成年後見と任意後見3

成年後見の開始申立を行う場合は,裁判所に対して,申立書と必要書類を提出する必要があります。
提出先の裁判所は,本人の住所がどこであるかによって決まります(津市在住なら津家庭裁判所,松阪市在住(一部地域を除く。)なら津家庭裁判所松阪支部です。)。

必要書類は,戸籍(推定相続人の範囲が分かるものを求められることが多いです。),住民票,登記簿,診断書等です。

申立書の書式につきましては,各裁判所のホームページで公開されています。
診断書につきましても,特別な書式が準備されています。

本人の判断力がどの程度かについて,裁判所が鑑定(医師に問診等してもらい,判断力の程度について専門的に確認を行うこと)を行うことがあります。
この場合には,裁判所から,鑑定費用を予納することを求められます(おおむね5万円前後)。
ただ,三重県の場合は,診断書の記載等から判断能力が著しく不十分であることが明らかな場合は,鑑定を行わないことも多いです。

成年後見と任意後見2

任意後見は,成年後見とは別の制度です。

任意後見は,将来自分が判断力を失った場合等に備えて,特定の人に,代わりに財産を管理することを依頼する契約です。

任意後見の効力が生じるのは,あくまでも,本人が判断力を失ってからです。
本人が判断力を失った段階で,任意後見人の予定者は,裁判所で手続を行うことにより,正式に任意後見人の地位に就くこととなります。

誰が任意後見人予定者になるかは,任意後見契約の段階で,本人が指定することができます。
また,代理権の範囲についても,任意後見契約の段階で,指定することとなります。

成年後見と任意後見契約の違いについては,分かりにくい部分もありますので,詳細につきましては,弁護士等の専門家に確認の上,利用を検討した方が良いと思います。

成年後見と任意後見1

年齢,病気等により,判断能力を失ったや著しく低下した場合には,財産の管理ができなくなってしまうことがあります。
そのような場合には,本人に代わって,財産をきちんと管理する人が必要となります。

財産を管理する人としては,成年後見人と任意後見人が考えられます。
成年後見人は,裁判所において,後見開始申立をすることにより,つけられます。
誰が後見人になるかにつき,申立の段階で後見人の候補者を挙げることができますが,最終的には裁判所が判断することになります。
また,財産上の行為について網羅的に代理権を有することとなります。

以前は,特別な管理等を行わなければならない場合を除けば,親族が後見人となることが多かったですが,近年,親族後見人による横領が問題となっており,管理対象となる財産が多額である場合は,弁護士等の専門家を後見人に就けることが検討されるようになりつつあります。

後見開始申立の書式については,こちら(津家庭裁判所で申立を行う場合)をご覧ください。

子どもの手続代理人4

家事事件手続法上明文の規定があるわけではありませんが,離婚調停において,いずれの親が親権者となるべきかが争われている場合にも,子どもの手続代理人制度を利用することができると解されています。

この点については,各弁護士会で制度の運用実績が蓄積された段階で,こちらにて,制度の詳細等をまとめたいと考えています。

子どもの手続代理人3

他には,親権の停止の場面で,子どもの手続代理人制度を用いることが考えられます。

たとえば,子どもが親から虐待を受けている場合,虐待をしている親に親権を認めることが妥当ではないことがあります。
このような場合には,法律上,親権を停止する審判を申し立て,虐待をする親の親権を一時的に失わせることができます。

虐待を受けている子どもとしては,親に対し,相容れない様々な思いをもっていることが多いですが,結果として,子どもの側から,虐待を行う親の支配から抜け出したいと考えるに至ることがあり得ます。
また,周囲の人や専門家(弁護士会でも,相談のための専門ダイヤルを設けることを検討しています。)に相談した結果,虐待を行う親の支配から抜け出すべきであるとアドバイスを受けることもあり得ます。

