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戸籍の取得3

最近,戸籍や住民票の取得に際し,本人通知を行う市町村が増えつつあります。
これは,自分の戸籍や住民票が取得された場合に,自分に戸籍や住民票が取られたと連絡が来るようにする制度です。
本人通知が来るようにするためには,事前に登録を行っておく必要があります。
詳しくは,こちらもご参照ください。

もっとも,本人通知の制度を採用している市町村は,現時点では,一部の市町村に限られます。
また,弁護士等が行う職務上請求については,本人通知の対象外としている市町村もあります。

本人通知は,プライバシー保護等の観点からは,望ましい制度であると言えます。
ただ,相手方に内緒で戸籍や住民票を取得しなければならない場合(強制執行等)については,慎重になる必要があり,弁護士としては,複雑な気分になる制度です。

戸籍の取得2

一口に戸籍の取得といっても,実際には,大きな労力を有することも多いです。
例えば,相続関係を調べる場合は,被相続人の戸籍を,出生(多くの場合)から死亡まで取らなければなりません。
そして,出生から死亡までの戸籍が,1枚で済むことは,ほとんどありません。

戸籍は,法改正等により,何度か改製がされています。
一度改製がされると,改製前と改製後で,別々の戸籍が作られることになります。
調査に際しては,当然,改製前の戸籍も改製後の戸籍も取得しなければなりません。

また,結婚や養子縁組等の身分関係の変動により,以前入っていた戸籍とは別の戸籍が作られることとなります。
この場合は,結婚前の戸籍も結婚後の戸籍も取得しなければなりません。

他にも,本籍地の変更があった場合は,新たに戸籍が作られることとなります(管内転籍を除く。)。

このように,新たに戸籍が作られることは,一生で多々あることですので,出生から死亡までの戸籍を取ると,少なくて2から3枚,多いと5枚以上,戸籍を取らなければならなくなります。

このように,枚数が多くなってくると,戸籍を取るだけでも大変な作業になります。
親族関係が複雑な場合は,弁護士,司法書士等に依頼した方が良いことも多いと思います。

戸籍の取得1

弁護士の仕事では,戸籍を集めなければならないことが多々あります。

離婚訴訟,相続に関係する訴訟等では,裁判所に訴訟提起する際,戸籍を提出する等しなければなりません。
また,事件を進めるにあたり,親族関係を戸籍等で確認しなければならないことも多いです。
特に,相続の案件では,相続人調査が必要不可欠です(詳しくは,こちらをご覧ください。)。

一般的には,戸籍は,本人か,本人と一定の血縁関係を持っている人しか取ることができません(本人の代理人として取得する場合は別ですが。)。
他方,弁護士は,職務上請求という方法を用いることにより,血縁関係のない第三者であっても,戸籍を取得することができます。
ただし,職務上,正当な理由がある場合に限られます。

最近,職務上請求した戸籍を目的外に使用したことを理由に,懲戒請求された弁護士もいます。
職務上請求は便利な方法ですが,使途等気をつけないといけないことが多いです。

成年後見と任意後見4

任意後見契約の場合は,任意後見契約書を作成することとなります。
任意後見契約書は,必ず,公証役場において作成しなければなりません。

実際には,いきなり公証役場に出向いて契約書を作成しても,その場で任意後見契約書を作成することは難しいです。
ですから,実際に公証役場へ行く前に,電話等で公証役場に問い合わせ,どのような契約書を作成するのかをつめることとなります。
具体的には,契約書の原案を作成し,ファックス等で公証役場に送付し,修正点を修正しながら,契約書の原案が仕上がることとなります。

以上の準備を行った上で,実際に公証役場に赴き,契約書の内容の確認等を行い,署名・押印等を行うことで,正式に契約書が完成することとなります。
本人が公証役場に赴くことが困難な場合は,公証人に病院や施設まで出張してもらうこともできます。

後見開始申立にせよ,任意後見契約にせよ,事前に申立書・契約書原案や必要書類を準備する必要があります。
いずれについても,書類の作成・準備等,大変なことがありますので,場合によっては,専門家に依頼した方が良いかもしれません。
当法人も,後見関係の手続を行っております。

成年後見と任意後見3

成年後見の開始申立を行う場合は,裁判所に対して,申立書と必要書類を提出する必要があります。
提出先の裁判所は,本人の住所がどこであるかによって決まります(津市在住なら津家庭裁判所,松阪市在住(一部地域を除く。)なら津家庭裁判所松阪支部です。)。

