後見制度支援信託1

判断能力が低下した人のために,裁判所の審判に基づき,後見人が付されることがあります。
後見人は,本人に代わって,本人の財産を管理し,必要な支出等を行うこととなります。

かつては,後見開始の申立を行った親族等が,後見人に就任し,本人の財産を管理することが多かったです。
ところが,最近になって,親族後見人により,本人の財産が不正に費消される事件が相次ぐようになり(1年間で,総額20億円が不当に費消されたとの調査結果もあります。),後見人による不正を防止するための制度を作ることが必要であると言われるようになりました。

このような親族後見人による不正を防止するため,弁護士,司法書士,社労士等の専門職後見人をつけることが検討されるようになりました。
ただ,専門職後見人をつけると言っても,専門職の人数が限られている等の問題がありますので,限界があります。

そこで,専門職後見人による財産管理に代わるものとして,前年度から,後見制度支援信託の制度が導入されることとなりました。

検認

法律では,遺言書が見つかった場合,遅滞なく,検認の手続をしなければならないとされています(公正証書遺言の場合は,不要です。)。
検認とは,裁判所に遺言書を持参し,遺言書の状態等を確認する手続のことを言います。
実際には,裁判所で,遺言書のコピーをとって,裁判所で,調書の一部として保管することとなります。
また,裁判所は,遺言書の保管状況等を聞き取ることとなります。
手続自体は,上記の内容に尽きますので,それほど時間はかかりません。

検認は,あくまでも遺言書の現在の状態等を確認する手続にすぎませんので,遺言が有効かどうか等を確認するわけではありません。
ですから,実際には遺言書が偽造されたものである場合には,検認された遺言につき,遺言無効確認の訴え等を提起することとなります。

遺言につきましては,細かいルールが色々とあります。
中には,少しの違いで,遺言が無効になったりすることもあります。
詳細につきましては,こちらもご参照ください。

離婚調停を行う裁判所3

管轄が違う裁判所に申立がなされた場合は,裁判所は,原則として,事件を,管轄を有する裁判所に移すことになります。
ただ,特別な事情がある場合は,裁判所は,管轄が違う申立であっても,その裁判所で事件を扱うものとすることができます(自庁処理)。
特別な事情としては,子どもが幼く,長時間家を空けることができないため,相手方の住所地の裁判所まで行くことができない場合等があります。

ですから,このような特別な事情があり,自分の住所地の裁判所で調停を進めたい場合には,自庁処理の上申書を裁判所に提出し,特別な事情について説明することとなります。
弁護士が相手方の住所地以外の裁判所において申立を行っている場合には,このような上申書が提出されている場合が多いと思います。

他方,相手方にしてみれば,調停期日毎に,申立人の住所地の裁判所へ行かなければならないのは困るという話になりますので,裁判所に対し,相手方の裁判所へ移送するべきである(自庁処理するべきではない)との上申書を提出することもあります。

離婚調停を行う裁判所2

離婚調停を行うことができる裁判所は,法律上,相手方の住所地の裁判所とされています。
ただ,実際には,離婚調停の申立自体は,別の裁判所でも行うことができます。
たとえば,相手方が遠くに住んでおり,調停期日が設けられる毎に,遠くの裁判所まで行くのが大変である場合には,あえて,自分が住んでいる住所地の裁判所に離婚調停の申立を行うことが,しばしば行われています(申立人に弁護士がついている場合であっても,このような申立がされることがあります。)。

もちろん,本来であれば,管轄の裁判所は,相手方の住所地の裁判所になりますので,このような申立は,管轄とずれた申立になります。
ですから,申立を受けた裁判所は,法律上管轄を有する裁判所へ,事件を移す(移送)することになります。

離婚調停を行う裁判所1

離婚調停は,全国にある家庭裁判所において行うことができます。
調停を行う裁判所は,自由に選べるわけではありません。
法律上は,管轄裁判所が決められており,管轄権を有する裁判所で離婚調停を進めることができるという規定になっています。

離婚調停の場合,管轄裁判所は,相手方の住所地の裁判所が,管轄を有しています。
住所地とは,生活の根拠がある場所のことです。
たとえば,相手方の住民票が大阪府堺市にあり,相手方が実際に住んでいる場所が津市である場合は,津家庭裁判所で離婚調停が行われることになります。

実際に,裁判所に申立を行うかは,こちらをご参照いただくと良いでしょう。

伊賀市へ出廷

裁判の関係で,伊賀市まで行ってきました。
私自身,伊賀市の案件自体あまり多くないため,伊賀の裁判所へ行くことは,ほとんどありません。

名張市や伊賀市を訪れると,昔に比べて,ここ10年か20年くらいで,再開発が進んでいることに気づかされます。
名張市の場合,近鉄の路線が走っていますので,大阪方面に出るには便利な地域であるようです。
伊賀市もまた,名阪国道が走っていますので,大阪方面に出やすい地域であるようです。

