日別アーカイブ: 2016年6月18日

登記簿上の住所2

被相続人と登記簿上の名義人とが同一人物かどうかが問題となるのは,登記簿上に記載された名義人の住所が,被相続人の住所とずれている場合です。
パターンとして多いのは,生前に住所の変更があったにも関わらず,登記簿上に記載された住所を変更しなかった場合です。
登記簿に記載された住所と実際の住所との間にずれがあったとしても,普段の生活には特段の不都合が生じないため,登記簿に記載された住所が昔の住所のままになっていることは,しばしばあります。
このように,登記簿に記載された住所と,被相続人の(住民票等の)住所がずれてしまっている場合,どのようにして,登記簿に記載された名義人と被相続人とが同一人物であると証明するかが,問題となることがあるのです。

それほど手間がかからないのは,住民票等の住所の移転の流れを証明することです。
たとえば,本籍を移さずに住民票を移した場合は,戸籍の附票を取得すれば,住民票上の住所の動きを明らかにすることができます。
このような場合は,戸籍の附票を提出すれば,登記簿上の(転居前の)住所と,(転居後の)被相続人の住所とのつながりを証明することができます。

他方,登記簿上の住所が記載されて以降,本籍が移転している場合は,新しい本籍の戸籍の附票だけでは,住民票の動きを確認することができません。
このような場合は,古い本籍についても,附票(除籍の附票,改正原戸籍の附票等)を取り寄せ,登記簿上の住所が記載されて以降の住民票の動きを明らかにする必要があります。

このパターンであれば,市区町村役場から数枚の書類を取り寄せれば済むことですので(弁護士であれば,職務上請求で取り寄せることができます),あまり問題はありません。