必要書類は,戸籍(推定相続人の範囲が分かるものを求められることが多いです。),住民票,登記簿,診断書等です。

申立書の書式につきましては,各裁判所のホームページで公開されています。
診断書につきましても,特別な書式が準備されています。

本人の判断力がどの程度かについて,裁判所が鑑定(医師に問診等してもらい,判断力の程度について専門的に確認を行うこと)を行うことがあります。
この場合には,裁判所から,鑑定費用を予納することを求められます(おおむね5万円前後)。
ただ,三重県の場合は,診断書の記載等から判断能力が著しく不十分であることが明らかな場合は,鑑定を行わないことも多いです。

成年後見と任意後見2

任意後見は,成年後見とは別の制度です。

任意後見は,将来自分が判断力を失った場合等に備えて,特定の人に,代わりに財産を管理することを依頼する契約です。

任意後見の効力が生じるのは,あくまでも,本人が判断力を失ってからです。
本人が判断力を失った段階で,任意後見人の予定者は,裁判所で手続を行うことにより,正式に任意後見人の地位に就くこととなります。

誰が任意後見人予定者になるかは,任意後見契約の段階で,本人が指定することができます。
また,代理権の範囲についても,任意後見契約の段階で,指定することとなります。

成年後見と任意後見契約の違いについては,分かりにくい部分もありますので,詳細につきましては,弁護士等の専門家に確認の上,利用を検討した方が良いと思います。

成年後見と任意後見1

年齢,病気等により,判断能力を失ったや著しく低下した場合には,財産の管理ができなくなってしまうことがあります。
そのような場合には,本人に代わって,財産をきちんと管理する人が必要となります。

財産を管理する人としては,成年後見人と任意後見人が考えられます。
成年後見人は,裁判所において,後見開始申立をすることにより,つけられます。
誰が後見人になるかにつき,申立の段階で後見人の候補者を挙げることができますが,最終的には裁判所が判断することになります。
また,財産上の行為について網羅的に代理権を有することとなります。

以前は,特別な管理等を行わなければならない場合を除けば,親族が後見人となることが多かったですが,近年,親族後見人による横領が問題となっており,管理対象となる財産が多額である場合は,弁護士等の専門家を後見人に就けることが検討されるようになりつつあります。

後見開始申立の書式については,こちら(津家庭裁判所で申立を行う場合)をご覧ください。

子どもの手続代理人4

家事事件手続法上明文の規定があるわけではありませんが,離婚調停において,いずれの親が親権者となるべきかが争われている場合にも,子どもの手続代理人制度を利用することができると解されています。

この点については,各弁護士会で制度の運用実績が蓄積された段階で,こちらにて,制度の詳細等をまとめたいと考えています。

子どもの手続代理人3

他には,親権の停止の場面で,子どもの手続代理人制度を用いることが考えられます。

たとえば,子どもが親から虐待を受けている場合,虐待をしている親に親権を認めることが妥当ではないことがあります。
このような場合には,法律上,親権を停止する審判を申し立て,虐待をする親の親権を一時的に失わせることができます。

虐待を受けている子どもとしては,親に対し,相容れない様々な思いをもっていることが多いですが,結果として,子どもの側から,虐待を行う親の支配から抜け出したいと考えるに至ることがあり得ます。
また,周囲の人や専門家(弁護士会でも,相談のための専門ダイヤルを設けることを検討しています。)に相談した結果,虐待を行う親の支配から抜け出すべきであるとアドバイスを受けることもあり得ます。

このような場合に,子どもが,子どもの手続代理人を通し,親権の停止の審判の申立を行うため,子どもの手続代理人制度を用いることも考えられるのです。

子どもの手続代理人2

子どもの手続代理人制度が利用される場面の1つとして,面会交流があります。

面会交流とは,両親が別居している場合や,両親が離婚している場合に,子どもを監護しないこととなった親が,子どもを監護している親に対し,子どもと定期的に会ったり,手紙でやりとりをする等の交流を求めることを言います。

一方の親が,子どもに会いたいという気持ちが強く,他方の親が,相手方を子どもに合わせたくないという気持ちが強い場合には,根深い法的紛争となることがあります。
松阪市でも,このような案件はしばしばあり,互いに弁護士を入れて争うことも多いです。

このような場合には,両親が互いに感情的に争い,子どもの意見や子どもの利益が,結果的にないがしろにされてしまう恐れがあります。
そこで,子どもの意見や子どもの利益がないがしろにされることのないよう,子どもの代理人として,専門家が子どもの意見等を代弁する必要が生じると言えます。
そのために,子どもの手続代理人を選任する等し,子どもの意見等を代弁することが考えられるのです。