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相続税の延滞税

1 延滞税が課税される場合
延滞税は、相続税を納付の期限までに納付できなかった場合に課税されます。
申告期限までに相続税の申告を行ったものの、納税資金を調達できす、相続税を納付することができなかった場合には、延滞税が課税されることとなります。
申告期限までに申告を行わず、その後、期限後申告や課税処分がなされた場合には、無申告加算税とともに、延滞税が課税されることとなります。
申告期限までに申告・納付を行ったものの、申告した税額が本来の税額よりも少なかったため、修正申告や更正処分がなされた場合には、過少申告加算税とともに、増額された税額についての延滞税が課税されることとなります。

相続税の納付の期限は、申告期限と同じく、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内になります。
多くの場合、被相続人が亡くなった日の翌日から10か月以内になるでしょう。
ただし、期限後申告や修正申告を行った場合は、申告書提出日が相続税の納付の期限になります。
また、更正処分の場合は、通知書を発した日の翌日から1か月以内になります。

2 延滞税が課税される期間
延滞税は、相続税の納付の期限から、実際に相続税の納付がなされるまでの期間について、課税されます。

ただし、申告期限までに申告・納付を行ったものの、申告した税額が本来の税額よりも少なかったため、修正申告や更正処分がなされた場合については、申告期限から修正申告や更正の請求がなされるまでの間については、延滞税が発生する期間が1年間に限定されます(重加算税が課税される場合を除く)。

3 延滞税の税率
延滞税の税率は、令和7年12月現在では、以下のとおりです。

・ 納付期限から2か月以内
年2.4%

・ 納付期限から2か月経過後
年8.7%

なお、延滞税について、100円未満の端数があれば切り捨てがなされます。
また、延滞税が1000円未満であるときは、全額が切り捨てとなります。
つまり、延滞税は、最小額が1000円であり、そこから100円単位で増額がなされていくこととなります。

延滞税の税率は、特例基準割合をベースとして算定されます。
納付期限から2か月以内については、特例基準割合+1%、納付期限から2か月経過後については、特例基準割合+7.3%により算定されています。
特例基準割合は、毎年12月15日までに財務大臣によって告示されていますので、特例基準割合が変動すれば、延滞税の税率も変動することとなります。
延滞税の税率というと、年14.6%という話がなされることがありますが、実際には、特例基準割合をベースとして算定された利率の方が低い場合は、この利率を用いることとなっています。

4 延滞税の計算
それでは、相続税の本税が100万円の場合、延滞税はいくらになるのでしょうか?

・ 納付期限から1年が経過した時点
100万円×2.4%×2か月/12か月+100万円×8.7%×10か月/12か月=7万6500円

・ 納付期限から3年が経過した時点
100万円×2.4%×2か月/12か月+100万円×8.7%×2年10か月/12か月=25万0500円

このように、延滞税は、納付期限から時間が経てば経つほど、増加していくこととなります。
3年程度経過すると、本税の約25%もの額に達することとなります。

さらに、今後、政策金利が上昇することとなると、特例基準割合をベースとして算定された利率が増加することとなり、延滞税の税率も増加することとなります。
実際、令和8年1月1日以降は、延滞税の税率は2か月以内で2.8%、2か月経過後で9.1%に改定されることとなっており、今後も、さらに税率が増加することが予想されます。

このため、今後、延滞税は、一層、無視することができない負担となることが予想されます。
三重県の案件でも、延滞税が発生するときは、予想される延滞税の額をお伝えし、対応を検討することとしています。