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未成年者が相続人となる場合②

それでは、相続財産が山林や田畑のみであり、むしろ、相続人になってしまうと、管理の負担を負いかねないようなものである場合はどうでしょうか?
子A、子Bの親権者としては、子が負担を負うような事態を避けるためにも、一切相続しないとの選択肢を取りたいと考えることもあり得るかと思います。

このような場合は、相続放棄を行うことにより、相続財産を一切引き継がないものとすることができます。
そして、子Aと子Bが同時に相続放棄を行う場合は、同時に相続放棄を行う以上、子Aと子Bは利益相反の関係には立たないと考えられています。
このため、親権者Cは、子Aの親権者兼子Bの親権者として、2人のために相続放棄を行うことができることとなります。

※ なお、上記のような例で、親権者Cが、子Aのみについて、相続放棄を行うことはできないとされています。
子Aのみが相続放棄を行うことにより、子Bの相続分が増えることとなるため、この場合は、子Aと子Bが利益相反の関係に立つと考えられるためです。
親権者Cが子Aについて相続放棄を行うことができるのは、あくまでも、子Bについても同時に相続放棄を行う場合に限られるとされています。

ただ、相続放棄については、基本的には、相続が発生してから3か月以内に、家庭裁判所に申述書を提出して行わなければならないとされています。
このため、3か月の期間が経過してしまうと、最早、相続放棄を行うことができないこととなってしまいます。

3か月の期間が経過した場合は、一般的には、子A、子Bを当事者として遺産分割協議を行い、子Aと子Bは一切の相続財産を引き継がないと内容の協議書を成立させることを考えることとなります。
しかし、子Aと子Bは一切の相続財産を引き継がないとの内容の遺産分割協議であっても、遺産分割となってしまう以上、先述の利益相反の問題が発生すると扱われてしまいます。
このため、親権者Cだけでは、子Aと子Bの親権者として、相続財産を一切引き継がないとの遺産分割協議を成立させることはできないこととなってしまいます。
したがって、このような遺産分割協議を成立させたい場合であっても、子Bのため、特別代理人を選任しなければならないこととなってしまうのです。