遺産分割の成立に伴う修正申告・更正の請求の要否①

まとまった相続財産等が存在し、相続税の課税対象になる場合には、相続税の申告、納付を行う必要があります。

相続税の申告、納付は、基本的には、被相続人が亡くなってから10か月以内に行う必要があります。

仮に、相続人同士の意見が調整できず、被相続人が亡くなってから10か月以内に遺産分割を完了することができなかったとしても、10か月以内に相続税の申告、納付を行わなければならないこととなります。

このように、遺産分割が完了していない、未分割の状態で申告、納付を行う場合には、一旦、各相続人が法定相続分どおりに財産を取得したとの仮定のもと、申告、納付を行うこととなります。

この場合、相続税は、法定相続分のとおりに分担することとなります。

これを俗に未分割申告と言います。

それでは、10か月以内に遺産分割が完了せず、未分割申告を行った案件で、その後に遺産分割が成立した場合には、どのように対応することとなるのでしょうか?

まず、遺産分割の成立により、相続税を減額できる特例を利用することができる場合には、申告をし直すメリットがあります。

このように、申告をし直すことにより、相続税が減額され、すでに納付した相続税の還付がなされることとなります。

このように、相続税の還付の請求を行うことを、更正の請求と言います。

具体的には、配偶者の税額軽減、小規模宅地等の特例を利用することができる場合には、遺産分割の成立により、相続税を減額することができる可能性があるため、更正の請求を行うメリットがあることとなります。

次に、遺産分割が法定相続分のとおりになされた場合には、相続税の分担割合に変動は生じないですが、法定相続分とは異なる割合で遺産分割がなされた場合には、各相続人の相続税の分担割合に変動が生じることとなります。

遺産分割の結果、法定相続分よりも多くの相続財産を取得した相続人がいる場合には、相続税も多めに負担すべきこととなりますし、法定相続分よりも少ない財産しか取得しなかった相続人がいる場合には、相続税の負担割合は減少することとなります。

これらの相続人の間で、相続税の負担について、清算を行う必要が生じることとなります。

このような清算を行うため、申告のし直しが行われることがあります。

この場合、法定相続分よりも多くの相続財産を取得した相続人は、相続税が増額されることとなりますので、修正申告を行い、追加の相続税を納付することとなります。

他方、法定相続分よりも少ない相続財産しか取得しなかった相続人は、相続税が減額されることとなりますので、更正の請求を行い、相続税の還付を受けることとなります(この場合、相続税を追加で納付すべき相続人が修正申告を行っていなければ、税務署は、追加で納付すべき相続人に対し、更正処分を行い、追加納付を求めることとなります)。

更正の請求については、期限が遺産分割が成立してから4か月以内とされており、4か月以内に更正の請求を行わなければ、税金の還付を受けることができなくなってしまいます。

このように、期限がかなり限定されている話ですので、弁護士として遺産分割に関与するにあたっても、意識しておいた方が良い事項になります。