他方,津市の側からは,アクセスがしにくいです。
松阪市からも,名張市の場合は,近鉄でだけで移動できますが,伊賀市の場合は,伊賀鉄道に乗り継ぎしなければなりません(電車の接続も,あまり良くないです。)。
ですから,伊賀市の裁判所へ行く場合には,電車の到着時刻に気をつけなければなりません。

戸籍の取得3

最近,戸籍や住民票の取得に際し,本人通知を行う市町村が増えつつあります。
これは,自分の戸籍や住民票が取得された場合に,自分に戸籍や住民票が取られたと連絡が来るようにする制度です。
本人通知が来るようにするためには,事前に登録を行っておく必要があります。
詳しくは,こちらもご参照ください。

もっとも,本人通知の制度を採用している市町村は,現時点では,一部の市町村に限られます。
また,弁護士等が行う職務上請求については,本人通知の対象外としている市町村もあります。

本人通知は,プライバシー保護等の観点からは,望ましい制度であると言えます。
ただ,相手方に内緒で戸籍や住民票を取得しなければならない場合(強制執行等)については,慎重になる必要があり,弁護士としては,複雑な気分になる制度です。

戸籍の取得2

一口に戸籍の取得といっても,実際には,大きな労力を有することも多いです。
例えば,相続関係を調べる場合は,被相続人の戸籍を,出生(多くの場合)から死亡まで取らなければなりません。
そして,出生から死亡までの戸籍が,1枚で済むことは,ほとんどありません。

戸籍は,法改正等により,何度か改製がされています。
一度改製がされると,改製前と改製後で,別々の戸籍が作られることになります。
調査に際しては,当然,改製前の戸籍も改製後の戸籍も取得しなければなりません。

また,結婚や養子縁組等の身分関係の変動により,以前入っていた戸籍とは別の戸籍が作られることとなります。
この場合は,結婚前の戸籍も結婚後の戸籍も取得しなければなりません。

他にも,本籍地の変更があった場合は,新たに戸籍が作られることとなります(管内転籍を除く。)。

このように,新たに戸籍が作られることは,一生で多々あることですので,出生から死亡までの戸籍を取ると,少なくて2から3枚,多いと5枚以上,戸籍を取らなければならなくなります。

このように,枚数が多くなってくると,戸籍を取るだけでも大変な作業になります。
親族関係が複雑な場合は,弁護士,司法書士等に依頼した方が良いことも多いと思います。

戸籍の取得1

弁護士の仕事では,戸籍を集めなければならないことが多々あります。

離婚訴訟,相続に関係する訴訟等では,裁判所に訴訟提起する際,戸籍を提出する等しなければなりません。
また,事件を進めるにあたり,親族関係を戸籍等で確認しなければならないことも多いです。
特に,相続の案件では,相続人調査が必要不可欠です(詳しくは,こちらをご覧ください。)。

一般的には,戸籍は,本人か,本人と一定の血縁関係を持っている人しか取ることができません(本人の代理人として取得する場合は別ですが。)。
他方,弁護士は,職務上請求という方法を用いることにより,血縁関係のない第三者であっても,戸籍を取得することができます。
ただし,職務上,正当な理由がある場合に限られます。

最近,職務上請求した戸籍を目的外に使用したことを理由に,懲戒請求された弁護士もいます。
職務上請求は便利な方法ですが,使途等気をつけないといけないことが多いです。

成年後見と任意後見4

任意後見契約の場合は,任意後見契約書を作成することとなります。
任意後見契約書は,必ず,公証役場において作成しなければなりません。

実際には,いきなり公証役場に出向いて契約書を作成しても,その場で任意後見契約書を作成することは難しいです。
ですから,実際に公証役場へ行く前に,電話等で公証役場に問い合わせ,どのような契約書を作成するのかをつめることとなります。
具体的には,契約書の原案を作成し,ファックス等で公証役場に送付し,修正点を修正しながら,契約書の原案が仕上がることとなります。

以上の準備を行った上で,実際に公証役場に赴き,契約書の内容の確認等を行い,署名・押印等を行うことで,正式に契約書が完成することとなります。
本人が公証役場に赴くことが困難な場合は,公証人に病院や施設まで出張してもらうこともできます。

後見開始申立にせよ,任意後見契約にせよ,事前に申立書・契約書原案や必要書類を準備する必要があります。
いずれについても,書類の作成・準備等,大変なことがありますので,場合によっては,専門家に依頼した方が良いかもしれません。
当法人も,後見関係の手続を行っております。