法定相続情報証明制度1

5月29日から,法定相続情報証明制度が始まりました。
法定相続証明情報制度とは,法務局で一定の手続をとることで,被相続人の相続関係を証明する証明書を発行してもらうことができる制度です。
相続関係を証明する証明書を発行してもらうことで,被相続人名義の預金の払戻し,不動産の名義変更等の手続の際,毎回戸籍一式を提出しなくても済むようになり,相続手続を円滑に進めることができるようになるといわれています。

この制度を用いる場合には,まず,法務局に対して,戸籍一式とともに,被相続人の法定相続情報一覧図(被相続人の家系図のようなものです)を作成し,提出することになります。
法務局は,法定相続一覧図に誤りがないか等を確認し,証明書を発行することとなります。
一度,証明書を発行すると,5年間は,証明書の再交付を受けることができます。

法定相続情報証明制度では,被相続人が亡くなった時点での相続関係が証明されることとなっています。
このため,被相続人が亡くなって以降,相続人が亡くなり,数次相続が発生したとしても,証明書に記載される法定相続一覧図が変更されることはありません。
裏返せば,法定相続一覧図に記載された相続人が現在も生存しているかどうかについては,証明書を見ても,分からないということになります。
理屈からすると,法定相続一覧図に加え,相続人の現在戸籍を提出しなければ,記載した相続人が生存していることについての証明がなされたことにはならないこととなりそうです。

法務局での登記手続については,現時点でも,法定相続情報証明により,相続登記を進めることができます。
家庭裁判所については,現在,法定相続情報証明の取り扱いについて検討中のようですが,一部の家庭裁判所では,法定相続情報証明に加え,相続人の現在戸籍,被相続人の除籍等の提出を求める取り扱いとする方向と聞いています。

弁護士として活動する中で,相続関係を証明しなければならない場面は多々ありますが,今後,法定相続情報証明の制度をどのように用いることができるかについては,まだ決まっていない部分が多いようです。

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