非上場株式の評価方法の見直し➀

昨今、非上場株式の評価方法の見直しが検討されており、話題になっています。
問題となっているのは、相続税申告の場面で、非上場株式の評価額をどのように算定するかです。
上場株式でしたら、取引所での売買がなされており、取引価格も公開されています。
非上場株式については、基本的には、明確な取引価格もなく、どのように評価額を算定するかが問題となってきます。

この点について、現在、有識者会議で議論が重ねられているものの、ゼロベースで検討し直すという話も出ているところであり、どのような結論になるか、注目しているところではあります。
実務的な影響も大きいため、明後日の方向を向いた結論にならないことを願うばかりです。
というのも、非上場株式の評価方法の見直しは、相続税の実務に大きな影響を及ぼすだけではなく、遺産分割の実務にも大きな影響を及ぼすことが予想されるからです。

遺産分割の場面でも、非上場株式の評価方法が問題となることがあります。
たとえば、相続人がA、Bの2名であり、非上場株式をAが取得する場合には、Bに対していくらの代償金を支払うかが問題となってきます。
争いのある案件では、非上場株式の評価額を算定し、その評価額の1/2をBに対して支払うとの整理がなされることとなります。
このため、非上場株式の評価額が大きくなればなる程、後継者がその余の相続人に対して支払う代償金が増えることとなりますし、非上場株式の評価額が小さくなればなる程、その余の相続人が受け取る代償金が減ることとなります。
このように、遺産分割の場面でも、非上場株式をどのように評価するかは、かなり重要な問題になってきます。

そして、遺産分割の場面で非上場株式の評価額をどのように算定するかについて、過去の裁判例の中には、相続税評価額を採用すべきであると判断したものがあります。
また、遺産分割調停で相続税申告書が証拠提出された場合、申告書に記載されている評価額は、客観的信用性のある金額として重要視されます。遺産分割審判の場面でも、申告書に記載された評価額がそのまま採用された例があります。
このように、相続税申告での非上場株式の評価方法は、遺産分割での評価方法にそのまま流用される往々にしてあります。
非上場株式の評価方法の見直しがなされた際にも、見直し後の評価方法が遺産分割の場面でも利用されるケースは、多くなってくるものと予想されます。
このような理由から、どのような見直しがなされるかは、弁護士業務との関係でも大きな関心事となってきます。

Notice: This work is licensed under a BY-NC-SA. Permalink: 非上場株式の評価方法の見直し➀