日別アーカイブ: 2015年4月13日

財産分与と税金1

離婚に際して財産分与を行う場合,税金がどちらにどれくらい課税されるのかは,前もって確認すべき事項だと思います。
財産分与では,不動産等の大きな財産が動くことがあるため,課税される税金が,思ってもいなかった程に多額になる可能性がある場面だと思います。

特に注意が必要なのは,財産分与の結果,相手方に不動産を名義変更する場合です。
この場合,不動産を譲り渡す側は,一度は,譲渡所得税が課税される可能性があるかどうかを検討すべきだと思います。

譲渡所得税は,不動産等の財産を譲渡する場合に課税される税金です。
税額は,(譲渡金額-取得費-譲渡費用)×税率です。
税率は,5年以上所有している不動産であれば,15%(国税)+5%(地方税)です(現時点では,復興特別加算プラスされます)。
譲渡金額は,財産分与時の不動産の時価です。
このように,不動産の時価に20%程の掛け算を行うわけですから,税金の額が高額になる可能性があります。

直観的には,不動産を相手方に渡したのに,渡した側に税金が課税されるというのは,変に感じるかもしれません。
こうした税金が課税される背景としては,分与割合(特別な事情がなければ,夫:妻=1:1)を踏まえた財産分与であれば,不動産を渡す側は,不動産を渡すことで,相手方に預貯金等の財産を渡さなくて済んだであろうという考え方があります。
このように,不動産を相手方に渡すことで,預貯金等の財産を渡さなくて済むという経済的利益を得ることになりますので,税金が課税されることになります。

理屈の上では,上記の通りですが,多額の税金が課税される可能性がある以上,財産分与に向けた交渉では,税金がどうなるかをきちんと検討した上で,相手方との交渉を行うべきでしょう。
弁護士として交渉する場合であっても,税金関係を度外視して交渉することは,避けたいものです。