このような場合に,子どもが,子どもの手続代理人を通し,親権の停止の審判の申立を行うため,子どもの手続代理人制度を用いることも考えられるのです。

子どもの手続代理人2

子どもの手続代理人制度が利用される場面の1つとして,面会交流があります。

面会交流とは,両親が別居している場合や,両親が離婚している場合に,子どもを監護しないこととなった親が,子どもを監護している親に対し,子どもと定期的に会ったり,手紙でやりとりをする等の交流を求めることを言います。

一方の親が,子どもに会いたいという気持ちが強く,他方の親が,相手方を子どもに合わせたくないという気持ちが強い場合には,根深い法的紛争となることがあります。
松阪市でも,このような案件はしばしばあり,互いに弁護士を入れて争うことも多いです。

このような場合には,両親が互いに感情的に争い,子どもの意見や子どもの利益が,結果的にないがしろにされてしまう恐れがあります。
そこで,子どもの意見や子どもの利益がないがしろにされることのないよう,子どもの代理人として,専門家が子どもの意見等を代弁する必要が生じると言えます。
そのために,子どもの手続代理人を選任する等し,子どもの意見等を代弁することが考えられるのです。

子どもの手続代理人1

家事審判法の改正により,子どもの手続代理人制度が設けられることとにありました。

子どもの手続代理人とは,一定の事件において,弁護士が子どもの代理人として,子どものために手続行為を行う制度のことを言います。

子どもの手続代理人となり得るのは,弁護士のみです。
現在,弁護士会でも,子どもの手続代理人制度を円滑に運用するため,受け皿を作っております。

新たな制度になるため,日弁連も,こちら等で制度を周知を図っていますが,実際には,今後の運用に任されている部分が大きいです。

公証役場2

他に公証役場を利用する場合としては,遺言書を作る場合が多いです。

遺言書は,自筆で作ることもできますが,法律のルール(たとえば,必ず日付を記載する等)を守らなければ無効になってしまう等の危険があります。

また,自筆で作成した遺言について,後で,偽造されたものではないかが問題となることがあります。
そのような場合には,遺言書の筆跡を筆跡鑑定すること等により,誰が作成したかを精査することになります,
しかしながら,遺言書作成時に手が不自由になっていた場合等,遺言書の筆跡がその人本来の筆跡ではなくなってしまっている場合には,判断に困ることもあります。
また,筆跡鑑定自体,鑑定する人で判断が分かれることがあり,100%の精度があるものではありません。

上記のようなリスクを避けるためには,公証役場において,きちんと本人確認をしてもらった上で,厳正な手続のもと,遺言書を作成することがあります。
弁護士も,仕事上,公正証書遺言を作成するため,公証役場を利用することが時々あります。

遺言につきましては,こちらもご参照ください。

公証役場1

確定日付を取るため,公証役場まで行ってきました。

公証役場は,全国の主要な都市にあります。
たとえば,この辺りでしたら,津市,松阪市,四日市市,伊勢市,上野市にあります。

駅から離れたところにあるものも多いですが,弁護士の仕事上,どうしても利用しなければならないことがしばしばあります。

たとえば,確定日付を取る場合です。

確定日付とは,その日に文書が存在していたことを,公証人に確認してもらうことです。
ある文書が,訴訟の相手方等から,後日恣意的に作られたものであると主張されることのないよう,備えをしておくために,確定日付を取ったりします。

通知税理士について

弁護士は,基本的には,税理士登録をしなければ,税理士の仕事をすることができません。
ただし,これには例外があります。

弁護士が弁護士会を通じて国税局長に対して通知を行った場合には,税理士登録をしなくても,税理士の仕事をすることができるのです(いわゆる通知税理士)。

たとえば,顧問先に税務調査が入ったため,すぐに対応しなければならない場合等に,通知税理士の仕組みを用いて,一時的に税理士の仕事をできるようにしたりします。

税理士登録の仕組等については,国税庁のホームページでも情報提供されています。