理解しなければ、誤った結論を導きかねないため、弁護士としては、細心の注意を払いたいところです。

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死亡の事実の証明2

次に、生死が不明であることを理由として、家庭裁判所で失踪宣告の手続を行うことが考えられます。
失踪宣告がなされると、死亡したものとみなされますので、その人を手続の当事者に含む必要はないこととなります。

もっとも、失踪宣告についても、一定の問題があります。
いわゆる普通失踪の場合は、7年間生死不明であることを証明する必要があります。この証明は、警察に捜索願いを出されており、その後7年以上所在等が確認できないことによりなされることが多いです。
しかし、長期間生死不明になっている人ですと、そもそも誰も捜索願い等を出していないことがほとんどです。このため、失踪宣告の手続を進めるには、ほとんどの場合、警察に捜索願いを出すところから始める必要があります。
さらに、失踪宣告の申立を行ってからも、手続が完了するまでに1年程度の期間が必要です。
つまり、ご相談を受けてから、遺産分割協議を開始することができるまて、8年程の期間が必要となります。

また、失踪宣告がなされると、7年の期間が満了した時点でその人が死亡したものとみなされますので、新たな相続が発生することとなります。
案件によっては、次の相続人に外国籍の人が含まれることがあり、かえって相続関係が錯綜してしまい、遺産分割協議が事実上不可能になることもあります。

このため、失踪宣告も、適当な解決策にならないことがあります。

3つ目の対処として、不在者財産管理人を選任することが考えられます。
所在不明の人については、不在者財産管理人を選任することができます。
不在者財産管理人選任申立は、その人の従来の住居所(最後の住居所だけではない)か、財産所在地(遺産の所在地を含む)を管轄する家庭裁判所で行います。これらが三重県内にあるのでしたら、津家庭裁判所の本庁か該当する支部が管轄を有することとなります。
不在者財産管理人については、遺産分割等の法律問題に対処しなければなりませんので、弁護士が選任されることが多いです。
不在者財産管理人を選任すると、不在者財産管理人を当事者として、有効な遺産分割協議を進めることが可能となります。
不在者財産管理人の選任自体は、おおむね2~3か月程の期間で行うことができます。
また、不在者財産管理人が当事者となりますので、新たな相続が発生することとなるわけではありません。

ただ、不在者財産管理人は、家庭裁判所の許可のもとに遺産分割協議を行うこととなります。
このため、当方が遺産を取得することを希望するのでしたら、法定相続分額に相当する金額の代償金を支払を行う必要があります。

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死亡の事実の証明1

遺産分割の案件では、相続関係を調査し、相続人を特定する必要があります。
相続人全員の合意のある遺産分割協議書が作成できなければ、法務局は不動産の名義変更を受け付けてくれないですし、銀行や証券会社も金融資産の払戻や名義変更を行ってくれません。
したがって、遺産分割の案件では、前提として、相続人を特定することが必要不可欠です。

そして、相続関係の特定は、ほぼすべての案件で、市町村役場が発行する戸籍によって行われます。
戸籍に何らかの記載があれば、その記載を前提として手続を進めなければなりません。

ここで問題となるのが、生存を確認できない人物が、戸籍上、生存していることとなっている場合です。
中には、間違いなく死亡したはずであり、親族もそのことを共通して認識している人物が、戸籍上、生存していることとなっていることがあります。
三重県の案件でも、国内最高齢に近い人物が、戸籍上は、生存していることとなっていた例がありました。

これは、戸籍上の事務処理の誤り等によって起きる問題です。
三重県ですと、津市について、戦災により戸籍が焼失した時期があるため、このような事態が生じることがあります。

このような場合であっても、戸籍上は生存していることとなっているのですから、生存していることを前提として手続を進めなければ、不動産や金融資産の手続を進めることはできないこととなります。
とはいえ、本人の生存を確認することができない状態であるわけですから、その人と遺産分割協議を行うように言われても、不可能な話です。
このような場合は、どのように対処すれば良いのでしょうか。

1つ目の対処として、戸籍自体の記載を死亡に改めることが考えられます。
しかし、死亡の記載を行うには、死亡届を行う必要があります。そして、死亡届を提出する際には、医師の死亡診断書か警察の死体検案書を提出する必要がありますが、いつどこで亡くなったかが分からない場合や、古くに亡くなった場合には、これらの書類を提出することは不可能です。
死亡届以外に、戸籍訂正許可申立を行うことも考えられますが、家庭裁判所の許可を得る必要があり、そのためには死亡の事実を証明しなければなりません。
現実には、そもそも証明する資料がなかったり、あっても親族の証言だけであったりして、死亡の事実を証明することが困難なことが多いです。

香典と弔慰金

相続で争いになっている事案で,香典や弔慰金の帰属が問題となることがあります。
三重県内でも,この点が争われることがしばしばありますので,一般的な考え方をまとめておきたいと思います。

香典は,葬儀において,故人のご霊前に供える金品のことを指します。
香典は,葬儀の参列者から喪主に対して渡されます。

香典は,相続財産には含まれないとされています。
香典が誰に帰属するかについては,様々な見解がありますが,有力な考え方は,香典は葬儀費用に充当されるが,葬儀費用を上回る場合には,上回った分は喪主に帰属するとしています。

弔慰金は,故人を弔うとともに,遺族を慰めるために交付される金銭のことを指します。
弔慰金は,会社や団体から支給されることがあります。
弔慰金規程に基づき,受給権があるとされている人が受け取ります。
弔慰金規程の定め方は会社や団体によって様々ですが,配偶者が第一の受給権を有し,配偶者がいない場合は子が受給すると定められていることが多いでしょう。

弔慰金もまた,相続財産には含まれないとされています。
弔慰金が誰に帰属するかについては,弔慰金規程によって決まることとなります。
ただし,弔慰金規程において,金額,趣旨,受給権者がどのように定められているかにより,弔慰金を受け取ったことが,特別受益に準じるものと扱われ,相続において考慮される可能性があります。
たとえば,弔慰金の額が相続財産と比較して多額であり,実質が退職金に類するものとされており,受給権者が民法上の相続人と同じように定められている場合には,弔慰金を受け取ったことが,特別受益に準じるものと扱われる可能性があります。

このように,弔慰金については,弔慰金規程の定め方次第という部分がありますので,高額の弔慰金が発生している場合には,弔慰金規程の内容を確認する等する必要があることがあります。

相続人不存在の場合の税金について

相続人が不存在の場合には,相続人等の申立に基づき,家庭裁判所により,相続財産管理人が選任されます。
専門家としては,弁護士が相続財産管理人に選任されることが多いです。
相続財産管理人は,相続財産を管理,処分等し,債権者への弁済や国庫への帰属等の手続を行うこととなります。

相続財産の中に賃料が発生する不動産がある場合には,相続財産管理人は,賃料を受け取ることができます。

こうした事例で悩ましいのは,不動産から生じた賃料について,税金の申告をどのように行うかということです。

私が調べた限りでは,被相続人が亡くなるまでに生じた賃料については,準確定申告の対象になり,所得税の申告・納付をしなければならないこととなります。そして,所得税の納付義務は,相続財産法人に引き継がれますので,相続財産管理人が準確定申告の手続を行うこととなります。

問題は,被相続人が亡くなって以降に生じた賃料について,どのように申告を行うべきかです。
相続財産法人については,普通法人の一種になりますので,法人税の申告の対象になるとの考え方があるようですが,これと異なる考え方もあるようです。
また,法人税の申告を行うこととなった場合,事業年度をいつからとするかも確定する必要があります。
この点については,追って検討を行う必要がありそうです。

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