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相続時精算課税制度2

それでは,多額の贈与をする場合に,贈与税の負担を軽減する方法はないのでしょうか。
相続時精算課税制度を利用すると,多額の贈与について,贈与税の負担を軽減できる可能性があります。
相続時精算課税制度は,65歳以上の親から,20歳以上の子に対して贈与する場合に,2500万円の特別控除枠が設定されます。
ですから,贈与される金額が2500万円以下であれば,贈与税が課されないこととなるのです。
特別控除の枠を使えるのは1回きりであり,毎年控除を受けられるわけではありませんが,この制度を利用すれば,土地(場合によっては,土地+その他財産)を,贈与税の負担なく名義変更することができることとなるのです。

相続時精算課税制度1

自分の子に対して不動産を贈与しておきたいと考えることがあります。
たとえば,子が独立する場合に,自宅の建物を建築するための土地を贈与することがあります。
この場合,不動産を建築するための土地が宅地であれば,何百万という評価がつくことがあります。
このような場合には,土地を受け取った子に対して,贈与税が課せられる可能性があるため,注意が必要です。
贈与税は,年間でなされる贈与の総額が110万円を超える場合に課税されます。
たとえば,500万円の土地を贈与する場合,単純計算で,53万円の贈与税が課税されることとなります(平成26年6月現在)。
さらに,贈与税は累進課税ですので,1000万円の土地であれば231万円の課税というように,土地の価格が大きくなればなるほど,贈与税の負担は重くなります。
予期しない負担を避けるためには,税金の負担がどうなるかも想定しておく必要があります。

サイトのリニューアル

弁護士法人心 津駅法律事務所のホームページがリニューアルされました。

最近は,上部のメニューバーを2段にするのが流行のようです。

土地の無償使用と遺産分割3

それでは,土地の無償使用を指摘された場合に,当方から法的反論をする余地はないのでしょうか。

法律上,当方に特別受益が存在する場合であっても,被相続人が,特別受益の持戻を免除する意思表示を行ったのであれば,特別受益の持戻を免れるものとされています。
つまり,被相続人が,生前,特別受益については,相続で精算する必要がないとの意思表示を行っていた場合には,取り分が減らされることはないとされているのです。

特別受益の持戻の免除の意思表示は,その旨を遺言書で明記する等,明示的になされることもありますが,黙示の意思表示でも構わないとされています。

土地の無償使用との関係では,生前,被相続人と同居するための建物を建てたような場合には,特別受益の持戻を免除する黙示の意思表示があったとされる余地があります。
ただし,同居の目的,建物を所有するに至った経緯等にもよりますので,このような主張が認められるかにつき,事前に予想することは困難であることが多いです。

土地の無償使用と遺産分割2

被相続人の土地上に当方の建物が存在する場合,通常,建物が存在することにより,土地の価格が相当程度低下することとなります。
どの程度低下するかは,事案によって異なりますが,更地価格から,おおむね10から30%程,価格が低下するものとされています。

この点をとらえて,相手方は,土地の更地価格の10から30%について,被相続人から利益を受けており(特別受益),その分,当方の取り分を少なくするべきであるとしてくることがあります。
裁判所も,このような事案において,10から30%相当分の精算(特別受益の持戻)を認めた例があります。

このように,土地の無償使用を指摘されると,当方の取り分が少なく算定され,その分,相手方に支払う代償金等が増えることになる可能性があります。
実際は,相手方が土地の無償使用を指摘してこないこともありますが,指摘されると,対処に苦労することになる可能性があるのです。

土地の無償使用と遺産分割1

遺産分割の案件では,様々な事情を考慮の上,相続人間の公平を図りつつ,遺産の分割の仕方を決めなければならないとされています。
法律上,相続分は,決まった数字として決められていますが,現実には,相続分だけで割り切ることができない案件の方が多いです。

たとえば,被相続人の遺産に土地が含まれており,その土地上に当方名義の建物が存在するといった事案があります。
このような場合,相手方から以下のような主張がなされることがあります。
当方は,被相続人の土地上に建物を所有しており,いわば,長年,土地をただで借りてきたことになる。
本来であれば,土地を使用するのには,賃料を払わなければならないところ,当方は,ただで土地を使用し,賃料の負担を免れてきた。
だから,当方の取得分は,賃料相当分について,減額されなければならない。

このような主張がなされた場合には,弁護士としてどのように対応するか,悩ましい状況になることがあります。

サイトのリニューアル

弁護士法人心の後遺障害・後遺症のサイトがリニューアルされました。
私は,現時点では,交通事故後遺障害の案件を積極的に担当しているわけではありませんが,後遺障害の基礎知識等が書かれており,参考になります。

後見開始申立4

申立費用を成年被後見人の負担とするには,以下のような手続を踏むことが多いです。

申立を行うに当たり,申立のための必要書類と一緒に,収入印紙代等を成年被後見人の負担としてほしいと書いた内容の上申書を,裁判所に提出します。
ただ,鑑定費用の額については,申立が行われた後に,裁判所が医師等と協議して,いくらであるかが決まることになります。
ですから,鑑定費用については,申立後に,正式に鑑定費用の額が決まってから,鑑定費用を成年被後見人負担としてほしいとの内容の上申書を提出することが多いです。

上申書が提出されると,裁判所は,成年被後見人の資力等を考慮の上,成年被後見人に申立費用を負担させるべきかどうかを(職権で)判断することとなります。
成年被後見人の負担となる場合には,後見開始の決定書において,申立費用○円を,成年被後見人の負担とすることが明記されることとなります。

後見開始申立3

それでは,後見開始申立に必要となった費用について,精算を行うことはできないのでしょうか。
この点については,法律上,特別な事情がある場合には,成年被後見人(判断力が低下した人)の負担とすることができるものとなっています(非訟事件手続法28条)。
具体的には,成年被後見人に十分な財産がある場合等に,特別な事情があるものとして,成年被後見人が申立費用を負担すべきものとされています。

ただ,申立費用を成年被後見人の負担とするためには,裁判所の決定を得る必要があります。
成年被後見人に十分な財産があるからと言って,当然に,成年被後見人に申立費用分を請求することができるというわけではないのです。

また,申立費用の成年被後見人負担は,収入印紙代や鑑定費用等,限られたものについてのみ認められる者です。
たとえば,後見開始申立を弁護士等に依頼した場合に,弁護士費用を成年被後見人負担とすることができるかについては,厳しいと言わざるを得ません。

後見開始申立2

事件の相手方について後見開始申立を行う場合には,注意すべき点があります。

後見開始申立を行うに当たっては,様々な費用が必要となります。
たとえば,申立を行う裁判所に対し,2600円分の収入印紙を提出する必要があります。
また,診断書等で判断力が著しく低下していることが明らかな場合には,問題が少ないのですが,判断力が著しく低下しているかどうかが明らかではない場合には,裁判所で医師に鑑定を依頼し,判断力の低下の程度について,鑑定書を書いてもらう必要があります。
このような場合には,5から10万円の鑑定費用を,後見開始申立を行う人が納める必要があります。

それでは,後見開始申立に必要な費用は,誰が負担することになるのでしょうか。
法律上は,原則として,後見開始申立に必要な費用は,申立を行う側の負担とされています。
後見開始申立は,判断力が低下した人のために行うものですが,実際には,申立を行う側で,費用を負担しなければならないのです。
ですから,申立に必要な費用を申立人が納めなければ,手続を進めることができないことになってしまうのです。
弁護士として事件を進めるに当たっては,申立に当たり,申立費用を負担しなければならないことになっていることを,あらかじめ説明しておく必要があると言えます。