月別アーカイブ: 2012年 3月

遺留分対策2

まず,相続開始前1年間になされた贈与も,遺留分の算定基礎となります。

 

また,特別受益に当たる贈与も,遺留分の算定基礎となります。

特別受益とは,生計を基礎づける財産の贈与のことです。

特別受益の例として,様々なものがありますが,一般には,多額の財産(現金,預貯金,不動産,株式等)を一度に贈与していると,特別受益に該当すると判断される傾向があります。

遺言で財産の大部分を相続させる代わりに,生前贈与を行うとなると,特別受益に該当すると判断される可能性が高いです。

 

ですから,弁護士会の相談等では,遺言の代わりに生前贈与を行うということは,遺留分対策にはならない可能性があるとお伝えすることが多いです。

遺留分対策1

「相続人の1人に遺産のほとんどを相続させたい,そのような内容の遺言を残したい。」

弁護士会等の法律相談では,しばしばこのような相談を受けます。

 

回答としては,「全ての財産を相続させる遺言を作成することはできますが,他の相続人から遺留分減殺請求権を行使される可能性があります。」と答えることが多いです。

 

そのようにお答えすると,「それならば,相続人の1人に生前贈与すればどうでしょうか。」とおっしゃる方が多いです。

 

実際には,贈与税の負担の問題は別としても,生前贈与をしたからといって,必ずしも遺留分減殺請求権の行使を免れるわけではありません。

 

遺留分の算定基礎となる財産は,遺産だけではありません。

これに加えて,生前贈与された財産の一部も,遺留分の算定基礎となります。

養子と相続2

養子は,原則として,血縁上の親の相続人になります。

 

しかし,特別養子の場合は例外です。

特別養子とは,1987年に施行された制度です。

特別養子縁組を行うことにより,養子は,養親の親族になるとともに,血縁上の親との親族関係を失います。

ですから,特別養子は,血縁上の親の相続人にはならないのです。

 

弁護士として,養親子間の相続について相談を受ける際には,特別養子である可能性を頭の片隅に置きつつ,相談後,戸籍で特別養子であるかどうかを調べた上で,事件を進めていくことになります。

もちろん,養子縁組が明らかに1987年(特別養子の制度が施行された年)以前である場合には,特別養子である可能性は考えなくても良いです。

養子と相続1

養子は養親の財産を相続できます。

 

それでは,養子は血縁上の親の財産を相続できるのでしょうか。

 

答えは,原則として「できる」です。

ですから,相続が発生し,遺産分割協議等を行う場合には,養子に出た子も,遺産協議等に参加する必要があります。

養子に出た子を参加させずに行った遺産分割協議等は,無効となってしまいます。

 

このような場合には,養子に出た子と,養子に出なかった子とが,疎遠になっている場合が多いです。

このため,養子に出なかった子が,養子に出たこの存在を見過ごして,遺産分割協議を進めてしまうこともあり得ます。

 

弁護士として,遺産分割の事案を扱う場合には,戸籍をさかのぼり,相続人になり得る子が誰であるのかを調査する必要があります。

戸籍自体は,各市町村役場(たとえば,松阪市に住んでいた時期については,松阪市役所)で,取得することができます。

特別受益3

生前に,被相続人が相続人の一部に対し,生計の基礎となる財産を贈与等していた場合には,贈与等を受けた相続人は,特別受益を有するということになり,その分,遺産分割等での取分が差し引かれることになります。

 

それでは,被相続人が,相続人ではなく,相続人の子や配偶者に対して贈与していた場合はどうでしょうか。

この場合は,相続人自身に対しては,贈与はされていませんので,原則として特別受益は存在しないものとされます。

ただし,相続人の子や配偶者に贈与することにより,相続人自身が利益を受けていたり,被相続人が実際には相続人に贈与するつもりであり,ただ名義だけを相続人の子や配偶者にしていたりする場合には,相続人に特別受益があるものと判断される可能性があります。

 

弁護士として,こうした主張を立てていくかどうかは,ケースバイケースです。

農地の譲渡・相続2

譲渡の場合とは異なり,農地を相続した場合には,農地法3条の許可申請を行う必要はありません。

農地を相続した場合は,農業委員会に届出を行うだけで良いのです。

 

届出の期間は,相続開始後10か月以内です(届出を怠ると,10万円以下の過料を受ける可能性があります。)。

 

届出の場合は,許可の場合と異なり,必要種類等を農業委員会に提出すれば,手続が済みます。

農業委員会が,権利移転を認めないということはないのです。

(必要書類等に不備がある場合は,補正をする必要があります。)

 

松阪市で弁護士業務を行うと,農地が関わる事案を扱うことも,たまにあります。

農地の譲渡・相続1

農地を譲渡(売買や贈与等)した場合には,農地法3条により,農業委員会に許可申請を行う必要があります。

この場合,住所地の市町村の農地であれば,その市町村の農業委員会に,住所地の市町村外の農地であれば,都道府県知事に,許可申請を行うことになります。

松阪市にお住まいであれば,松阪市内に農地がある場合は,松阪市の農業委員会に許可申請を行う必要があるのです。

 

許可申請を行うわけですから,譲渡の場合は,農業委員会や都道府県知事が譲渡を認めない可能性があるのです。

 

どのような場合に譲渡が認められるかについては,政省令等で詳細に決められています。