3 すでに区分登記がなされている場合
それでは,すでに区分登記がなされている二世帯住宅については,小規模宅地等の特例を用いることは一切できないのでしょうか。
この場合であっても,被相続人が存命であるうちに区分登記を解消すれば,小規模宅地等の特例の適用を受けることができます。
具体的には,①区分所有権の一部の交換契約を行い,区分登記から共有登記への変更を行うこと,②区分所有権を譲渡し,区分合併登記を行うことが考えられます。
もっとも,前者の場合は,前提として,共有登記が可能な建物かどうかを調査する必要がありますし,後者の場合は,区分所有権の譲渡について,贈与税が課税されることに注意する必要があります。
4 注意を要する場合
注意しなければならないのは,以上の話は,二世帯住宅が1棟の建物になっていることを前提としているということです。
したがって,同じ敷地内に2棟の建物が建っており,1棟を被相続人が,1棟を親族が使用している場合には,被相続人と親族が1棟の建物に居住しているわけではありませんので,同居親族であることを理由として小規模宅地等の特例を用いることは,そもそもできないこととなります。
たとえば,2棟の建物を渡り廊下で繋いでいるに過ぎない場合も,2棟の建物のままであると考えざるを得ませんので,小規模宅地等の特例を用いることはできません。
これに対し,1棟の建物を増築し,増築部分に親族が居住している場合は,1棟の建物に居住していると評価することができますので,区分登記の有無により,小規模宅地等の特例が適用されるかどうかが判断されることとなります。
4 その他の要件
二世帯住宅について,同居親族であることを理由として小規模宅地等の特例を用いる際には,他にも様々な要件を満たす必要があります。
まず,居住用不動産を同居親族が取得する必要があります。
次に,同居親族が,相続税の申告期限(相続開始を知ってから10か月間)まで,その不動産を所有し続け,かつ,その不動産に居住し続ける必要があります。
相続税申告を行うことも,他の場合と同じく,要件となります。


